第80話 正体不明な炊き込み御飯

「この炊き込み御飯はビリヤニっていう。そしてヨーグルトの方はライタという。どっちもインドの料理だな。感覚的にはめでたい時のチラシ寿司みたいなものだと思ってくれ。そのまま食べてもいいし、ビリヤニにライタを少しかけて食べてみてもいい。騙されたと思ってご賞味あれ」


 という事でお昼御飯開始だ。

 まずはライタと言われたヨーグルトの方を食べてみる。

 うん、頭が味に追いつかない。

 いつもの食べ物と方向性が違いすぎて美味しいか不味いか理解出来ないのだ。 


 つぎはビリヤニという方を食べてみる。

 まず香りがいかにもという感じ。

 味は辛くはないがコクがある。


 揚げたタマネギ、鶏肉。

 そして炒飯よりは油少なめだが脂がきいた味のパラパラな御飯。

 単なるカレー炒飯とかドライカレーとは味と香りの深さが全然違う感じ。

 微妙に混ざり具合に違いがあって御飯の味も違う。

 それもまたアクセントなのだろう。


 ふと気づいてヨーグルトのスープを飲んでみる。

 理解した。

 セットでこれは一つの世界だ。


「美味しいですね、これ」


「頭の理解が追いつかないけれど癖になる味なのです」

 未亜さんはヨーグルトスープをごはんの上に載せて食べている。

 あれもあうのかな。


「大丈夫か。ちょっと香りの癖があるし、苦手なら別の物を用意するが」


「美味しいです」

 この返答は彩香さん。


 僕を含め3人は返答する必要は無さそうだ。

 特に美洋さん。

 がっつくという表現が一番近い感じ。

 あ、無くなっておかわりしている。


「それならよかった。時間かけて作った甲斐があったな」


「これはどうやって作るのですか」


「あとでレシピを書いて渡すよ。何気に結構時間はかかるんだ。あと最低でも5人前は作らないとちゃんとした味にならないしさ」


 僕もおかわりする。

 今度は肉の他ジャガイモの層も入った。

 そして場所によって御飯の色が違う。

 香辛料が現物のままドンと入っているのが原因だ。

 食べられない香辛料を取り除くのがちょっと面倒。

 でもそれもきっと味のうち。


 今度は少しヨーグルトスープを上に書けて食べる。

 なるほど、これが調和という奴か。

 なんていちいち納得しながら食べまくる。

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