第4話 情報収集(まじめに)
という訳で、完全に夢の中の出来事だと思っていたことが現実となった。こんなことならもっと好き放題言っとけば良かった。まさか現実に異世界に転移するとは…まぁ、協力すると言ったことは仕方ない。きちんと運も上がっているし、スマフォもキチンと一緒に送ってくれているようだ。後でいろいろ機能を試さなければならないが、もらうものは貰ったし、依頼を受けたからにはきちんと完遂するか。かなり現実感ないけど…やるしかないか…、半ば投げやりになりつつ本題に入る。
「それでカトリーナさん?なんか猫耳の神様からあなたを救えと言われましたが、具体的にはどのようになるのが救いだと思いますか?」
「…どのように…ですか?」
「大まかなことは、神様にあなたの人生を追体験させられました。もちろんプライベートなことではなく、あなたに起こった悲劇に関する体験です。全部を見たわけではないので、詳しく知りたいのですが…あぁ、その前にこの部屋には誰もいないようですが、他の方は?」
「このような話はなかなか信じられないと思い、今は席を外してもらっています。後々話すことになると思いますが…」
「分かりました。そのタイミングはあなたにお任せします。それではまずこちらの常識と、俺の世界の常識のすり合わせからいきましょう。でなければお互いに勘違いしたまま後で大ごとになることも出てくるかもしれません。」
文化祭などで共同作業を友人と行うとき、意思の疎通がうまく出来ておらず、そのままスケジュールが進行した。そして終盤になってからお互いの認識が違うことに気づき、やらなくてもいい手間と労力が必要になった経験がある。そして、この依頼は何人もの人間の命がかかっているのだ。キチンとこちらの常識なんかを知っておかないと後悔する気がする。それにあの追体験をしたときにいくつか違和感があった。そこをすり合わせていかないと、自分の身も危ういな…
「まずは簡単なことから、例えばこちらの長さの単位などはっ?!」
身振り手振りを加えて話をする。そうすると、ただ話すよりも相手に伝わりやすいので、実行しようとした時に、自分の手を見て驚いた。なんか小さくなっている。どういうことだ?改めて自分の体を見る。
「どうかなされましたか?」
「えぇ、変なことを言うようですが、自分の手が小さくなっているような気がして…鏡はありますか?」
「こちらにございます。」
「なるべく大きいのがいいです。」
「大きいのでございますか?少々お待ちください、すぐに用意させます。」
そう言って彼女は廊下のメイドさんに鏡を用意するように言いに行った。ドアからちらりと見えたメイドさんは少しお年を召してらっしゃるようで…すぐに視線を外し、スマフォの録画機能を起動させた。きちんと魔力で充電できるよね?というか魔力ってどう使うの?
「もうすぐ用意できますので、今しばらくお待ちください。」
「あ、はい。ありがとうございます。じゃぁその間に先ほどの続きを教えてください。」
こちらの貨幣は
1円
5円
10円
50円
100円
500円
1000円
5000円
10000円
100000円
1000000円
となっていた。日本と同じ?しかし硬貨を実際に見せてもらうと、さすがに日本とデザインが違っていた。1000円以上も日本と違い貨幣だ。さすがに100000以上の硬貨はこの部屋に無いから用意すると言ってたが、特に必要とは思えないので構わないと伝えた。そして次に長さの単位であるが、
1mm
10mm=1cm
100cm=1m
1000m=1km
であるようだ。少し情報が集まってきたな。
「次にあなたの家のことを教えていただけますか?家族構成、交友関係、使用人の方や稼業についてなどです。」
「承知いたしました。」
トレーター家は
アイギス・フォーチャー・トレーター 当主 30歳
ティア・トレーター 夫人 30歳
カトリーナ・フォーチャー・トレーター 10歳
今のところ両親、娘人家族で、祖父母は既にいない。どうやらミドルネームはトレーター家の直系が名乗っているようだ。過去に、フォーチャー家から嫁いできた女性がいるらしい。カトリーナが生まれてから、家族揃ってこの街から出ることはほぼ無く、今世ではカトリーナも1度も他の街に行ったことは無いようだ。従って交友関係は自然とこのミトリーの街に限定されると…特に今は家からもほぼ出ないということで、関わりのあるのはフォーチャー侯爵家であり、フォーチャー家は
フリオ・フォーチャー 当主 45歳
メリア・フォーチャー 夫人 46歳
カリム・フォーチャー 長男 次期当主 27歳
レオナルド・フォーチャー 次男 20歳
タリア・フォーチャー 長女 11歳
