沈没系の町ポカラ

1/27  カトマンズ→ポカラ 


 時間が気になり何度も目を覚ます。6時ぐらいに完全に目を覚ます。真っ暗かと思いきや、少しずつ日が昇り始めている。3回うん○してすっきりしてから、荷物をまとめて一服入れる。移動のたびに忘れ物をすることが多いので、持ち物を念入りにチェックする。バッチリだ。


 一週間ぶりに背負うリュックは“こなきじじい”のようだ。こんなに重たかったっけ? チェックアウトを済ませ、明るくなった通りを歩く。タメルは高い建物が細い道に隙間無く並んでいるので空が狭い。


 広い通りに出てバスを見つける。うーん、なんて移動が楽なんだ。さきにチケットが手に入るのはとても安心だな。移動費も安いしネパールはいいところだな。


 最近、一回にぶりを吸う量が多くなった。簡単に手に入るとたくさん吸ってありがたみがなくなる。バスは出発する。


 国境の町コダリからカトマンズに向かう途中も思ったけど、ネパールは景色がすばらしく良い。ほとんど谷を通るので、川に山と豊かできれいな自然を見ていられる。ぶっとんだ目でみるバスからの眺めは最高に幸せな時間だ。


 二度の休憩を挟み、ポカラに到着。みたかんじ普通の町だ。隣の席のネパール人がポカラでゲストハウスを経営しているらしく、見に来ないかと誘ってくる。せっかくなのでついていくことにする。バスを降りて近くに座っていた白人と一緒にネパール人のおっちゃんについていく。たくさんのホテルにゲストハウス、それにレストラン。両替所もたくさんあるので宿代がないので両替をする。なるべく節約していこう。


 15分程歩き、おっさんのゲストハウスに到着。広い中にはたくさんの花々。値段は100ルピーとお手ごろ価格、うん、ここに決定。荷物を部屋に置いてさっそく町を徘徊する。


 湖がすぐそばにあり、つりが出来る場所がないか探し回る。そう! ポカラで楽しみしていたのが湖! 川沿いの町は多いけど、まだ湖畔の町を経験していない。サバナケットで買った竿とリールがついに威力を発揮する。湖に辿り着き、湖をのぞくと水草だらけ。水はわりと綺麗だけど、チベットの水に比べると明らかに汚い。水深は浅く、大量の水草が見える。一投目でワームが消えてしまいそうだ。くそー。別の場所を探す気もせず、部屋に戻ることにする。


 歩いていると子供のプッシャーが話しかけてくる。どこでもそうだけど、プッシャーの外見は汚い。うーん、不思議だ。どうやらオピュームを持っているらしく、試しに吸いに来ないかと誘われる。はい、もちろん。20分ほど歩く羽目になる。


 歩いている最中に色々とポカラの説明をしてくれる。へえー、カトマンズよりも“ねた”が安いんだ。小さな家に辿り着き、部屋に入る。現地の人の家に上がるのはおもしろい。とても生活感があふれている。ソファーに座り、しょうが味のブラックティーをご馳走になる。兄が色々と知っているらしく、お兄さんが戻ってくるのを待つ。


 持っていたジョイントを吸いながら話していると、ロンゲでダンディーな男が入ってくる。うーん、かっこいいな。細身の体にドラッグ大好きですって顔、しわのある男らしい顔だ。だが、兄はもう一人いるらしい。まだいるのか? どうやら日本語がペラペラらしい。


 仲が良かった日本人の話を聞いていると、みんな相当の好き物っぽい。山にある村に行き、大量に仕入れる話を聞き、ジャンキーだなと思っていると兄貴のほうがやくざと言い出す。なるほど! そりゃそうだ! とてもわかりやすい。大量に仕入れるには最適だ。なにせたくさんある。急に目のくりくりした細身の男が入ってくる。きれいな中わけのカミは馬の尻尾のようにさらさらだ。ジェントルマンというか、とても品のある顔。弟二人は小汚いので本当に兄弟かと疑いたくなる。大人だな。現地の言葉を話してどこかに行ってしまう。


 えーー、まだーー? “真ん中”が持ってきたチョコを巻き、三人で吸って待つ。薄暗い部屋に窓から西日が差し込む。暖かくてのんびりした夕方だ。ここに来る一番の目的のきのこはどうやら今日は手に入らないらしい。末っ子がきのこもあるって言っていたのに。そのかわり“クリスタル”と呼ばれるものがあるらしく見せてくれるらしい。“真ん中”が部屋の外に出て、薄い茶色の塊を持ってくる。


 チョコのようにねぱねぱしていない、がちがちに固まった砂のレンガみたいだ。すごい綺麗だ。見た目どおり高いらしく5グラムで300ルピーで売ってもらう。ここで上の兄貴がいきなり登場する。いきなり早口の日本語で話し始める。「えーー、安いよーー!」こてこての関西弁口調で勢いよくまくし立てる一番上の兄貴はあっさりと第一印象をぶちこわす。物静かなジェントルマンかと思いきや良くしゃべる。ギャップが大きすぎて笑いが止まらない。安く売った“真ん中”の兄貴が怒られている。ノリにやられ、結局350ルピーになる。オピュームは高くてお勧めしないらしいので買わないことにする。それにしても日本語がうまいな。しかし、一体どこで関西弁を覚えたんだ? さすが一番上の兄貴だ、インパクトの大きさに飛ばされる。


 部屋に戻り、早速“クリスタル”といわれるものを試し吸いする。チョコよりもやわらかい味でとてもおいしい。このなんともいえない香りが独特の空間を作り出す。CDを効きたくなりスピーカーを設置する。切れ掛かっていたコードを調べる。大丈夫だ。しかし、コードはなぜかスピーカーから離れている。別の部分が切れているよ。まあいっか。


 屋上に行くと誰かがいる。昼間のマスターだ。世間話をして部屋に戻る。そういえばおなかがすいたな、外でモモとフライドライスを食べる。腹が満たせれたのでペグメールをしてすぐに眠る。


 ポカラは自然の多い町だ。ネタもたくさん手に入りそうだし、沈没するには丁度いいかもしれない。

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