第147話 レベルの違いと秘密兵器

 泳いでみてよくわかった。

 魚、動きが速い。

 しかも魚が小さいと銛が当たっても上手く刺さらない。

 浅く刺さった程度では逃げられてしまう。


 つまり

  ① 海底を泳いでいるそこそこ大きいものを、

  ② 砂底に貼り付けにする位の勢いで突き刺す

位で無いと無理だ。

 そしてそんなちょうどいい獲物なんてそうそう泳いでいない訳で。


 あ、でも発見。

 イトヒキハゼの仲間か何かかな。

 そんな訳で、ゴムを最大に伸ばして攻撃。

 魚の方が一瞬早い。


 追いかける。

 ほぼ止まったところで息を継ぎに海面に戻って。

 そしてまた海底へ戻って。


 接近して一撃。

 ぎりぎり外した。

 いや、当たったのだが逃げられた。


 これは難しい。

 呼吸がしんどくなったので浅場に避難。

 足をつけて休憩。


「これはちょっと難しい、というか無理」

「何ならこのスペシャル銛貸すよ。もう午前中分程度の魚は捕ったから」


 文明先輩が自分の銛を貸してくれる。

 僕が使っていた先が3本のものと違い、先が1本で強烈な返しがついている奴だ。

 間違いなく自作。


「午前中分って、どれ位捕ったんですか」

「10匹くらい。もう冷蔵庫に入れたから確認出来ないけれど」


 おいおいおい。

 何か全くレベルが違うんだけれど。

 でもひょっとしたら銛の性能のせいかもしれない。

 その一縷の望みにかけて。


「すみません、お借りします」

 と僕の銛と交換する。


 そんな訳でもう一度シュノーケリングで魚を捜索。

 魚そのものはやはり岩場に近い方が多い。

 だが岩場の上の方で群れているのはちょっと小さすぎる。


 岩場を周遊するように旋回して、そこそこのサイズを発見。

 多分ベラの一種だ。

 上まで泳いで、そして一気に近づき一撃。

 外した。

 やはり難しい。

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