第8話
翌朝、僕はあやうく遅刻するところだった。理由は簡単だ。寝坊したのだ。
昨夜、タカと別れてから、僕は一人で最初の街ファーストを歩きまわった。NPCたちは本当にいろいろなことを教えてくれた。戦闘方法、レベルが上がったときのポイントについて、スキルとはなにか、街の情報、街の周辺になにがあるか。
ビースト・オブ・ザ・ゴッドでは、レベルが上がるとポイントがもらえるようだ。そのポイントを体力、知力、攻撃力、防御力、俊敏さ、飛行能力など――もちろん、これらもゲーム内で数値化されている――に自分で振り分けていく。
ポイントの振り分け方によって、各
あるNPCは――そのNPCは
ゲームには、このようなクエストと呼ばれる依頼があるようだ。その依頼を受け、グーフィーを取りにいく際に、モンスターと戦闘になる。戦闘を繰り返すとレベルが上がり、神獣は成長する。クエストを完了するころにはより強くなっていて、また別のクエストを受け――という流れになっている。
もちろん、クエストを受けるのは自由で強制ではない。クエストを受けずに
依頼を引き受けると、
僕は早速、グーフィーという草を取りに出かけた。しかし、これがいけなかった。グーフィーが生えている場所は、街からかなり離れていた。モンスターと戦闘を繰り返し、街へ戻るのにたっぷり二時間はかかった。
結局、僕は昨夜風呂にも入らず、ゲームで夜更かしをしてしまった。その結果、寝坊して遅刻ギリギリになってしまったというわけだ。
先生とほぼ同時に教室に入ると、タカが待っていた。
「おっす!遅いなぁ、そんなにビースト・オブ・ザ・ゴッドやってたの?レベルいくつになった?」
「あぁ、レベル六。
話しながら周りを見渡すと、クラスメイトはぞろぞろと廊下へと向かっていた。
「今日ってなにかあったっけ?」
「学校集会があるんだって」
学校集会ほどめんどくさいものはない。学校全体が集まるのでどうしても、時間は長くなる。それに大した話をするわけでもないのだ。僕とタカはしぶしぶ、その列に続いた。
校庭に出ると、大半が整列をしていた。僕らも慌てて、それにならう。しばらくすると、集会が始まった。
集会の内容は、やはり大したものではなかった。校長先生の話と、教頭先生の話。今後の学校行事について。そして、風邪が流行っているなどの注意事項。こんな集会やる意味があるんだろうか。
「最後に、生徒会長である
生徒会長が壇上に立つ。僕は思わず、あくびをしてしまった。ただでさえ寝不足のところに、眠くなるような話を聞かされていたのだ。あくびも仕方ないところだ。しかし、タイミングが悪かった。僕は生徒会長に
生徒会長は、真面目が服を着て歩いているようだった。常に真剣な表情を浮かべている。全校生徒の前で話をするのに、ヘラヘラとしているわけにもいかないだろうが。僕は集会での生徒会長しか知らない。普段は笑ったりするのだろうか。
生徒会長の話は、学校にゲームを持ってきている人がいるので止めるようにということと、遅刻が多いので気をつけるようにとのことだった。
僕は学校にサンポウドーPSを持ってきてはいない。が、遅刻に関しては危ういところだ。もしかしたら、みんなビースト・オブ・ザ・ゴッドのせいでゲームを持ってきたり、遅刻が多いのではなかろうか。
集会も終わり、教室へ戻る。後はいつもと変わらなかった。ただ、早くゲームがしたくて、まったく授業に身が入らなかった。
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