第12話 謎の目的地
「ちょっと待ってな。代表的な写真と活動報告を出すから」
川俣先輩は全体の動作に見合わない速い操作でパソコンを操作する。
その間に僕ら3人は互いに自己紹介。
彼女は
やっぱり1年B組だそうだ。
そんな事を聞いている間にレーザープリンタが動き始めた。
先輩がふらーっと立ち上がって、印字した紙を取ってくる。
ぱぱっと僕ら3人に配る手先の動きだけは異常に速い。
「昨年やったハイキングと釣り大会、あとは新人歓迎合宿だな。去年の新人は私1人だったけれど」
僕らは配られたプリントを見てみる。
ハイキングの費用は昼食代だけ。
釣りは仕掛け代と餌代で1人500円
合宿も夜朝の食事代だけだ。
「これなら費用的に問題は無いかな」
「うーん、でも装備はちょっとお金かかりそうですね」
「まず必要な装備は雨具ぐらいですね。使い古しで良ければ貸せますよ。ザックは本格的な山ではないから安いディパックで充分です。靴もこの辺のハイキングなら普通の運動靴で大丈夫ですね」
先生がそう説明する。
「テントとかは」
「全部貸せるから大丈夫です」
どうも色々貸し道具が充実しているようだ。
そんな僕達と先生とのやりとりを聞いて。
川俣先輩がにやりと笑った。
「どうせなら1回、お試し合宿をしてみないか。この学校から絹笠までのコースで、泊まりはテント。荷物は事前に移動させておくから行程中は昼食と水、雨具だけ持って歩けばいい。雨具は先生が貸し出し用を持っている」
「あのコースは後半がちょっと平坦で街ですけれどね」
「でも気軽ですし、最初にはちょうどいいでしょう。色々紹介にもなりますし」
「そうですね」
と先生と川俣先輩は頷き合った。
「なら去年の計画表を出しておくよ。参考に」
と言って川俣先輩が再びパソコンを操作する。
また紙が2枚ずつ渡された。
「まずは地図から見てみてくれ」
というので言われた通り見てみる。
出発地点は学校。
学校前の川に沿った林道をずっと上っていって。
更に川沿いのハイキング道を上っていって。
尾根伝いに山頂を2個踏んで。
お寺や神社、菖蒲園などを見ながら下りていくルートだ。
山頂といても所詮二浦半島。
標高はせいぜい200メートル程度。
ただ。
「この目的地はバス停か何かですか」
最終目的地が特に何でもない場所になっていた。
駅までも600メートル位の場所。
ここに何があるのだろう。
そのあたりが良くわからない。
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