1/25 　inカトマンズ　

　午前中に目を覚ます。カトマンズでの習慣は日記などのやるべきことを何もせずに起きたらすぐに一服入れる。そしてやるべきことをやらない。けど、今日はちょっと違った攻め方をしてみよう。昨日食べたメシをやわらかいうん○に変えてから“コーク”を試すことにする。

　まだ試したことはないけど、吸い方は“ブロウ”で見た。真似して吸い込むが、吸引力が弱いのか、それとも鼻が詰まっているからかうまく中に入らない。通りの良い片側の鼻の穴で何とか吸い込む。鼻の奥が科学的な味がして、焼けるようにひりひりする。しかし、まったく効き目がわからない。ぶりればわかると思い、一服入れて終了。ぶりにとばされる。失敗だ。要するにがせねたをつかまされたわけだ。

　昨日買ったCDははずれが無くどれも調子が良い。日本にいるときも大好きだったビョークがたまらない。まわりの景色を変化させてしまうビョークの音楽は芸術だ。ビョークの音楽は依存性を持つ。タバコまでの依存性はないけど、お酒ぐらいの依存性はある。ビョークを聞くとすぐに“ダンサーインザダーク”が見たくなる。救いようがなく、容赦ない残酷な現実は“火の鳥”を見るときと似た感覚だ。怖いのに見たくなる。とても美しい映画だ。

　昼になり、おなかが減ったので外に出る。目をつけていたパン屋で大量のバンを買う。部屋に戻りパンを食べながら石丸元璋の本を読み返す。カミカゼにフラッシュバックダイアリー、手放すのがもったいないぐらい面白い。シャブ中だけあってまっとうに生きている人には無いクレイジーな生活。本当にすごいな。途中まで読んでいる“金持ち父さん”がしょぼくみえる。どちらのほうが楽しい生活といったら、間違いなく石丸元璋だ。

　去年、金持ち父さんに熱中していた頃に気がつかなかったことが、見えるようになったな。バビロンにドラッグ、すべては考え方によって決まる。

　ビョークのCDがあまりにも良くて、CDを買いに行く。“セルマソング”とジャケ買いの二枚。やばい買いすぎだ。部屋に戻ってセルマソングを聞くと、なにこれ！　持っているCDとほぼ同じ曲ばかり。しまった。そういえば朝の“コーク”は全然効かなかったな。

　一服しては突発的な行動をする。ジャンベをたたいたり、本を読んだり。ぶりると優柔不断になる。日本にいるときのことを久しぶりに思い出す。最近何を選ぶにも時間がかかる。食事のときも同じだ。ふと、カジノのことを思い出す。昨日のゲーム回数じゃまったく満足していなかった。あっ！

　どうせカトマンズには居なきゃいけないから一勝負してみよう。最近は金遣いが荒いから損しても気にならない。損したらその分だけ日本に帰る日が早まるだけだ。

　逆に勝ったら、旅の資金が増える。せっかくの旅だ、今後の旅をギャンブルにかけてもいいかも。そうすれば旅が色鮮やかになるはずだ。都合の良い方に考え、カジノで一勝負することに決める。

　いろいろ考えた結果、ネパールの最後の夜にバス代、緊急費などのお金を残して有り金をすべてバカラに費やす。リミット時間を決めてたくさんの数をこなす。たくさんあるゲーム数を５回に分けてそのうちの一回は３倍賭け。それがうまく転がればいいせんいくかも。絶対に自分の決めたルール厳守。それは株の取引と一緒だ。で、終了時間が来たら食事をして終了。とにかくカジノを楽しもう。とても楽しみだ。

　夜にそのノリでカジノを観察しに行こうと思ったけど、ブリッた頭じゃ楽なほうを選んでしまう。近くの日本食屋でビーフステーキを食べる。日本食屋の意味があまりないメニューを頼んでしまった。

　店の人と話していると明日はストライキーと聞かされる。えーー！　明日ポカラに行く予定だったのに！

　部屋に戻り一服していつの間にか寝てしまう。

　食事の後はいつも体が重い。