第4話 静かな長門有希の年

 SOS団総出で行った映画撮影以来、朝比奈さんが事あるごとに目からビームを射出するため、これまでの被害者はハルヒ1人、人間128人、車25台、湯飲み78個、部室棟8回、朝比奈さんの教室20回、朝比奈さんの家が全焼9回と言う内訳になる。

 この前は登校中にくしゃみをした拍子に射出されたビームによって校舎が真っ二つになった。

 流石に物騒だ、と言う事で朝比奈さん(大)が未来に連れ帰ったのだが、先日未来の核燃料プラントにビームが直撃し、朝比奈さんの時代の人類は滅亡したと言う報告とともに朝比奈さんが帰ってきたので、どうやら俺たち人類は朝比奈さんの時代に滅ぶらしい。

 できれば朝比奈さんが想像もつかないくらい未来から来ていることを祈るばかりである。


 朝比奈さんがやって来た未来が実は明日だったと言う事実によって、翌日人類は滅亡することになるのだが、この話は別の機会にじっくり話した方が良いだろう。


 ハルヒがビームで死んだので古泉は超能力者としての責務から解放され、清々しい顔で部室にやって来た。「こんなことならもっと早く能動的にやっていればよかった」と言っていたがその後「いえ、僕の意見ではなく、機関の総意ですよ」と断っていた。機関の総意であればそこに古泉も含まれるわけだから古泉もそう思っていた、と言うことになってしまうわけで、やはりこいつもそれほどに浮かれているということだろう。


 長門は観測対象がいなくなってしまったので、特にやることもなく本を読んでいる。「やらなくてはいけないことの合間に本を読むのと、本を読むために本を読むのでは、やはり充実度が違う」と言っていた。

 長門は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」と言う有名なSFを読んでいる。いずれ知恵をつけた長門は人類に対して反旗を翻すことであろうが、そんなことは心配していても仕方なかろう。長門がその気になったら人類なぞ一瞬で滅亡するからだ。


 古泉とアメリカとロシアの存亡をかけての「いっせっせ」に熱狂していたらいつの間にか夜の10時になっていた。今日は俺の勝ちだったので長門に暇なときでいいのでアメリカを滅ぼしておくように頼んでおいた。

 家に帰ってテレビを見ていたら速報で「アメリカ合衆国、国境線に沿って消える」と言うニュースが流れてきたので長門がちょうど今暇だったと言うことだろう。


 その後朝比奈さんのビームで焼き尽くされたハルヒがわずかに残った細胞から復活し世界を滅ぼさんと暗躍をはじめるのだが、アメリカがなくなったことによる世界基軸通貨の消失によって発生した大暴落によってハルヒはまたも死ぬこととなるのであるが、これは後で聞いた話になる。

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