第118話 よってたかってお料理中(2)

 先生は既に何かの魚をさばいていた。

 かなり変わった形の魚だ。

 形は今回僕らが釣ったメゴチに似ている。

 でもサイズが全然違う。


「その魚は何ですか」

「マゴチだ」

 美洋さんの質問と川俣先輩の言葉が重なった。


「マゴチって」

「なかなかの高級魚なのですよ。キロ2000円位はするはずなのです」

 これは未亜さんだ。

 値段が出てくる辺りが微妙にせこい。


「よく知っていますね。今日取っておきの場所で投げ釣りで釣ったんですよ。エサは大きい方がザリガニで、小さい方はピンギスで。まあ本当は私が釣ったのは1匹だけなんですけれどね。同行者が3匹釣ったんで1匹お裾分けして貰いました」


「よし、こっちもやるぞ」

「まずは時間がかかりそうなこっちからなのです」


 バケツとクーラーボックスを見て先生が小さく、

「うわっ」

と驚いた後に。

「凄いですねそれ。何処で取ってきたんですか」

 そう尋ねる。


「野草は学校周りです。先輩から色々ポイントを引き継いでいるので」


「じゃあフキは私がやります」

 美洋さんがそう言ってフキのバケツを持っていく。


「なら僕は他の草系の下拵えを」

 その辺は色々先生や先輩に仕込まれたからわかる作業だ。


「私も手伝う」

 彩香さんがそう言ってくれた。


「なら私と先輩とで魚方面なのですよ」

「よし、味方として不足は無い」

 未亜さんは器用だし先輩は1年分色々知っているしでちょうどいいだろう。

 そんな訳で調理というか作業開始。


 まずは結構多いシロザの粉の洗い流し作業から。

 彩香さんと2人で洗っては水を入れたボールの中へを繰り返す。

 ツユクサとスベリヒユは洗って適当な大きさに切るだけ

 ミツバも基本洗うだけ。


「基本は湯がいてマヨネーズかな」

「少しは天ぷらにしようよ。どうせ魚組もあげる作業をするだろうし」

「その通りなのですよ」

「あとミツバは少し寄越せ。汁に使う」


 色々意見が飛び交いつつ、少しずつ調理は進む。

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