第27話 ダイニングの設営中

「これは正確には寝袋じゃない。寒い場所や雪山なんかで使うシュラフカバーと呼ばれる道具だ。本当はこの中に寝袋を入れて使うのが通常の使い方。

 単なる袋に見えるが普通の寝袋よりむしろ高かったりする。先生が使っているのはゴアテックスの高級品で2万円近くする奴だな。雪山用だとこれ位が必要だそうだ。


 さてこの本来は寝袋ではないシュラフカバー。雨具並の耐水性能を持っているし綿がないから小さくもなる。なのでごいごいの山屋とかはだ。中に寝袋を入れず、カバーだけでシュラフ代わりに使っていたりするんだな。下手すればテント無しでこれで寝たりもな。

 ただ普通のキャンプでこれを使うのは単なる山バカ。そう私は個人的に思う」


「馴れると寝心地がいいんですよ。布地がしっかりしているからそれなりに温かく寝る事が出来ますし。綿が無い分自由もききますから楽ですし」

 先生の台詞が微妙に言い訳じみて聞こえた。


 なるほど。

 こういう道具というか落ちもあるわけか。

 参考になるなと思って気づく。

 何の参考になるのだろうと。


「さて、次は料理を作りますよ。

 寝袋を置いて外に出ましょう」


 ◇◇◇


 もう少しで夕方。

 大分太陽が低くなっている。


「暗くなる前に準備しますよ。

 まず皆さん、そこのヘッドライトを付けて下さい」

 まるで探検家のような、ゴム入りベルトで頭に止めるライトだ。

 それを僕ら3人それぞれ頭に付ける。


「あれ、先輩の分は」

「川俣さんはライト無しで大丈夫なんですよ、まあ理由はそのうち」

 なら追及しないでおこう。


 キャンプ用テーブルを出して広げる。

 椅子を人数分組み立てて座った後。

 先生が器具2つの説明をする。


「登山などだと別のガス容器の規格があるのですが、うちの野遊びだと平地と夏山メインなので安いカセットガスを使います。

 このガスバーナーはバーナー部とボンベ部が離れているので、狭い場所でも便利なんですよ。

 あとこっちはガスランタンですね。ガス注入式の小型のものですがテーブルの上に置いておくと便利なので愛用しています」


 そう言って先生はランタンと言った方を持って、カチカチと火をつける。

 40ワットの電球位の明るさで灯がともった。

 結構明るい。

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