えせギャンブラー

1/31   inカトマンズ 


 今日は待ちに待った勝負の日だ。早朝に起き、一服してパンを食べてインド大使館へ向かう。朝のカトマンズは静かだから良い。


 インド大使館は開く30分前なのに、たくさんの人が並んでいる。しまった、来るのが遅かった。前回、前々回と来るのが遅くて苦労したのに、まったく学習していない。列に並び、本を読んで順番を待つ。先週見た顔はほとんどいない。みんな昨日取得したのかも。


 1時間半程で窓口に到着。後ろは長蛇の列。なんとかうめた用紙で大丈夫らしく隣の窓口へ並ぶ。ここでも何10分か待つ。前にいる白人のおばちゃんはビザ代を支払うお金が足りないらしく、100ルピー貸す。予想よりもずっと安い約700ルピーを支払い、夕方にもう一度来いと言われる。


 ちょっと予定が狂うな、だけど、まずはカジーーノ。白人のおばちゃんにお金を返してもらうので一緒にタメルまで歩く。アメリカ人はビザ代が約5000ルピーとばか高い。どこに行っても日本人は好かれている。戦争しないお金持ち国家は世界で一番良い国。日本人がしてきたことは悪いことだけじゃないと実感する。日本人に生まれて本当にラッキーだ。


 お金を返してもらったついでに美味しいモモレストランの場所を教えてもらう。このおばちゃんもモモの魅力にとりつかれているらしい。


 部屋に戻り一服してパンを食べる。べちゃべちゃで見た目は悪いけど、どのパンも美味しい。カトマンズでの主食はパン。おなかを満たしたのでカジノに行くことにする。昨日手に入れた“ペケ君”を1錠飲み、ルールを書いたメモ用紙を忘れずに持って外に出る。タクシーをつかまえ、カジノへ向かう。


 昼間でもカジノは営業しており、夜ほどの怪しい雰囲気は無い。けど、中に入ると薄暗い。早速持ってきた25000ルピーをチップにかえる。丁度150枚だ。よし、いよいよスタートだ。終了したばかりのテーブルに着き、開始を待つ間に戦略を見直す。果たして自分の思惑通りにいくのか?


 ディーラーがトランプをきるのを終え、ゲーム開始。はじめの3チップはプレイヤーに賭ける。うーん、負けだ。次のゲームもプレイヤーに賭けるが負け。しかし、その後連勝。


 いけるかも! 単純な作業になると思ったら、意外に楽しい。どきどきする時はしっかりとあり、人対人は見ていて面白い。人それぞれにひきの強さがありそうだ。マージャンと少し似ている。


 終わってみれば1マッチ目はぼちぼち。なんかあっという間に終わってしまった気がする。休憩の間にプラマイをつけて、ネクストマッチがスタート。今度も自分の勘に任せて適当に賭ける。


 ちょっとずつゲームに慣れてきたぞ。札をめくるときにじらしたりするのは最初は嫌だったけど、場が盛り上がる。特に逆転したときはぐっとくる。2マッチ目は勝利。いやー、楽しいな。


 3マッチ目に突入。楽しく遊んでいると黒人に近いネパール人のおっちゃんが話しかけてくる。声が大きく、き○がいのようだ。人のチップに勝手に触ったりして邪魔。嫌だなと思っていると負けが続く。集中できない。さらに負けが続き人数が減っていく。しまいには、テーブルに自分一人だけになってしまい、まったく盛り上がらない。とにかく終わらせなきゃ。そんな気でいたら全然楽しめない。


 3マッチ目は負け、チップが減ってしまった。テーブルから離れて休憩を取る。ビッフェで大量のカレー食べて一息入れる。なんかつまらない。夜までバカラをする気が失せてしまった。一体なにやっているのだ? カジノに来てまだ2時間しか経っていないのに少しあきらめムード。けど、ルールに沿ってゲームしなきゃ。とにかく、飽きないためには盛り上がっているテーブルにつこう。


 さて第2ラウンド開始。たんたんとゲームは進む。たまに自分にカードが配られ、勝つとうれしくなる。ゲームに参加しているという実感がわく。4マッチ目は1マッチの最後に20枚賭けるという新ルールのウマ賭けの負けが響き、マイナス。


 5マッチ目は10枚賭けの大将が何度も勝ちプラス。時間は4時なので一度部屋に戻ることにする。そういえば“ペケ”がまったく効いていない。


 部屋に戻り休憩の一服を入れる。前半が終了し、トータルでマイナス10枚とまずまずの出来だ。楽しいし、ブリッたらもっといいだろう。ということでジョイントを製作する。これでさらに盛り上がること間違いなし。 