の5人家族であり、主従関係ではあるが、トレーター家との仲は家族そろって良好らしい。次に使用人であるが、今この屋敷には、10人のメイドや執事などがいる。内5人はフォーチャー家からの出向?らしく、事実上の新人研修のようなものらしい。この国の貴族の権限は強く、フォーチャー家はそんなことはしないが、酷いところだと少しの失敗で辞めさせられるところもあるという。そして、侯爵家であるフォーチャー家には多くの来客があるため、もしそんな客の前で粗相をしてしまえば、相手によっては庇いようがないため、トレーター家で経験を積んでから本館にて務めることになるらしい。
「では、トレーター家の使用人との関係はどうですか?」
「よく仕えていただいてますよ。」
執事長のベルガ 49歳
メイドのマリー 38歳
庭師のスミス 42歳
が古参の使用人らしい、先代の時から務めている最も信用のおける人物たちのようだ。残り二人が、
マリーとスミスの娘 ニーナ15歳
ティアが拾ってきた孤児 ルイス 18歳
ニーナとルイスは8年ほど前から仕えているらしい、主にカトリーナの世話役のニーナと執事見習いのルイス、ルイスは虐待されて逃げていたところを、たまたま通りかかったティアに保護され、その時からトレーター家に仕えているらしい。皆、トレーター家の有事の際には主人達を守るためにその身を盾にすることに躊躇いはないようだ。もう少し情報がいるな。と思っていると、鏡の用意が出来たと使用人が伝えてきた。
「丁度いい、トレーター家の使用人に聞きたいことがあります。もちろん今回の件は話しませんので許可をもらえますか?フォーチャー家の使用人は結構です。」
「分かりました。」
そうして大きな鏡台を4人がかりで持ってきた。その4人が、トレーター家の使用人だった。予想通りだな。とりあえず自分の姿を見るために鏡の前に立つ。なんか睨まれてるが気にしない。
(やはり子供になってる。10歳くらいか?若返って異世界にっていうのは定番だからな、それに猫耳神も体を用意するって言ってたしね。あれ?じゃぁ今他人から見た俺ってこの年であんなことを…)
「ガハッ!」
俺は吐血した。そして倒れた。
「トーヤ様?!」
「「「「??!!」」」」
カトリーナが慌てて駆け寄ってくる。こっちを睨んでいた使用人もオロオロしている。
「トーヤ様!聞こえますか?!お気を確かに!」
「大丈夫です…心配いりませんよ。」
「しかし血を吐いていますよ!?」
「安心してください。ちょっと死にたくなっただけです。」
「全く大丈夫ではないですよ?!!」
「えぇー皆さんお騒がせしました。相沢冬也です。不幸な行き違いがあり挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。皆さんに少し聞きたいことがありまして、お嬢様にお願いしてここに来てもらっています。少し変なことを聞きますが、皆さんの意見を教えてください。」
「わかりました。我々に答えられることならば。」
マリーが答える。後ろでスミスとニーナとルイスが頷いている。ベルガは当主夫妻の傍にいるらしい。
「この街は樹海の近くにあるという関係上。万が一にもモンスターが溢れたら、フォーチャー家が防衛に動くということに間違いないですね?」
「えぇ、その通りです。」
「そしてその時に先頭を切る可能性があるのはトレーター家当主のアイギス様ですか?」
「恐らくその可能性が高いと思われます。そもそも今のトレーター家の地位は、初代当主の姉君であるカトアリアス様の功績に基づくものであり、カトアリアス様が亡くなってからも献身的にフォーチャー家に仕えたアンドレアス様の忠誠に対し、フォーチャー家の働きにより賜りました。つまり、有事の際にはフォーチャー家の兵を率いる大隊長の位置にあります。」
「ここからが本題です。もし仮に樹海でモンスターの大反乱があったとしましょう。その時不幸にもアイギス様が戦死された場合、このトレーター家はどうなりますか?そしてあなた方使用人はどうされますか?あ、恐らくティア様もご一緒に出陣なされると思いますので、カトリーナ様のみ生き残っている場合と考えてください。」
「……っ!」
カトリーナが息をのんでいる。そして、
「ふざけるな!そんなことあるわけがない!よくこの場でそのようなことを口にできたな。当主様方が亡くなったなどと不敬極まるその発言、断じて許せん!!」
ティアに救われたルイスが吠える。ほかの面々も視線に敵意が混じる。しかし、俺が聞きたいことには答えてないのでカトリーナを使わせてもらうか。
「えぇ、口に出して言うことは憚れる質問であることは確かです。そこは謝罪します。しかし、これはカトリーナ様の将来に関わるかもしれないことですよ?あなた方はそちらのカトリーナ様を見て、きちんと答えてきちんと答えてください。ほら、カトリーナ様が不安で震えてますよ?」
その様子に皆の視線がカトリーナに向けられる。カトリーナは、使用人たちには与り知らぬことではあるが、その時のことを思い出し、目に涙をためて震えていた。
「カトリーナ様?」
マリーが戸惑いながら声をかける。
「トーヤ様、その質問は…必要なことでしょうか?」
