第120話 実食の部に入ります

 先生がスマホで料理の写真を色々撮っている。


「今度はうちの部でもやってみたいですわ、こういう試み」


「先生は普段は何部の顧問をされているんですか」

「料理部よ」


 なるほど。

 正に専門家プロ

 確かに上手だし頼りになりそうだ。


 皆で記念に色々写真を撮った後。

「いただきます」

 と実食に入る。


 やっぱり気になるのはマゴチ。

 2枚程取って食べてみる。

 思った以上にしっかりした歯ごたえ。

 そして噛みしめると甘みというかうま味がしっかり出てきて。

「やっぱり美味しいですね。この魚」

となる。


 ただ個人的には小鯖のしめ鯖はやっぱり好きだ。

 前回よりちょっと魚が大きめでいい感じ。

 この酢がききすぎていないところが売っているしめ鯖と違う。

 売っているしめ鯖の真っ白な色と比べて透明感があるのだ。


 野草類もなかなか悪くない。

 美洋さんのフキ類はもう研究を極めた感じ。

 ただ今回は鶏肉出汁ではなく魚出汁でちょっと和風な感じ。

 たまにはこういうのも悪くないから。

 マヨで食べる野草もそれぞれ美味しい。

 今回は癖が少ないのが多いかな。


 なんて実のところ。

 感想をいちいち考えている余裕はあまりない。

 あれだけ捕ったのにどんどん減っていく。

 人数が多いせいもあるけれど。


「このヒイラギ、身は薄いけれど独特の味がしますね。他とつゆは一緒の筈なのに」

「でもこの味が美味しいのですよ」

 未亜さんは御飯に魚を煮た汁をかけて食べている。

 上品では無いが気持ちはわかる。


「でもヒイラギはこのカリカリに揚げたものの方が私は好きだな。骨も気にせず食べられるし」

「私は煮物だとゴンズイの味噌炊きがいいかな。ホクホクしているし味噌と合うし」


 人によって色々好みは違う模様だ。

 僕は煮物系はどうでも良くて小鯖のしめ鯖と南蛮漬けが最高。

 無論マゴチの刺身を除いてだけれども。

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