第9話 こうやって一つづつ大人になっていくのさ…
はい、という訳で日付が飛んで今日は再びトレーター家に行く日です。え?狩りの描写?いる?普通に俺が見つけて水魔法で動きを鈍らせてリンと山田でトドメをさす。数が多かったり後ろから来たときは佐藤に任せる。りゅうは勝手にその辺を飛んでいつの間にか獲物を取ってた。ドパーテルを咥えながら飛んでくる様は軽くホラーだったけど、皆言いつけ通り体は傷つけずに頭を狙ってたので、かなりグロかったです。
ギルドに収穫した獲物を持っていくと、
「まぁ、こんなに捕れたの?凄いわね…あの人が褒めるわけよ。」
「いやいや普通ですよサリーさん///本気出せばもっと行けてましたよ!」
サリーは20歳で、年齢的にも容姿的にもストライクです!リンが居ない今、めちゃくちゃ素直に喜べるからストレスたまらないね!後驚いたことにロイドは22だった。老けすぎだろ!
「それでは、パーテル25体で75000円になります。これだけの実力があるなら7級に昇級できるけどどうする?」
「試験はあるんですか?」
「5級から上はあるわ、そこから先は1人前って認識が有るからよ。逆に言うと6級までは、見習いって扱いだからどれだけ依頼を達成したか、又は実力があるか。という点が昇級のポイントよ。10級は新人、9級は依頼を1度でもやったことがあるか?って違いね、5級の試験を受けるためには20以上の依頼を受ける必要があるわ。」
「…リンも一緒じゃないと多分拗ねるので今はいいです。」
「フフフ、仲がいいのね。まぁ昇級しなくても5級以上でないならあまり扱いは変わらないからね。多くの人が小遣い稼ぎのためにやっているのが現状だからね、だから本格的に討伐者になる人間は5級以上を目指すのよ。まぁ、そこから先は本当に上がりにくいけどね。」
「例えば?」
「実力もそうだし、依頼達成率も必要よ。それに依頼の種類と依頼人の評価も重要になるわ。例えばあなたが今回達成したパーテルの狩りは、掲示板に張ってある常設依頼なの、これは町は村からの依頼という訳よ。それとは別に個人で依頼を出す個別依頼があるわ。これは常設依頼より難易度なんかは高くなるけど、報酬もはるかに高いわ。と言うのも、個別に依頼料を出せるのは大体貴族や大聖人なんかの裕福な人間が多いからよ。当然ギルドも彼らと敵対するのは避けたいから、受けられるのは実力が保証された人間しか受けられないようになっているのよ。だから、1流と言われている3級以上に上がるためには、厳しい試験を潜り抜ける必要があるの。そこにコネなんてまったく意味がない完全実力主義な世界よ。それにそういう依頼人が相手だから実力だけではなく教養も身につけなければいけないしね。」
「いろいろ大変なんですね、上の人達は。」
「あなたなら将来きっと超一流になれるわ!だってロイドからその年で1本取れたんだもの!フフフ、ロイドもケガで一線を退く前は凄かったのよ?…………」
あ、旦那(ロイド)自慢を始めた…あいつ後でヤる!それよりもカトリーナは前世で2級に上がったんだよな?恐らくお家再興の為に有力者との顔つなぎ目的で積極的に依頼を受けて行ったのだろう。まぁ、そんな目的がない俺は常設依頼で十分だけどね。お金は数で稼ぐ!パーテルをちゃっちゃと狩って今日1日で75000円だ。ボロいねこの家業、まあ俺みたいにマジックボックス無いと運ぶの大変だろうけどね。
この世界にもマジックボックスみたいな魔術が有るらしい、だいたい1000~2000人に1人の割合で持っているらしく、そういう人間は重宝されるはずだろう?なのにこのギルドでは誰も俺をパーティーに誘ってこない!何故だ!
