第4話
変なカンジがした、寝袋から這い出てみると。
昨日とは、全く違う景色が目に飛び込んできた。
朝日に照らされて、オレンジ色に染まる大地。
「黒い」森さえも、朝日に照らされて燃えるような色になっている。
こういう、幻想的な光景を見ていると
「やっぱり生きているんだなぁ」
という、感情がこみ上げてくる。
て、上半身裸の女が何を言っているんだか...
私は、そんなことを考えつつ、「家」の周りを寝起きの運動として、歩く。
寝起きは、運動でもして血行を良くして、頭の回転が速くなるようにしないと。
こういう、小さいことも気にしていかないと、騎士なんてできないさ。
砂地というのは案外歩きにくいものだ。
そのせいで、無駄に体力をくわれてしまった。
それに、汗もかいちゃったし。
腕を上げて、試しに自分の脇のニオイを嗅いでみる。
「わっ」
思わずこんな声が出てしまった。
こんなにおぞましいニオイになっているとは。
さっさと、昨日見つけた一枚岩の所まで行って、体を洗ってしまおう。
こんなニオイをしていたら、ゲンナイがストライキを起こして、乗せてくれなくなるかも。
私は、1人で「黒い」森を歩くのを想像し、我が身を抱いた。
おっぱいが強調されているポーズになってしまい、自分で吹いてしまった。
こんなんじゃ、怖いなんて感じられないや。
私は、窮屈になっていたおっぱいを開放すると、一枚岩を見つけた所まで歩く。
前に...
「せっかく、水のある場所まで行くんだから...ね、っと」
大きめの鍋と金属の着火器具、タオルを用意。
おっと、コップも忘れずに持ってかなきゃ。
意外と大荷物になってしまったが、ちんたらしているとゲンナイが起きてしまうかもしれない。
早く用は済ませてしまおう。
...早く朝ごはんも食べたいし。
そんな私の心を代弁するように、お腹が「ぎゅるる」と音を出す。
「ちょっと待ってろよ。いいもん食わせるからさ」
私は、自分の腹に言い聞かせる。
なんともおかしな光景になっていただろう。
朝の陽が、私の背中を焼いてゆく。
昨日ゲンナイに乗っているときは、あんなに寒く感じたのに。
気温差が激しいのだろうか。
「風邪ひかないように気を付けなくっちゃな...」
そう、健康管理はしっかりと。
騎士の基本である。
砂の地面に足を取られ、朝の陽に背中を焼かれ。
ようやく昨日見つけた一枚岩まで来たとき、私は汗ぐっしょりだった。
私は、まず持ってきた荷物をそこらへんに置く。
ここへ来る途中に拾った、木の枝をガサッと落とす。
この水を沸騰して、飲み水にするためだったが、大変だった。
枝がね、ちょっと、あんな所に当たったり...
結構いたかったんだからぁ...
もう、私の綺麗なおっぱいに、傷が出来ちゃうところだった。
まったく。
私は、まず、鍋にたっぷりと水を入れる。
水をためている間、私は地面が砂だということを忘れて、そこらへんをゴロゴロしていた。
たまにはね、こうやって朝からのびのびするのも、悪くないってものだよ。
水が鍋からあふれるぐらいにたまるまで、私は普段できないようなグダグダ具合を見せていた。
ふと、気付く。
「私、砂着きまくってる?」
そう独り言を放ちながら下を向けた私の頭の動きは、「ギギィ」と錆びついた鎧のようだっただろう。
「あ、これは面倒くさいやつか...はぁ」
私は、砂を軽く払い、ひとまず汗を流すことにした。
「なんでこういう、手間が増えるようなことをしちゃうんだろう。」
その答えが出ることはなかった。
顔の上まで上げた鍋から、少し水色がかった水がこぼれてきて—
「ひゃうんっ//」
とっても冷たかったですね。
あれは。
私は少しの間、おっぱいを抱いてしゃがみ込む羽目になった。
「冷たすぎるよぉ...」
今さら遅い、のであった。
タオルで自分の顔、おっぱい、腹、脚についた雫をふき取る。
さっきまで、うざったく感じていた陽が、今はありがたいくらいだった。
「あー、おっぱい丸出し気持ち~」
あられもない感想を口に出したところで、早く飲み水を確保して「家」に戻ろう。
なるべく汗をかかないように。
「家」には無事、何事もなく戻ることが出来た。
私は、寒さで黙らせたお腹が、復活する前に朝食を食べることにした。
遠征なので大したものは食べれないのだが...
「くぅ~うめぇ~」
女らしからず声を出し、私はゴロンと仰向けになる
胸がボロン、と変な方向へ向くことはない。
私は、やっと半裸族から進化したのだった。
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