第21話 勝手知ったる他人の家

 勝手知ったる他人宅。

 そんな感じで先輩は玄関ドアを開け。

 右側の扉を開けて入っていく。


「靴下が濡れていたら脱いで上がってくれ。汚れるのは気にしなくていい」

 まるで自分の家のようにそんな事を言って中へ。


 僕ら3人も顔を見合わせた後。

 先輩の後を追って部屋へ。


 そこそこ広いフローリングの部屋。

 10畳ちょい位だろうか。

 家具は鏡だけ。

 あと大きめのテレビが1台。

 モップ1本。


 部屋の隅に今日のために出したと思われる色々な装備。

 そして見覚えるある荷物が並んでいる。

 荷物とは先生に託した着替えだ。

 他はひたすら床だ。

 生活感は無い。


 襖が開いていて隣の部屋が見えている。

 あっちも洋間で6畳くらいかな。

 どちらの部屋も窓が2面にあって明るい。


 ばたっと栗原さんが横になった。

 横になったままザックをもじもじ外して。

 そのまま動かなくなる。


「大丈夫ですか?」

 栗原さんは竹川さんの問いに軽く右手をあげる。

 喋る気力は無いけれど大丈夫。

 そんな感じらしい。


「今は先生が沸かしがてら風呂に入っている。後は順番に着替えを持って風呂へ入る。全員着替えたらモップでこの部屋の汚したところだけ掃除。それからそこに置いてあるテントを立てて夕食準備。そんな流れだな」


 なるほど。

 色々な意味で良く出来ている。


「それにしてもこの家、随分高かったんじゃないですか」

「その辺は先生に聞け」

 確かに。

 でもなかなかに快適そうな家だ。

 庭も無茶苦茶に広い。

 敷地の平らな部分だけで100坪は超えているんじゃ無いだろうか。


 と。

 先生が部屋に入ってきた。

 Tシャツ短パンというラフな格好で。

「お風呂沸いていますよ。順番にそうぞ」


「ならまず失礼」

 先輩が立ち上がり、自分の着替え入りらしい紙袋をを取る。


「汚れた服は洗濯しますから、いつものカゴに入れておいて下さいね」

「万事了解」

 先輩はそう言って消えて行く。

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