「ええカトリーナ様、これ以上ないほど重要な情報です。ここで彼らの答えによっては、対策を変えないといけないかもしれないほどです。」
「承知いたしました。マリー、スミス、ニーナ、ルイス聞かせてもらえますか?」
「…っ、承知いたしました。」
彼らの話によると、カトリーナが仮に40になるまで今まで通りに生活できる蓄えはあるようで、尚且つフォーチャー家からの支援や恩給もあるようだ。そして、恐らく後見人としてフォーチャー家がカトリーナが成人するまでは最低でも後ろ盾になってくれるであろうこと、また、レオナルドやタリアもカトリーナを可愛がっているので、成人後も何らかの支援があるだろう。そして使用人一同、何ら変わらずに今まで通りカトリーナに忠誠を尽くすであるとの宣言がその場でされた。それを聞いてカトリーナは泣いていた。
「ありがとう…みんな…」
なんかトレーター家の絆が強くなって背中がムズ痒くなる空気になってしまったが、聞きたいことが聞けたので次に行く。
「これであなた方に聞きたいことは終わりです。お時間頂きありがとうございます。ではカトリーナ様、次に行ってもいいですか?」
「はい…ぐすっ、何でしょうか?」
「トレーター家の家業の話と、情報収集のため、本があれば読みたいのですが、」
「わかりました。マリーお願いできますか?」
「承知いたしました。どのような本をお持ちしましょう?」
「この街の歴史、この国の歴史、トレーター家の歴史、この街のこと、モンスターのこと、これらがわかる本があればうれしいです。」
「承りました。当家の書庫から探してまいります。」
「お願いします。それではカトリーナ様、モンスターというものを見学させてもらってもいいですか?」
「承知いたしました。牧場までは少し歩くことになりますので、着替えを用意させます。ニーナ、お願いします。」
「分かりました!すぐに用意してきます。」
ティロティロリン
なぜかスマフォに着信があったみたいだ。もしかして地球と通じているのか?後で確認しよう。
「今の音は?」
「後で説明しますよ。用意していただいている間に牧場のモンスターについて聞かせてください。」
相変わらず部屋の外には使用人が控えているが、今部屋にはカトリーナしかいない、今のうちに聞いておこう。
今現在フォーチャー家ではサンドーコと呼ばれる馬?とバーロと呼ばれる馬?多分4足歩行の人や荷物を運べるというと馬だろう。というか、道産子とロバのことじゃね?まぁ見れば分かるな。あぁ、もう確認したいことがあった。カトリーナの記憶にあったダチョウのモンスターについて聞かなければ。
「そういえば、記憶にあった森で卵を取り返しに来たダチョウですが、此処の樹海にも住んでいるのですか?」
「グリオリスですか?確か目撃例があったと思いますが、ツニク大樹海では深部に行かなくては遭遇しないと思います。そして、ストールの近くの森に限らず、様々なモンスターがこの国にはいますが、ツニク大樹海に存在する同種のモンスターは基本的に危険度が1段上がると思ってください。」
モンスターの危険度等級は以下の通りになるようだ。
5級 子供でも逃げることが出来る。
4級 成人女性でも倒せる。
3級 成人男性でも倒せる。
2級 武術の経験者なら倒せる。
1級 ここからは討伐者5級以上が目安になる。
小隊級 5級討伐者5人以上で対処できる。単独なら3級以上の実力が必要とされる。
中隊級 10~60人は必要、倒すと討伐者2級相当の戦闘力があるとみなされる。
大隊級 軍の出動を要請する。避難勧告が出る。倒すと1級と認められる。
災害級 1000人以上で対処できるかどうか。基本倒すではなく、飽きて去るまで耐える。過去に討伐できた者は英雄と呼ばれた。
らしい、この人には逆らわないようにしよう。そうこうしている間に準備が整ったようで、着替えて牧場まで足を延ばす。そして、そこで見たものは…
「これ馬じゃないよね?」
そう、サンドーコとバーロは馬ではなかった。確かに4足歩行でおとなしそうな顔をしているが、顔はリスで体は牛であるサンドーコと、顔はカピバラで体は大型犬のようなバーロであった。
「このサンドーコとバーロは馬友種とよばれ、人と共存できるほどおとなしく知能が高い種族です。ちなみに等級は1級に当たりますので、旅や駅馬車で魔物と遭遇した時にも戦力となります。初代様やカトアリアス様は彼らと会話が出来たと言われています。」
「そうなんだ…」
凄いねその能力、でね、目の前にいるこのサンドーコとバーロが思いっきり俺に語り掛けてくるんですけど…
『うむ…お前の気はなんか温かいな…よろしい、このドンキの背に乗ることを許そう。さぁ、そんなちんちくりんは無視して乗るがいい。』
『ふん、そんなデカくて雌の色気も感じねぇ奴より、このホーテの方が乗りやすいし優しく運んであげるよ!さぁ、乗って乗って。』
何?何よ?ってなんかバチバチ火花が散ってる。速攻でこの場から離れた方がいいと思うな!すぐ離れよう!
