第26話 寝袋の優良可不可

「続いてはシュラフ、寝袋の説明ですね。まだ明るくて寝るには早いですけれど、明るい方が色々違いがわかりますから。

 まず自分の寝袋を出してみて下さい。寝袋の袋はさっきのマットの袋と一緒にして自分で持っていて下さいね」

 というので出してみる。

 色々と違いがある模様だ。


「まず栗原さんのから。広げてみてくれますか」

 広げると頭側が大きく、足がつぼんだ形状になっている」


「この形の寝袋をマミー型って呼んでいます。マミーはお母さんではなくてミイラの方ね。ミイラが入っているお棺の形をしているからそう呼ばれています。寒さに強くてコンパクトになるから、登山などでよくつかわれいる形です。


 そしてそのシュラフは中の綿がダウンです。軽くて寝心地が良くて温かい、とってもいい素材なんですけれどね。少々お高いのと水濡れに弱いのが欠点です。一応4シーズン山の上でも使えるタイプです。もし温かすぎるようなら適当にファスナー開けて調節して下さいね。

 で、次は竹川さんのを広げてくれますか」


 竹川さんが広げたのは形は同じだが若干もこもこした感じだ。

「これもマミー型。でも中綿が化繊のタイプです。安いし水濡れに強くて扱いやすいんですけれどね。同じ保温性を求めたらどうしてもダウンよりかさばってしまうんです。これは3シーズン用ですけれど、標高が高い山の上は寒いので、実際は夏山用ですね」


 なるほど。

 栗原さんの寝袋の方が小さいけれど寒さに強い訳か。


「川俣さんのは竹川さんと同じタイプだから省略。

 仲代君のを広げて貰えますか」


 僕のは明らかに形が違う。

 どう見ても長方形だ。

「これは封筒型と言って、登山とかではないファミリーキャンプやオートキャンプに使うタイプです。つまり大きくて持ち運びにはあまり適さない。あと熱の逃げ口が大きいのでどうしても保温性が落ちます。

 つまり平地で快適にキャンプする用ですね」

 なるほど、と頷き賭けて気づく。

 つまりそれ、寒いってことじゃないのか?


「で、ここからは私が説明しよう」

 あ、説明役が先輩に変わった。


「先生は寝袋、いつも大体これを使っている」

 形は一回り大きいけれどきっとマミー型。

 でも違う。

 綿が全く入っていない。

 その代わり生地がしっかりしている。

 雨具の生地で作った寝袋型の袋、という感じだ。

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