 インド大使館へ行き、あっさりとインドビザを受け取る。よし!カトマンズでの残り仕事はカジノのみ! 歩いてカジノへ向かう。


 中に入り一区切りが来るまで待つ。その間に成績表をチェックする。よし、後半戦スタートだ。


 6マッチ目は引き分けが多く、少しマイナスで終わる。


 7マッチ目の4ゲーム目でテーブルに人がいなくなる。となりのテーブルは賑わっている。となりに移りたいけど、まだ7マッチ目は始まったばかりだし、ルールがあるので途中で抜けられない。となりが終わるまで待つ。


 隣のテーブルが終了し、みんなこっちのテーブルに流れてくる。7マッチ目再開だ。


 8マッチ目がスタート。日本語を話すクレイジーなおっちゃんもゲームに参加している。子供みたいなおっちゃんは負けるとトランプをぐしゃぐしゃにする、台を思い切り叩く、わめく。すごい人だな。最初は嫌だったけど、うけるし、悪い人じゃない。おっちゃんのおかげもむなしく8マッチ目はマイナス。疲れたので休憩を取る。


 やばい! マイナス50枚ぐらいだ。このままじゃ帰れない。軽い食事をいただきながら考える。たくさん数を重ねればマイナスは少なくなる。そのときまでひたすらやり続けなきゃ。時刻は8時、朝までやる覚悟をする。


 ビールを飲み、9マッチ目がスタート。平均的に勝ち続け、とどめのウマでも勝ち、大きくプラス。バカラにだいぶ慣れ、自信がついてきた。帽子をかぶったネパール人がとなりに座りやさしくしてくれる。


 途中、自分の賭けたチップを他人に奪われるというハプニングが起きる。まったく。


 第4ラウンド、10マッチ目に突入。ここら辺で集中力が増す。休憩の間に吸ったぶりが効いているのかも。五分五分の勝率でウマを賭け忘れるが少しプラス。


 11マッチ目に突入すると、ジーンズ、ジージャンできめたネパール人がやけにフレンドリーだ。自分が勝つとその度に握手を求めてくるので恥ずかしくなってしまう。がっちりした気持ちの良い握手ならまだいいけど、少し触れるだけの中途半端な握手。おか○っぽくて気持ちが悪い。しかし、逆に勝率は上がる。ウマを賭け忘れるがプラス。とても調子が良い。


 ジーパンが記録のつけるのを手伝ってくれるはうれしいが、間違った記入に汚いチェック、邪魔でしょうがないので自分で記入する。


 12マッチ目に突入。ジーパンと帽子の応援のおかげか対象の勝率が7/8と抜群。ウマも見事勝利をおさめて大きく勝ち越す。これは大きいぞ。


 “ジーパン”と“帽子”のオプションコンビがうっとうしいので、テーブルを放れて軽い食事をとる。今現在の手持ちのチップは220枚、プラス70枚と上出来だ。40枚が約100ドルだから、、、 


 色々考えた結果ここで終了することにする。現在はマイナスじゃないし、プラスだ。時刻は当初の予定終了時刻の23時前。充分にバカラを楽しめた。


 先ほどの“帽子”がなぜか一緒のテーブルで食事をとっており、怪しい雰囲気をかもし出している。先に食事を終え、チップを現金に換えて大量のお札を受け取る。いやー、結構増えたかな? 気分がよいのでしつこく近寄ってくる“ジーパン”も気にならない。


 き○がいおっちゃんが両替しているので話をする。オプションのように離れない“ジーパン”のことを話すと、ホテルのスタッフに頼んでタクシーを用意してくれる。しかもただ! 本当にいいの?


 ワイングラスを片手に持ったおっちゃんは独特のオーラがあり、普通にしているととても知的だ。第一印象をかき消すぐらいすごく親切な人だ。週に一回しかカジノに来ないらしく、自分を制限しているのでき○ちがいではない。お礼を言い、タクシーに乗り込む。残念でした“ジーパン”君。


 部屋に戻り、まずは勝利の一服を入れる。いやーー、終わってみればなんだかんだプラスだし、相当楽しめた。いくらプラスになったか数えてみると+11200ルピー。約150ドルのプラスだ。やったー! 150ドルは大きい!


 貧乏旅行者の自分にとっての150ドルは日本の感覚だったら10万円ぐらいのプラスに思える。これでインドの先のパキスタンは確実だ。イランも場合によっては行けそうだ。明日の出発のための荷物をまとめなきゃいけないし、日記も書かなきゃいけない。だけど、まったくやる気がおきない。ぼーーとしている間に眠ってしまう。


 ネパール最後の夜は気分よく過ごせた。インドビザは手に入り、インドの旅の資金も増えて、ネタもたくさん充実している。自分の思惑通りに進んでいてびっくりする。


 さて、いよいよ明日は目指していたパルプンテの国インドだ。旅の日程の2/3が経過し、残りわずかだ。最後の区切りがスタートだ。

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