「必要なことは確認できましたっ!すぐにここから離れましょう!」
「もういいのですか?来たばかりですよ。」
「構いません。早くk
ガブッ
なんか服引っ張られてる…しかも2か所…振り返りたくねぇ。
グイッグイッ
マジで離してくれないかな?お願いしてみようかな?
「まぁ、初めて会う方にこんなに懐くなんて、トーヤ様にもテイマーの素質があるみたいですね。」
いやいや、フフフッってかわいらしく笑っていないで、助けてください。リスの顔で迫ってくる牛と、なんか興奮してるカピバラ犬にほんわかした気持ちなんて抱けません。むしろホラーです。今すぐ逃げましょう。
逃げられませんでした。
この小さな体で、動物から逃げる足も振りほどく力もなく、ドンキとホーテが満足するまで背中で揺られました。カトリーナはニーナと敷物敷いて、お茶とお菓子をつまんでニコニコしている。あの娘完全にピクニック気分だよ。なんか女子二人でキャッキャウフフだけどあちらを覗くと2匹が荒ぶるのでひたすら心を無にしていた。
「すっかり仲良くなりましたね。名づけまでされて喜しそうにしてましたよ。驚きました。」
すごい素敵な笑顔でお嬢様が言っている。こっちが案だけ救難信号を送ったのにずっとニコニコしてやがったし。もしこれが山田なら殴ってるよ?笑顔で仲良くなりましたねって何その山田、殴りたいその笑顔。
「とりあえずの情報収集は終わりました。後は用意していただいた本を読むだけですが、本をお借りしたら、少し情報を整理したいので、このあたりで失礼します。」
「え?どうされたのです?宿の用意をする時間はなかったようですが…」
「あてはあるので大丈夫です。」
「そうですか…」
「明日の朝また伺いますので、よろしくお願いします。」
「せめて夕食でもご一緒に如何ですか?お昼も満足に取ることが出来なかったでしょう?」
「ドンキとホーテに乗せられている合間にもらったお菓子で十分です。」
あんまり歓迎されてないんだよな…女の子の部屋に下すっぽんぽんで寝てた見ず知らずの男を歓迎しろっていうのが無理な話だけど。というかそろそろマリアたんを存分に愛でたい!制服と枕も目を盗んでボックスに回収してあるので人のいないところで今度こそ存分に抱きしめるんだ…
「分かりました。では館の者には伝えておきますので、またお越しください。それとこれをお持ちください。」
そういってお金を渡された。やべ、俺今無一文だ。
「ありがとうございます。では遠慮なく。」
そして本を借りて俺は屋敷を後にした。そういえば、さっきまでアイギスが憑いて来てたのが何故か分かったので、不思議に思ったら、右手が少し暖かかったんだよな…ドンキが言ってた温かいってこれかな?中指の指輪を見る。猫耳神は縁を繋ぐって言ってたけど何なんだろうな?この指輪。まぁいい、それよりさっさとこの街を出て、誰も見てないところで猫耳神…猫耳でいいか、にもらった力というものを試してみよう。まずはスマフォだ、そういえばさっきメールが来たな…確認するか。
(トーヤさんへ
こちらの手違いで、せっかく準備していた旅支度が無駄になってしまって申し訳ありません。時空を超えて異世界の人物・物を移動させるのはとても高度な技術を用いており、尚且つ膨大なエネルギーが必要になります。それ故こうして「めえる」という手段で謝罪させていただきます。代わりと言っては何ですが、向こうからこちらに送れなかったリュック一つ分のエネルギーが余っています。加えて、先刻お話ししたように魔力のない世界からこちらに来ても体が馴染みにくいと伝えたと思いますが、これも上記の理由で、こちらで用意した体を使うことが出来ず、トーヤさんの体が、子供の用に若返ってしまいました。当然この体を使うことがなかったのでその分のエネルギーが余っています。そして、私は元々この世界の神であるので、より融通を利かすことが出来ます。という訳で、私と繋がっているこの「すまふぉ」に新たな機能を3つ追加でき、ステータスポイントも1000ポイント追加できます。エネルギー量によって付けられるかどうか変わりますが、どのような機能が良いか「めえる」で書いて返信してください。
