第79話 現場で少し調理して

 ロープでガンガンと登ると。

 いかにも遊歩道っぽい場所に出た。

「ここからはこの前より楽だぞ。急ぐとすぐ着いてしまうからゆっくりな」


 確かになだらかだ。

 作業用の車両でも通るのだろうか。

 でも軽自動車より幅が狭い専用のトラクタみたいな奴だな。

 そんな感じでそれほど疲れを感じずに見晴台のある山頂に出た。


「到着!という訳で、早速だが飯の用意行くぞ」

という事で広場の一角にビニールシートを敷いて準備開始。


「まずは全員食器を出せ。大小両方。スプーンは自分で持っていてくれ。あと悠はヨーグルトの袋を開けてくれ」

 言われたとおり僕は袋を開ける。

 ヨーグルト2パック、タッパー2つ、瓶2つが入っていた。


「悠はヨーグルトを大きいタッパーに入れて、小さいタッパーの中の刻んだ野菜と混ぜ合わせてくれ。味見と調整は後で私がする」


 というので言われたとおりにする。

 白いヨーグルトに刻んだタマネギとキュウリ、そして緑色の豆が混ぜ合わさった。

 この時点で僕には想像出来ない食べ物だ。

 ヨーグルトというと基本的には甘いおやつ系しか浮かばないから。


 そして先輩は御飯の釜くらいの巨大タッパーを出して、蓋を開ける。

 ふっと辺りに独特な南国の香りが立ちこめた。

 嫌な香りではない。

 食欲をそそる香りだ。


「よしよし、いい感じだ」

 そう先輩は言って巨大タッパーを女性陣に渡す。


「これを適当に大きい方の食器に盛ってくれ。全部は入らないだろうからおかわり前提。肉とか色々入っているからよろしくな。あと完全に均等に混ぜる必要は無い。場所によって味や香りが違うのも味の一部だ」


 見ると炊き込み御飯のような感じだ。

 ただ香りがカレー風で米が長細い米。

 そして先輩は僕が混ぜ混ぜしているヨーグルトの方へ。


「ではこっちの味付け。まずはクミンパウダーを入れる、入れる、入れる」

 片方の瓶を振りまくってカレーっぽい香りをふりまいた後。


「そして岩塩で味付け」

 最初は適当にガシガシ入れ、あとは味を見てちょっと入れて。


「微妙な決め手はニンニクチューブ」

 とチューブのニンニクをちょっと入れて完成。

 それをタッパーを傾けて小さい食器5つに入れる。

 その頃には大きい食器の方も御飯を入れ終えていた。

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