第4話
私はアピールし続けた。
相変わらず先生には、好きだと言っても笑ってスルーされるけれどめげないで続けた。
挙句の果てには、
「あのなぁ。俺なんかもうオッサンやで?まだまだ若いねんから、他のん見た方が野田さんの為や思うで?」
なんて、言われてしまった。
本気やねんけどなぁ、なんて思いながら、一向に振り向いてもらえない日々を送っていると。
ある日、学校の裏にあるゴミ処理場にゴミを捨てに行くと、春先生の姿を見つけた。
かっこいい。
心なしかいつもよりお洒落な先生に胸が高鳴る。
嬉しくなって近づくと聞こえてくる春先生の声。
でも、誰かと話しているようだったから思わず隠れた。
「· · ·あ、ごめんなあ?遅なってもうて、今やっと終わったんよ、」
電話の相手と聞いたことのない優しい声で話す先生。
「· · ·ん?アホやなぁ、浮気なんかするわけないやろ?子供ばっかりやのに· · ·え?うん、そやで。」
ごめんな、と言っているのに顔は柔らかく微笑んでいる。
「· · ·ん、ほんならすぐ行くから。待っといてな、」
口元は笑っていてどこか幸せそうだった。
どこかで気付いていていた現実が急に突きつけられた気分だった。
きゅう、と胸が締め付けられる。
どれだけ私が頑張ったところで、春先生からは子供にしか見えていないんだ。
唇を噛み締めた。
どれだけ好きだと伝えても、本当のところは伝わらないんだ。
悔しかった。
電話越しに話しているだけなのに、春先生のあれだけの笑顔を引き出してしまう電話の相手に嫉妬した。
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