冬也は与り知らぬことであるが、この世界の人間と冬也は基本的に構造が違うのである。この世界のマジックボックスは、重量制限があり、本人の筋力に依存する。そして、中に物を入れておくと、常に魔力を消費してしまう。であるので、近場の荷運びなどでは有用だが、以来のため遠征する討伐者には不向きなのだ。
さらに、ロイドへのリンが行った拷問(試験内容)と、サリーを褒めた後の冬也への制裁を見てしまった討伐者達が、そのことをギルド内で拡散し、討伐者たちがリンをものすごい恐れているのが原因である。触らぬ神に祟りなし。
「………だからロイドが一番素敵なの!って、冬也君聞いてるの?」
「あ、はい、聞いてますよ!すごいですよねロイドの兄貴って!俺、絶対試験官になってくれたのがロイドの兄貴で超ラッキーですよ!」
「ウンウンっ、そうよ!その通りなのよ!冬也君ラッキーなのよ!だから困ったことが有ったら遠慮なくロイドに言いなさいね!あと、無理は絶対禁物よ!まだ子供なんだから、いくら実力があってもやっぱり大人と一緒の行動はとれないわ、それで無理して亡くなった子は多いんだから…」
「大丈夫ですよ。無理しようとしたら強制的に縛られるんで。」
主にリンに、最悪監禁されかねない。
「フフフ、リンちゃんね、でもそれは良いことよ。一人と、パーティーを組んでいる子では全然生存率が違うのよ。それぞれの長所短所もそうだし、休む時も交代で休憩取れるから疲労の仕方も全然違うしね。」
「まぁ、これからしばらくパーテルばっか狙っていくので、よろしくお願いしますね。」
「ええ、頑張ってね。」
とそういうやり取りがあった。他のメンバー?車の中にいたよ。そしてこれから再びトレーター家に行くが、やっぱりリンが腕を組んできた。そして今回はお凜も俺の頭に乗っている。この3人?で行動しているが、街人が微笑まし気にこちらを見ている。やめろ!そんな目で見るな!
「やあ冬也君よく来たね。」
「おはようございますアイギス様。それで?どうでした?」
「やはり、家族みんな連れて行くつもりのようだ。ティアとカトリーナは長旅であることと、この屋敷を守るために連れて行くことは出来ないと伝えたのだが、カトリーナはぜひ連れて行きたいと仰っていた。他の家の子も何名か連れて行くようだ。ただ、いつもと少し御屋形様の様子が違ったな。」
「…それで、いつ出発することになりますか?」
「仕事の引継ぎやらのことで、7日後に出発することになった。」
「分かりました。俺もそれに合わせて別口で移動します。ちなみに王都までどのくらいかかりますか?」
「我が家のサンドーコを使って5日程というところだな、途中にある山を迂回して、平原を進むルートだ。」
「馬車はそれぞれの家で用意しますか?後、同行者は何名ほどになりますか?他の家は?」
「基本フォーチャー家が用意してくれる。護衛も精鋭の1個中隊を連れて行くことになる。同行者は、ジープ子爵家・マガージ子爵家・デーサン男爵家・ピオン男爵家だ。それぞれ当主、もしくは奥方がパーティーに参加する。それぞれの子息令嬢で、まだ社交の場に出たことのない子たちを連れて行くそうだ。」
「…カトリーナ様。前回はどうでしたか?」
「はい、前回は子供の同行者は私だけでした。…少し前回と違います。」
「…ただの偶然と考えるのは危険ですね。アイギス様、当日はトレーター家で用意した馬車で移動してください。その時このお凜に同行させます。」
「…その猫かね?」
「猫じゃないよ。猫又さ。」
「「「?!」」」
「彼女は俺の仲間ですよ。戦闘力もその辺の兵士よりも高いですし、周りの気配もある程度探れます。」
「そうなのですか…お凜様、私はカトリーナと申します。今回の旅の間よろしくお願いします。」
「任せておくれ、それとアタイは普通の猫として行動するから基本返事は頷くだけになるよ。」
「お嬢様がどうしてもお凜と離れたくないと言ってとかいう理由で馬車を自分で用意したとでも伝えてもらえれば多分大丈夫でしょう。最悪馬車の屋根に乗っていどうでも良いですしね。」
「旦那、それは酷ってものだよ。」
「ああ、そこは大丈夫だお凜殿、自分たちの従者などを連れて行くために、ある程度の馬車を自分たちで用意するのが普通だからね。」
「そういえばティア様は今回どうするんですか?」
「私は今回はこの屋敷に残ります。昨日得た情報によると、ブリガンテが隣の町からこちらに向かっているようですので、今後の動向を探ってみます。」
