新型コロナの休校に伴う給料補償、フリーランスの半額問題

 健康的にも経済的にも今もなお大猛威を振るっている新型コロナ問題。政府の要望により一部の学校を除き3/2から一斉に休校となったため、政府は働く親への支援の一環として正規・非正規社員に関わらず子供の世話を理由に休んだ人へは一日あたり最大8330円を雇用側へ支給することを決定した。


 そして後に雇用形態をとっていないフリーランスの人へも企業から業務委託を結んでいる人には一日最大4100円の支給を決定する。


 そう、今現在問題になっているのは、企業に雇われている親もフリーランスの仕事をしている親も休校になって困るっているのは同じなのに何故フリーランスの親には半額以下しか支給しないのか?という問題だ。


 そこでまずは社員と業務委託を受けているフリーランス、それ以外のフリーランスの違いを考えてみよう。


 これを執筆しているのがカクヨムなのでカドカワの出版社で言えば解り易いだろうか。編集者などは間違いなくカドカワに雇われている社員なので間違いなく子供の世話をする理由で会社を休んだら一日あたり最大8330円がカドカワに支給される。


 カドカワのレーベルから出版しているラノベ作家はどうなるだろう?もちろんカドカワから雇われているわけではないので社員ではなくフリーランスになるわけだが、子供の世話の為に執筆活動の休止を理由に一日あたり最大4100円の支給を受けるにはカドカワから業務委託を受けていなければならない。


 結論から言えば通常のラノベ作家の執筆活動はカドカワからの業務委託にはならないので政府からの支給はほぼ間違いなく受けられないと思う。何故なら、漫画や小説などの書籍の著作権は作者にありどちらかと言えば作家側がカドカワのレーベルに販売委託をしている形であるからだ。


 出版社でいうとライトノベルの出版に際し誤字脱字や文章のおかしい部分を修正する『校正作業』をフリーランスに委託している企業があると思うが、これは恐らく本来出版社が担う編集作業の一部を委託しているということで、休校に伴い仕事をキャンセルしなければならない人へは一日あたり最大4100円が支給されるだろう。


 難しいのはイラストレーターだ。ラノベの出版に際して表紙、裏表紙、挿絵などをレーベルから委託されているイラスト作家などはどうなるだろう?まず委託かどうかは置いておいたとして、既にレーベルから依頼されていて子供の休校に際して完全にキャンセルせざる得なくなった場合は良い。


 しかし例えば挿絵3点、納期2週間の仕事を依頼されて期日内で納品できた場合は仕事を休んだかどうか判断が出来ないだろう。フリーランスはある程度長いスパンでの納期なら休日も自分で決められるので、本当にお金に切羽詰まっている人なら休日=子供の世話で仕事を休んだことにするかもしれない。


 そして本当は毎日仕事をしていても1日中24時間フルに仕事をして3日分の作業をこなしたことにしておけば納期通りの仕事をしたとしても1週間のうち5日は子供のために休んだと主張できる。


 そもそもフリーランスの仕事の大半は歩合給なので実質の労働時間はわからない。毎日一日1時間で終わる仕事でも構想に時間が掛かったとか言えばなんとでもなろう。極端な話、政府が保証してくれる期間前後に請け負う作業量を上手に分散させておくと、納期にさえ間に合えば収入はそのままで補償は毎日受けられる可能性もある。


 別にこれはフリーランスならばズルが出来ると言いたいわけではない。つまり、フリーランスの仕事は会社に出社してその時間拘束されるわけではなく、自分の裁量で上手にやりくりしやすいので、政府が実際にその人が休んだか、収入が減ったか把握できないということだ。


 そして仮に政府の補償期間内の収入がゼロだと証明出来ても本当に仕事を休んだかの証明にはならない。何故なら納品を遅らせた上で完成した作業を自分のところで貯めておいて補償期間後に一気に納品すれば良いだけの話だからだ。


 結局のところ、何故フリーランスの人は一般社員に比べて補償が少ないのかと言われると、政府とて有給もタイムカードもないのに個々の勤務実態の把握など不可能だからと言うしかなく、そのような委託作業をしているフリーランスの方が実際に補償を受け取れるかと考えると後々政府が駄々をこねる不安がある。

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