日曜 A.M.9:45

 日曜朝、俺は柄にもなく教会に来ていた。

 捜索対象をこの教会で見たとの情報を得たからだ。

 渡された資料には奴が宗教をやってる、なんて書いてなかったはずだ。

 困ったときの神頼みという奴だろうか。

 俺にはよくわからない感覚だが、早期に発見できそうなのはありがたいことだ。

 幸いミサは自由に参加できるということで、最後尾の端っこに座る。

 どうやら早く来すぎたようで、ミサが始まるまでは時間があるらしい。

 俺は手癖で煙草に火をつける。

「警告。当教会は禁煙となっております」

 背後からの声に、思わず煙草を落としそうになる。

「あ、ああ。悪かった」

 ポケット灰皿に煙草を放り込みながら振り返る。

 声の主はアンドロイドであった。

 少し気が抜けた俺は、思わず嫌味をこぼしてしまう。

「アンドロイドがなんの神を信仰するってんだ?」

「首肯します。確かに私は人ならざる身ではありますが、主への思いは人と変わらないものだと判断します」

 てっきりただの手伝いだと思っていたが、どうやら本当に信徒だったらしい。

 だから、今度は嫌味抜きに純粋な疑問をぶつける。

「おいおい、お前らを作ったのは神じゃなくて人間だろ? どうして神なんか信じてられるんだ」

「同意しかねます。それなら人はそれぞれ父親と母親に作られた存在だといえます。私たちアンドロイドと何が違うというのでしょうか」

「難しい話は分からねぇや。ま、勝手にしてくれ」

 どうやらこいつは本気で言っているらしい。

 不気味になってきた俺は適当に話を切り上げる。

 柄にもなく早起きしてきたので、どうも眠くて仕方がない。

 どうやらミサが始まるまでまだ時間はありそうだ。

 少し眠ったところで問題はないだろう。

 そう判断した俺は、睡魔にあらがうのをやめた。

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