いやー、ウィークエンドマーケット

10/22  inバンコク 


 目を覚まし、車窓を眺めると外が明るい。時計を見ると6時、すっかり朝だ。まわりの乗客はすでに起きていて、降りる準備万端なようすだ。朝焼けが素晴らしく綺麗で、写真を撮りたかったが、あまり身動きのできない列車の中なので、撮るのをあきらめる。そういえば朝日、夕日の写真をまったく撮っていない。というよりも天気のすぐれない日が多いからだろう。なかなかそういう機会に恵まれていない。


 うとうとしながら一時間、ホアランポーン駅に到着する。約14時間、過酷な列車の移動だった。駅を出て、バス停でカオサン行のバスを待つが、なかなかやってこない。このガイドブックは正しいのかな? ぼーっと待っていると、子供連れの人の良さそうなおじいちゃんがカオサンの行き方をさがしてくれる。しかし、なかなかわからないらしく、電話で聞いたり、近くの人に聞いたりして、しまいにはおばちゃんも参加してくれる。ありがたいけど、自分のほうがわかっているかもしれない。バスを使うのはあきらめることにする。二人にお礼を言い、タクシーに乗り込む。親切な人達だ。


 カオサンに着き、すぐに“CH2”へ向かう。たったの一週間ぐらいしか離れていないけど、戻ってくると落ち着いてしまう。ゲイっぽいおばちゃんも健在だ。部屋でお帰りの一服をして寝る。うーん、疲れた。


 昼過ぎに起き、少しぼーっとする。やることがあるので、今日は何をするか考える。今からトラベラーズチェックをつくりに行くにしては時間が遅いので、買いものに行こう。


 カオサン通りをプラプラしていると、両替所でパンガンで知り合ったバサに遭遇する。たった二日しか経っていないが、パンガンメンバーに再会だ。これからウィークエンドマーケットに行くと言うのでついていくことにする。マサの連れのよこみぞさんという女性も一緒に行く。


 タクシーで15分、ばかでかい公園に到着する。さっそく公園内に入ってみると、人と店がたくさん! 場所ごとに扱っている品物が違っていて、小物の雑貨から、洋服、靴、食品、など等。動物まで売っていて、大きなスーパーマーケットのようだ。人以外はなんでも売っているという噂も思わずうなずける。


 三人で店を眺めながらプラプラする。それにしても楽しい! バサとよこみぞさんは明日日本に帰国するので大量におみやげを買い、自分は旅のお供として小さなジャンベを衝動買いする。


 ひととおりの買い物を終えて屋台をふらついていると、テレビで見たことのあるような芋虫の揚げ物が売られている。衣なしの素揚げで、バッタにアリ、水中昆虫のげんごろう、それにたがめまで置いてある。品ぞろえは立派だ。バサが芋虫は美味しいというので、怖いものみたさに買ってみる。バッタとアリも買い、あわせて三種類だ。おそるおそる口にいれると、プチっという食感が口の中を伝わり、少し苦い味が、「気持ち悪い!」 嫌々ながら次々と食べていると、だんだん味に慣れてきて、おいしく感じるようになるから不思議なものだ。芋虫は後味がピーナッツに似た味で、バッタは雑草臭い。夕方になり店も閉まってきたので、トゥクトゥクに乗ってカオサンへ戻る。


 一緒に夕食を食べる約束をして一時解散する。一人でカオサン通りを歩いていると、「あっ、まこと君!」パンガンメンバー2人目に出会う。ちょうど良いタイミングだ。夕食に誘う。


 バサとよこみぞさん、まこと君、自分の計4人で、初日に泊まった宿のレストランで飯を食べる。今日は気分を変えて、いつものフライドライスからガーリックライスを注文する。


 パンガンの話で盛り上がった後、バサの部屋へ移動する。こぎれいな部屋で、バサは相変わらず良い宿に泊まっている。話をしているとよこみぞさんがひまそうな仕草をしているので、男三人で外へ出る。


 “CH2”に向かう途中、「ドントシャイ!」と、恥ずかしがるそぶりを見せると必ず説教するタイ人女性、サービーに遭遇する。さとうたまおに似た不思議なタイ人だ。特にやることもないので、4人で再びメシを食べ、サービーに出会ったクラブへ行く。いつのまにか見知らぬ日本人も合流して、いつも通り酔っ払う。前回に似た選曲で、少し古いヒップホップがかかる。日本でアター君達のイベントに通っていた時期を思い出す曲ばかりで、思い出深い曲に余計盛り上がる。夢中で踊りまくる。


 一時に店は閉まり、バサとよこみぞさんは三時半に出発するということなので、見送りまで一緒に過ごすことにする。サービーの部屋でバサの持っていた最後のジョイントをまわす。くらっときたところでタクシーに乗りこむ二人を見送る。


 最初はあまり好きじゃなかったバサは第一印象と中身が似ていて、意外にお茶目なところがあるナイスガイだった。こうして知り合った人が帰国していくと、少しさびしいが、自分はまだまだ長い。こんな出会いをくり返していくのだろう。


 次はどんな出会いや出来事があるのか。

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