第46話 本日の成果物

 16時30分。

 蕗の葉の佃煮風と蕗の炒り煮が完成した。


「よし、洗って終わり。それにしても結構作ったな」

 葉っぱの方が小さめのタッパー1個分。

 茎の方がそこそこ大きいタッパー1個分ある。


「いや、つい採るのが楽しくて」

「私も」

 そう、美洋さんだけでない。

 僕も、そして彩香さんも気分良く採取してしまったが故に。

 ちょっとばかり多めに採ってしまったという訳だ。


「あそこの蕗は放っておけば生えてくるし問題無いだろ。他だとちょっとは持続性とか考えないとならないだろうけれど、今回は問題無し。

 ところでこれ、味見どうする。カフェで夕飯食べながら皆で味見するか」


 美洋さんが頷く。

「皆さんよろしければそうしたいです。でも、よろしいでしょうか」


「いいんですか。お醤油とか味醂とかも全部美洋さんが用意してくれたのに」


「いえ、実は昨日あのフキが全部食べられると聞いて、どうしてもやってみたくてたまらなくなったんです。だからこうやって料理になって、皆で食べられればそれが一番嬉しいです。

 それに鶏肉は先輩に買ってきていただいてしまいましたし」


「自転車があるからスーパー往復も辛くないしさ。どうせなら皆で美味しく食べたいだろ」


「彩香さん、どうする」

 彩香さんは結構毎日節約しているように見える。

 普通に過ごせば奨学金だけでも何とかなるのだが、衣服等は家で飼って貰う前提。

 彩香さんの場合は衣服を含めて色々節約している感じなのだ。

 それは何となく見ていて感じる。


 そして夕食をカフェで食べればセットで最低350円はかかる。

 パン2個で済ませば200円以下。

 更に彩香さんはカフェの精算機が苦手。

 だから聞いてみた。


「私は大丈夫です。悠君は」

「ならOK。なら片付けたら一緒に行こうか」


「鍋や調理器具はここに置いておいても大丈夫ですよ。下の棚が開いていますし」

 という事で鍋や包丁、まな板は下にしまう。

 醤油等は冷蔵庫へ。

 課外活動制限時間ぎりぎりの16時55分に部屋を出た。

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