第2部 夏・7月から~

第7章 梅雨が過ぎ夏遊び

第111話 梅雨の間はひっそりと

 中間テストとか梅雨とか期末テストとか。

 あまり楽しき無い季節が通り過ぎていく。


 僕個人としてはテストは嫌いではない。

 順位が出るのも本来ならゲーム感覚で楽しむ方だ。

 ただ成績いかんでは奨学金停止。

 それは退学→地元公立中学へ転校という悲しいコースに繋がる。

 その緊張感は流石にちょっと苦手。


 ただテストに備えての勉強会は一応やった。

 これは美洋さんの要請による。


「未亜に聞いても『何がわからないのですか、こんなの当然じゃないですか』としかかえってこないんです。わからないから質問しているんですけれど」

「こんなのわからない方がわからないのですよ」

 という訳で。


 美洋さんの歴史、地理、生物、地学の教科書の重要部分に赤線を引いて。

 数学の問題文から方程式を作る方法論を教えこんで。

 英語の単語と文法、特に三人称単数現在形とかの例外を覚えさせてと。


 ちなみにこの作業、誰も手伝ってくれなかった。

 未亜さんはさっきの通り。

 彩香さんの説明というか理解は感覚的過ぎて理解しにくい。

 川俣先輩は雨の時は基本的に寝ていて動かない。

 先生はわからないところだけは教えてくれるというスタンスだ。


 でもまあ、美洋さんは理解力はあるので教える作業も難しくはない。

 結果中間テストも期末テストも僕は総合順位2位をキープ。

 美洋さんは総合28位まで大躍進した。

 なお彩香さんは相変わらず総合1位で、未亜さんも総合5位だったけれど。


 梅雨の間は本格的な活動はお休み。

 せいぜい『食べられる野草講座その2梅雨編』をやった位だ。

 雨の合間に出向いてアカザとかツユクサとかヤブカラシとか。

 あとはお馴染みのフキとかもだ。


 テスト勉強しながら。

 先生がちまちま作った野草料理の試食をしながら。

 夏の計画をたてる。

 梅雨の間の放課後はそんな感じ。


 梅雨前線は頑張っていてなかなか動かない。

 7月もあと1週間で夏休み。

 期末テストも結果発表まで終わった7月17日金曜日。

 やっと梅雨明け宣言が発表された。

 そして土曜からは3連休だ。

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