「分かりました。お願いします。そうだ、リン、君もトレーター家と一緒に行動してもらってもいいか?」
「?!何故ですか?」
「今回の様子はおかしい、何か不測の事態が起きた時のため、信頼できる仲間にカトリーナ様の護衛に就いていて欲しいんだ。それに年齢も近い討伐者ってことで、お嬢様の話し相手兼護衛という依頼を受けた体で頼む。」
「しかし!」
「今回は人の命が掛かっているかもしれないんだ。俺がいるより女性の君が居た方がいいだろ?それに実力もその辺の兵士1個小隊なら軽く蹴散らせるほどになっているだろ?だから君にしか頼めないんだ。頼むよリン。」
「む~~~~、分かりました。」
「ありがとう。」
「リン様よろしくお願いします。」
「冬也君にお願いされた以上、必ず守って見せますわ。」
「…冬也君?」
「え?いや、だって、街中で様付けって目立つじゃん?だから君にしてってお願いしたんだよ。」
「そうですか…」
「という訳でアイギス様、このお凜とリンがともに行動することになりますがいいですか?」
「あぁ、よろしく頼む。ところで君はどうする?」
「自前の移動手段が有るのでそれでいきます。状況によって合流したりしますよ。」
「分かった。よろしく頼むよ。」
「じゃぁリン、お凛行こうか。」
「はい」
「了解」
「あの…冬也様、よろしくお願いします。」
「ええ、よろしくお願いしますカトリーナ様。」
「それと私のことはリーナと呼んでくださって構いませんよ。」
「え?」
「こちらが助力を乞うている立場なのに様付けは心苦しいです。どうぞ遠慮なくリーナと呼んでください。あと、敬語も使わなくて結構ですよ。」
「いえ、それは…貴族の方にどうですかね?」
「それは心配いらないよ冬也君、他人の目があるところだけ敬語を使えばいい。それに貴族と言っても我々は男爵だしその辺は緩いよ。それに冬也君もトレーター家の親類だしね。私のこともおじさんと呼んでくれてもかまわない。」
「私も様付けしなくてもかまいませんし、敬語も結構です。ティア姉さんって呼んでいただいて構いませんよ。」
「…姉さんって…そこはおばさんj「あなた?」すみません。」
「分かりましたティア姉さん!ただ外では様付けでいきますのでお願いします。」
「ええよろしくお願いしますね。」
「それではそろそろ失礼します。」
「冬也様、敬語治ってませんよ?」
「いやカトリーナさ「リーナで結構です」リーナs「様付けも必要ありません」リーナまた7日後ね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「あの…リーナは敬語止めないの?」
「私はこの話し方が普通ですので。」
「あ、はい。それじゃあまた」
そういって屋敷を出る。途中からリンが腕に抱き着いて来て、その力がだんだん強くなってきたんだ。おかげで今左腕の感覚が全然ないけど…見た限り一応まだついてるね…あれ?指動かない?!
「あの…リンさん…腕を離していただけませんか?一瞬だけでも。」
「…………何ですかあれ?なんでカトリーナと仲良くなってるんですか?私というものがありながら…」
あ、やべぇ、病みが進行してる。そして俺の腕がイってる。
「私、どうしたら…冬也君を部屋に監禁…」
「腕離してくれないとハグできないんだけど。」
「え?!ハグ?!!」
「うん、そうだよ。」
「何でこんな街中で???」
腕が取れそうだからさ…もはや街中なんて関係ない!だから早く手を離して!
「分かった。冬也君が抱きしめたいなら好きなだけ抱きしめて!」
そしてやっと手を離してくれた。左腕が…上がらない!しかし、リンはこちらをキラキラした目で見ている!そして街の人たちもこちらをニヤニヤしながら見ている。
クソっ!自分でこの状況にしてしまったというのは分かっているが、此処までなんで注目されるの?!訳が分からないよ。魔法少女になっていいから皆が俺に注目しなくなるような力が欲しい!
「冬也君?」
ヤバい、リンの目からどんどん光が消えて行ってる。ええい、逝ってやるぜ!
何とか右手だけで抱き着いたら思いっきりギュってされて、テンション上がったリンが猛りだした。そしてなぜかお姫様抱っこされて街中を練り歩くことに…注目されまくり!
ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!精神耐性!もっと仕事しろ!
「全く仲のいい二人だねぇ」
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