第3話
ゲンナイは、私が言った通りに上昇してくれた。
「わぁ...」
私は、思わず息をのんだ。
私とゲンナイの前に広がるは、広大な「黒い」森。
地平線の彼方まで広がっているのか。
終りが見えない。
一体私の配属地はどこなのだろうか。
軽く絶望してしまう。
そういえば部隊長が
「お前の今度の配属地は、かなり遠いらしいぞ。」
なんて、珍しく私を心配してくれてたっけな。
思わず苦笑いしてしまう。
「そんなわけないか」
と。
しかし
「あ、そうだ。お前の配属地は土地のがやせてるらしいから、作物があんまりとれなくて食べ物には少し困るかもな。帰ってきたとき、自慢の‘‘おっぱい‘‘をしぼませてたら嫌だからな。そこらへんは気を付けたほうがいいかもな。ははは!」
ははは!、じゃねーよ!エロ部隊長め。
どんだけ見たいんだよ。
私は、自分の胸に視線を落とす。
「全く、オスは何でこんなものが好きなんだか...」
やれやれ、とため息交じりに首を振る。
ゲンナイは
「そんなのいいから早く休ませろ~」
とでも言いたいのか、さっきからクネクネしている。
こんなところで、変に体を壊されると困る。
私は、少し間を置いてから
「ゲンナイ~、下がって~」
と言う。
「やっとかよ、まったくもう休むからな!」
とでも言いたいのかゲンナイは、荒っぽく下がっていく。
少しの衝撃があり、ゲンナイは無事に着地した。
慣れてないと、たまに骨折しちゃうんだとか。
こんな所で、そんなポカされたらもう致命傷だからね...
信じてるぞ、相棒。
飛んでいるときは気にしてはいなかったが、地面がかなり恐ろしい色をしている。
血液が乾いたような、どす黒い赤色だった。
それに、降りて分かった。
砂だ。
どす黒い赤い砂。
なんか、雰囲気よくないなぁ。
なんて言っている場合じゃない。
我ら、王立騎士はどんなところでも、ものともせずに命をこなすのだ。
それを、忘れてはいけない。
さて、ここで宿営するとしよう。
「黒い」森に入ると、何があるか分からないから。
明日にでも、明るいうちに探索くらいはしてみようか。
私はそんなことを考えながら、まとめてきた荷物を解き始める。
ばっさばっさ
ゲンナイに、砂を吹き飛ばして窪みを作ってもらう。
そこに、持ってきたテントを張れば、雨風がしのげる場所が完成する。
ここが今日から数日間の私の「家」となる。
私は素早く装備していた防具などをドサドサと落とす。
「うぅーん...はぁ。すっきりー!」
重い防具類を取っ払うと、私は結構ラフな格好になる。
ちょっとしたい事があったから、ゲンナイに乗せてもらおうと思った...のだけど。
「ぐす~」
と、盛大ないびきをかいて気持ちよさそうに熟睡しているじゃないか。
ご丁寧に、大粒の涎まで垂らしやがって。
いつもだったら、踵落としでも食らわせてやってるとこだが...
今日は、かなり飛んできたし。
寝ちゃってもしょうがないかぁ...
私は、仕方なく歩き出す。
飛んでいるゲンナイの背中に乗っているだけ。
に見えても実は結構疲れたり。
下半身でバランスとらなきゃいけないしさ。
ずっと縄を持って、方向変える指示をしたりとか。
かなり疲れるのである。
ヘトヘトの私に、「家」の近くを見て周るのはかなりきつかった。
ま、それなりの「収穫」もあったし無駄ではなかったから良かったけど。
私は、王立騎士自慢の体力を振り絞り、「家」の周りを確認。
どうやら、周りに家などは無いようだ。
「黒い」森に行こうと自分を奮い立たせていたとき、私は「チョロチョロ」という小さな音を耳にした。
音の元はすぐに見つかった。
私が振り向いた時に目に入った大きめの1枚岩から、水が湧いていたのだ。
私は、宿営最大の「敵」、水源の確保をあっさりと終わらせた。
私は「家」に戻ると、散らかした荷物から寝袋を探した。
荷物を綺麗に整頓するのって苦手なんだよね。
ま、それに文句を言う人はいないからいいんだけどね。
私は、「冬でも暖かい」寝袋をやっと見つけ出した。
ラフな格好になっているから、肌寒い。
こうなったらやることは1つ。
早く寝てしまおう。
私には、「寝るときのスタイル」がある。
「やーっぱりきもちー!」
私は上に着ていたものを、勢いよく脱ぐ。
王立騎士のオスどもが見たら、何本もカッチカチの棒がニョキニョキはえてきそうな光景だろう。
ブルン、と勢いよくそれが窮屈な服から解放される。
やっぱ、こうじゃなくちゃね!
そう、私の「寝るときのスタイル」とは
「おっぱい丸出し、上半身裸になる」
だ。
部隊長とかの視線を気にしなくていい解放感に包まれたまま、私は寝袋に入る。
色々やってないけど、明日でいいや。
寝袋の生地が擦れてなんか変なカンジするぅ//
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