第3話

そんな先生の机には、たまに虫カゴや水槽が増えていることがあった。


「先生これ何ですか?」


「それなぁ、カエル〜。」


「なんで?カエル?」


「来る途中で道路におるん見つけたんよ。」


「可愛かったから学校まで連れてきてん、ぴょん吉。」


「亀吉には飽きたんですか?」


先生の机にいつも置いてある亀の水槽を指先してそう言うと、にこにこ笑って首を振った。


「ちゃうよ、亀吉はいつもおるやん。今日はぴょん吉と初めましてやからな。」


嬉しそうに水槽のカエルを出すとうりうりと頭を撫でている。


ぴょん吉って、もう名前まで付けてるし。


どうやって連れてきたんだろう。


私がそんなことを考えていると、「いやあ、車に虫カゴ置いといて正解やったわ。」なんて笑ってる。



「先生って、休みの日何してるんですか?」


「そやなあ、海行ったり山行ったり、かなあ。見たことない生きモンとか捕まえんのおもろいで。」


「そう言うたらこの前なぁ、」なんて、本当に楽しそうに目を輝かせて話す先生。


先生以外の大人がこんなことを言っていたら、アホやん、なんて思うかもしれないけれど。


かわいいな、なんてまた好きが増えていく。




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