恋愛を題材にした物語にあふれた昨今ではあるが、さて、これほどに純然たる恋物語が今の時代にどれほど見つかるだろうか。まっすぐに恋を詠い、恋に振り回される心の機微を記し、読者が恥ずかしくなるほどの好意を描いた作品が。自分では決して描くことのできない「少女の恋心」を、私はこの作品に見た。