第22話 通勤限界地帯なので安いんです

 Tシャツに短パン。濡れた髪そのままという挑発的な格好の先生。

 おまけに石鹸系の香りがぷんぷんしている。

 でもまあ若いとはいえ年が離れている。

 だから何となく大丈夫だ。


 そう思ってふと気づいた。

 他3人は年齢近いし色々とまずいんじゃないか。

 そう思ってももう手遅れだけれど。


 そんな思いを誤魔化すように。

「そう言えば先生、ここはご自分で買われたんですよね」

 今まで思った疑問を直接聞いてみる。


「ええ。今はこの辺りかなり安いんですよ。ここは急坂の上だから余計に。大学時代に借りていたマンションに10年ちょっと住むと思えば買える位ですね。だから思い切って買ってしまいました」


「でもここ、庭も広いし明るいしいいですね」


「ええ。あと広いから色々ものを置けますしね。他にも市街地ぎりぎりでこの高さですから周りの家から庭が見えません。だから気兼ねなくテントを張ったり出来ます。

 あと、私自身は普段は2階で生活しているんです。ここと隣の部屋はこんな時や仲間内で集まる時用ですね」


 先生はそう言って。

 ふと立ち上がり玄関の方へ行って。

 お盆を持って戻ってくる。

「取り敢えずどうぞ。冷えていますよ」

 スポーツドリンクとかのペットボトルだ。


「すみません、でもいいですか」

「ええ。安い時にディスカウントストアでまとめ買いしてあるんです。広いから大学時代の仲間とここで集まったりもするんですよ。その時用です」

 という事なら遠慮無く。


 スポーツドリンクは栗原さんへ。

 へばって伸びて動けないまま欲しそうな目で見ていたので。

 オレンジドリンクは竹川さんが手に取った。

 僕は残ったコーラをいただく。


 うん。

 甘みが気持ちいい。

 でも疲れた身体に炭酸はちょっときつい。

 ちまちま飲んでいると。


「風呂上がった。次どーぞ」

 向こうから川俣先輩の声がした。

 栗原さんは動く気はない模様。


「なら私が」

 と竹川さんが立ち上がった。

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