いじめ教諭事件による加害者の処遇


 コロナ問題が発生する前に大いに世間を騒がせていたのは小学校の教諭間で発生したいじめ事件だろう。


 本来なら生徒間でのいじめの監視及び防止へ全力で努めなければいけない、小学校教師の間でいじめが発生したということで、この話題は大きく世間の注目を浴びた。


 そこから調査委員会などが設立され、現在になってようやく事実関係が明らかになり、暴言等89件、暴力や物理的なセクハラなどが34件の計123件が調査により認められた。


 普通に考えればこんなの懲役もんだろ?と思われるかもしれないが、専門家たちの予測では書類送検、略式起訴、罰金刑になるだろうとの見解が多いようだ。


 ちょっと待て。いじめの内容を見て欲しい。


『膝蹴りや両脚を抱えて振り回すなどプロレス技を掛ける』

立派な暴行である。


『携帯電話から女性教諭にセクハラと受け止められるメッセージを

いじめで恐怖感を植え付けた人に犯罪を強要。悪質性は直接的なのセクハラの数倍なはず!


『手足を持ってプールに放り投げる』

いやいやいや、嫌がる相手にこんなことしたら殺人未遂でしょ。


『養生テープで拘束し放置』

『暗い体育館や校舎屋上の物置部屋に閉じ込める』

精神的ダメージと加害者への恐怖心は暴行以上だと思う。


『運動会の準備中に指を金槌で打つ』

え?わざと?わざとなの!?


『熱湯入りのやかんを顔に近付けた』

いわゆる加害者が被害者を思い通りにするための拷問?『俺の言う通りにしないと、やかんを当てるぞ』的な。


『車の屋根に乗って蹴る』

『携帯電話のパスワードを誤入力で使えなくする』

『スケジュール帳にペンで乱雑に書き込む』

器物破損ラッシュの一部。


『首をボールペンで突く』

『模造紙の芯で尻を打ちあざやみみず腫れ』

あ……あかんがな。


 そしてこれら(一部)の被害があり、校長に助けを求めた結果、校長は軽くスルーして加害者から『何を言った?』という告げ口脅迫を受けてしまう始末。


 気の弱い私なんかはこれらの一件でも思い悩んで自らの命を絶ってしまいそうなほどの重大案件なのに、専門家たちの予測では『既に小学校教諭の懲戒解雇で社会的制裁を受けているので略式起訴と罰金刑が濃厚だろう』とのことだ。


 実際に裁判が行われたわけではないので結果として語るわけにはいかないが、この予測が正しきれば、加害者の教諭は略式起訴により裁判期間が短くなって精神的負荷が普通の起訴より軽減されるだろう。


 そして、罰金刑が幾らかもわからないが自分の保有する財産以上が接収されることは絶対になく、蓄えがあれば罰金を払った上でも自由な生活を送ることが可能だ。


 十分に社会的制裁を受けているというのも所詮はただ公務員という職を失っただけである。自分の顏が割れていない土地に移り住み、知人や親戚の元で新たな職を見つけたり、そもそも他にスキルがあって個人でやる仕事なら再就職にも影響しない。下手をすればこの失職を機に新たな才能に目覚め現在より高い収入を得るきっかけになるかもしれない。


 多少突飛的な考察になってしまったが、PC一台あれば自分が食べて行く分の収入くらいは普通に稼げる時代に『懲戒解雇による失職の社会的制裁』が123件の犯罪を被害者に咥えた加害者の刑事罰を軽減させるに十分なのかは疑問符がつく。


 そして私がこの事件を調べるにあたり、一番の発見になったのは『123件の罪を犯しても決して罪が123倍になるわけではない』ということだ。


 つまり起訴後に再犯すれば別カウントになるので、罪を犯すならば(略式)起訴される前に重ねておけと言うことなのだろうか。


 まあ、麻薬なんかは逮捕前に一回やっても二回やっても罪が倍になるわけではなく、でも再犯は別カウントだ!という理屈はわからないでもないが、被害者の立場になって欲しい。


 むしろ自分の受けた犯罪が公になり一度立件が済んでいて助けが求めやすい再犯よりも、いつまで続くのか?自分が助けてもらえるのか不明な起訴前の方が被害者の心理的、物理的ダメージは大きいのだと思う。


 もし略式起訴になれば『100万円以下の罰金・科料による軽犯罪』として123件の犯罪が並列処理されたことになる。


 いくら軽犯罪でも123件を合算すればもちろん100万円の罰金・科料を軽く超えることになるので、被害者の立場を考えると今回の事件の判決は『個々を見ると軽犯罪だが、合わせれば数え役満!すなわち重罪である!』との判決が出るべきだと私は切に望む。

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