何故日本人は高い料金を払ってまでメインキャリアスマホを持ち続けるのか?

 今回は菅官房長官の肝入りで進められている携帯電話料金改革について話をしようと思う。


 正直言って日本の携帯料金は事実上高い。しかし実際には格安SIMと呼ばれるMVNO回線(ドコモ等から回線を借りた格安携帯電話会社)を使用すれば通常メインキャリアと言われるドコモ、au、ソフトバンクに比べ格段に安い料金で維持できる。


 かくいうこの私もネットにて新品14000円で購入したスマホに同じくネットで契約したMVNO電話会社の格安SIMを差し込んで利用しているので、携帯電話通信費は毎月1300円以下に収まっている。


 しかし、会社の同僚や家族、知人、友人を見ても殆ど3大メインキャリアで月8千円近く払っているが大半だ。


 もちろん私は格安SIM勧めているが、どんだけ安いと言っても実際に乗り換える人は少ない。



 その一つ目の理由は『何かあった時お店の人に対応してもらえない』だ。


 現状日本人の殆どがスマホを持っているが、元々パソコンなどの機械関係が得意な若者ならともかく、中年や老人、普通の若者でも『スマホを変に弄ったら自分で直せない』人が実に多い。


 実際に私はよくスマホの異常で困った人に相談されて修復してあげているが、その殆どはちょっと設定を弄れば直る程度のことなのだ。


 と、言っても私もただ不調のスマホだけを渡されても直せるわけではない。しかし不調の要因をネットで調べてみたら簡単に対応方法が出て来るので、実際にそうすることで殆ど直ってしまうのだ。


 そして現在の私はスマホの不調の殆どを自力で直すことが出来るから、いちいちショップの人に頼る必要がないという自信を持っている。それは実際に不調を直した経験によるものが大だろう。


 逆に言うと大半の人はネットで書いてあることをすれば簡単に直るのに『更にヘタに弄ると余計におかしくなる』という不安から実に単純な操作ミスでの不具合でも『自分はスマホを直せない』と思い込んでいるのだと思う。


 すなわち『近くにショップがある携帯電話会社じゃないとダメだ!』となるわけだ。



 二つ目の理由は『最新端末を分割で買えない』からだ。


 多くのMVNOでは人気機種であるiphoneにしろエクスペリアなどの最新端末を取り扱ってないので、確かにそれらの最新端末を気軽に分割で購入するとしたら3大キャリアに頼るしかない。実際にはネットや直販などでローンを組んで端末のみを購入しても分割できるし、過度な割引が出来ない現在では直接購入した端末と格安SIMを組み合わせた方がはるかに安い。


 しかし、結局のところは新たにローンを組むのは不安なのに対し、月々料金が高くなったとしても端末代金が通話料金と合算請求となる手続き不要で慣れているキャリア決裁に安心感があるのだ。


 それに加えて、3大キャリアは十数万する最新端末を紛失したり再起不能なまでにぶっ壊れた場合でも手軽に保証してくれるのでユーザーの安心感は月5~6千円ほど高くなっても3大キャリアを選ぶのだろう。


 私も実際にドコモからMVNOに切り替える際、異常はないが3年ほど使用してボロボロになったスマホをドコモに持って行ったら5千円で新品の外装のものと交換してくれた。今でもそのスマホは予備や姪っ子のスマホゲームの端末として大活躍してくれている。


 いくら格安SIMが月1300円で使用できるのだとしても、これらの安心感には敵わないのかもしれない。


 三つの理由は上記でも少し紹介した『通話料合算請求、キャリア決裁』の便利さによるものだと思う。


 例えばドコモが発行しているdプリペイドカードを持っていたら、ドコモの携帯料金合算でチャージできるので、コンビニだろうが電化製品店だろうが何だろうがクレジットカードが使える店ではキャリアの定めた上限金額までなら通話料金で支払えることになる。最近はアマゾンの支払いにも使用できる。


 これは便利だ。クレジットカードは借金をしているような不安があるが、電話料金として請求されるのはその不安が無いというのは結構な人が持っている感覚なはずだ。


 そして、お小遣い制の旦那さんや子供などの中には電話代として払っちゃえばお小遣いを使わなくて済むなんて悪知恵を働かせている人も多いのではないだろうか?


 今や通話料定額が基本なので毎月の料金変動は少ないが、少し前までは通話時間に対して請求額が変動していたので、その月の請求金額が多少高くても親や奥さんの小言で済む場合が多かった。今でもゲーム課金などが許されている人ならその月の請求がちょっと高くてもお小遣いを減らされることはないだろう。


 すなわち、ちょこっとアマゾンで買い物したりコンビニでジュースやお菓子を買う分には日によって小遣いでの支払いと混ぜていたら多分バレないということだ。何故なら明細を細かくチェックする人ならともかく、明細レスによりネットやメールで総額だけ確認する人も多いので、元々月一万以上払っている人の請求がその月が二千円程度高くなったとしても『ちょっとゲームで課金しすぎたな』くらいに思って貰えるだろう。



 まあ、色々書かせてもらったが、結局のところメインキャリアがあの手この手でユーザーを引き留めている一種の『楽さ』を一度でも覚えてしまった『人間』の心は、月数千円程度で動かすことはできないということなのだろう。

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