第10話

 チームを組んでから、十日ほどたったある日。僕らは草原にいた。あるクエストの帰り道。一体の巨大なネズミのようなモンスターと、交戦中だった。

 グリフィンの頭上に『急降下爆撃きゅうこうかばくげき・改』の文字が現れた。グリフィンは翼を羽ばたかせ、上空へと舞い上がる。画面から見えなくなるほど上昇した。そして、体をきりもみさせながら、猛スピードで落下してくる。そのまま、巨大なネズミへと突っ込んでいく。

 巨大なネズミと風のかたまりが交差すると、グリフィンがはじかれた。巨大なネズミの体に五百台の数字が現れて、消えた。

「あれっ?倒せなかった」

「なに、やってるんだよ!」

 タカがそういうと、人面魚じんめんぎょの頭上に『人面魚雷じんめんぎょらい』の文字が浮かぶ。そして、人面魚もきりもみをしながら、猛スピードでモンスターへと突っ込んでいく。巨大なネズミと人面魚が交差する。人面魚がはじかれたと同時に、巨大なネズミの断末魔だんまつまがとどろいた。そして、巨大なネズミは足元からゆっくりと消えていく。

 巨大なネズミを倒した次の瞬間、グリフィンが咆哮ほうこうする。どうやら、今の戦闘でレベルが上がったようだ。画面のレベルの数値が三十九から四十へと変化していた。

「グリフィンがレベル四十に上がったよ!こんなんじゃ、すぐに最高レベルになっちゃうね」

 タカに報告する。レベルが上がるのは、自分が強くなった気がして嬉しい。

「……キョウ、このゲームの最高レベルいくつだと思ってるの?」

 僕はまた、タカがおかしなことを言い出したと思った。

「いくつだと思ってるって、九十九でしょ」

「やっぱり……。違うんだよ、このゲームは最高九百九十九までレベルが上がるんだよ」

「えっ!そうなの?」

 一般的なゲームの最高が九十九だったために、僕は勝手にビースト・オブ・ザ・ゴッドの最高レベルも同じだと思い込んでいたのだ。

「それに進化させると、レベルは一に戻るからね」

「進化って?」

「そういえば、まだ進化については説明してないんだっけ」

 タカはその場で説明を始めた。

「この世界には八つの属性ぞくせいが存在するんだ。精霊せいれいの力っていうか、この世界を構成している要素がね。火、水、風、木、雷、土、闇、光、なんだけど」

「それで?」

「進化の基本は、自分の神獣にその属性をつけることなんだよ」

「ふーん。進化するといいことあるの?」

「あるさ。その属性のスキルを覚えたりするし、同属性の攻撃で受けるダメージは減少するし。その代わり、デメリットもある。お互いに反発はんぱつしあう属性があってさ。反発しあう属性同士だと、受けるダメージが増加するんだよ。火と水、風と木、雷と土、闇と光がね」

 人面魚はタカの話を聞いているかのように、体を揺らしている。

「どうやって進化するの?」

「進化アイテムを使うんだよ。進化アイテムを手に入れるのは、大変らしいけど……。街へ戻ってクエストを終わらせたら、取りにいってみるか」

「うん、行こう!」

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