学校における子供の熱中症問題の本質


 現在、小中高の学校において生徒の熱中症が尋常ではない程の問題を抱えている。


 実際に亡くなった生徒や多数の救急搬送された人もいて、それに応じ課外授業やプール、体育、部活動が中止になった学校も多数存在する。


 甲子園の試合開始時間にも影響があり、夜間照明を使用したナイタープレイが行われたのは皆さんも驚いたのではないだろうか。


 学校に通わせている子供を持つ親の中には、熱中症になった責任を先生や教育機関に問う人も多い。


 もちろんそれはそうだろう。


 熱中症になる前に適切な対応をしていれば、自分の子供が死ぬことも病院に担ぎ込まれることも無かったはずだ。


 しかし、先生の対応ばかりを問題視していては決して本質には辿りつけないだろう。


 それは如何に現場判断が難しいかがポイントとなる。


 どんに日差しが強く気温が高くても、きちんと水分・塩分を摂取していれば熱中症にはならない子は元気なままだ。


 その反面、少し気温が高いだけでも熱中症になってぐったりとしてしまう子もいる。


 そう言う体の弱い生徒は、気温30度程度までなら大丈夫かと言われても大丈夫とは言い切れない。


 そこを加味して考えると、実際には色々な生徒を30~40人も一人で見ている担任の先生に確実な対応を求めることができるのか?ということになるだろう。


 現実的には不可能である。


 100%の安全を求めるなら、学校を閉鎖してインターネットなどで在宅授業をし、熱中症になったら各々の家の問題にするしかない。


 若しくは生徒ひとりひとりに医者や看護師をつけ、常にバイタルチェックを行いながら授業をするしかない。


 つまり、100%の安全は実現不可能なのだ。


 しかし、100%により近づける対応は可能だ。


 全教室エアコン完備、課外授業や部活動、体育の中止、現在政府が検討している夏休みの延長なんていうのも効果的な対策だろう。


 それでも、それらが実際に実現できるかどうかは不明であり、デメリットも確実に存在する。夏休みを延長すれば学力低下は免れないし、部活動を中止すれば、大会を控えた選手の夢や希望を阻害することになる。


 エアコンにしても、その財源はどこにあるだろうか。


 実際に大型扇風機を取り付けてしまった学校はその予算をドブに捨てることになるし、今年のような猛暑を予想できなかったことを、今年になって初めて非難するのも些か自分勝手だと言わざるを得ない。


 そして一度エアコンに慣れてしまうと、人が耐えられる気温の限界を著しく下げてしまう。


 熱中症になってしまう原因は気温の高さより、気温の変化への対応力の問題が大きい。


 つまり、急激に上昇した気温に身体が慣れていないということだ。


 北国の人より南国の人の方が熱さに強いというように、自宅のエアコンで快適な生活に慣れしてしまうと、エアコンの無い高温の場所での活動が困難になってしまう。


 結局、自宅でも学校でもエアコンありきの生活が当たり前になってしまえば、今までなんとか適応できていた生徒まで、エアコンなしの場所での活動に適応できなくなってしまう危険がある。


 極端に言ってしまえば、宇宙服ような空調管理が出来ている防護服を着なければ外へ出歩くことも難しくなってしまうかもしれない。


 結論から言うと、この問題の本質は誰かに責任を押し付けるようなものではなく、国民一人一人が未来や将来を見据えて取り組んで行かなければならない切実な問題なのだ。


 猛暑は自然災害だと捉え、それを防ぐためのあらゆる対策を吟味し、それらのメリットデメリットをよく考えて、仮に多少のリスクが残ってしまったとしても、子供たちの将来に向けたよりベターな選択をすべきだろう。

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