ホーリーより)
スマフォに機能を追加できるのは嬉しいな。うーん…どんなのにするか…よしこの3つにしよう
・念じるだけで操作できる機能
・カメラに写したものを具現化できる機能
・登録した人間に、念話のような形で連絡を取れる機能
これで送信する。後は、パートナーの召喚と、マジックアイテムのキャンピングカーの使用と第2回目のステータス配分だな。
さて、此処なら誰にも見られないだろう。丁度窪地になっていてこちらから周りの確認はできるが、周りからは意識してみなければ見れないだろう。パートナーを召喚するにはこのスマフォを使えばいいのか?と思っていると使い方が勝手に頭に入ってくる。猫耳が気を利かせてくれたのだろうか?まぁいい、リストを見る。
・ゴブリン営業マン 山田☆6
・ゴブリン営業マン 山田☆6
・ゴブリン営業マン 山田☆6
・ゴブリン営業マン 山田☆6
・オークの戦士 佐藤☆6
・恥ずかしがり屋の女王様 リン☆7
・猫又 お凛☆7
・狼獣人の執事 セバスチャン☆7
・りゅう☆7
まずはダブりの山田を合成させる。
・ゴブリン営業マン 山田+3☆6
・ゴブリンシェフ 田中☆6
・オークの戦士 佐藤☆6
・恥ずかしがり屋の女王様 リン☆7
・猫又 お凛☆7
・狼獣人の執事 セバスチャン☆7
・りゅう☆7
そしてこの中で5体をパートナーとして登録するのだが、召喚だけなら実は出来るのである。PGにおいて、プレイヤーレベルが30を超えると拠点を作ることが出来る。この拠点の大きさによって、召喚できる数が違うのだが、前回のポイントで、キャンピングカーを手に入れた。このキャンピングカーは、公式設定において見た目と中身の大きさが違うのである。中は不思議空間になっていて、召喚した数により部屋が増えるのである。なお最大15体まで召喚できるので、広さは十分なはずだ。パートナーボーナスを得られるのは登録した5体のみだが、時間経過だけはしているので、パートナーを組みなおすと、召喚してからの時間によってステータスポイントに追加が入る。この待機パートナーが10体まで召喚できるということだ。
「次にガチャ引けるかどうか分からんから、とりあえず山田、リン、お凛、セバスチャン、りゅうをパートナーにして、田中と佐藤にはキャンピングカーの防衛と雑事を任せよう。それじゃあまずキャンピングカーを出してと。」
ドンッ、そう音を立ててキャンピングカーは現れた。中を見る、なかなか良いじゃないか。そしていよいよパートナーたちの召喚だな。
「それじゃやるか、サモン!」
スマフォから光が溢れ、7つの光が出てきた。そして光が収まると7つの繭が現れる。
「そういえば初回のサモンだけはこういう演出があるんだったな。そして、時間経過で繭が破れ、中からパートナーが出てくると、確か1日かかるはず。ゲームならばその間にチュートリアルでダンジョンを攻略して帰ってきたらパートナーが出てくるって演出だったはずだ。つまりこのまま1日待たないとだめってことだな。」
とりあえず腹が減ったから冷蔵庫の中を物色する。よく異世界物でご飯がまずいって言うのが定番だが、こちらも匂いを嗅ぐ限りあまり美味そうではなかった。カトリーナが食べていた菓子も少しパサパサだったし。これでも一人暮らしをして自炊も心掛けている。むしろ生活費を節約してガチャに回すというようなことをしていたので料理は得意だ。幸い日本の食材ばかりのため、味が変になることは無いだろう。ちゃちゃっと作って次に行こう。
さて、腹ごしらえも済んだしポイントの配分と行きますか。親愛度はないが、パーティーを組んだことで、以下のポイントが得られる。
・ゴブリン営業マン 山田+3☆6 400P
・恥ずかしがり屋の女王様 リン☆7 150P
・猫又 お凛☆7 150P
・狼獣人の執事 セバスチャン☆7 150P
・りゅう☆7 150P
そして猫耳神が1000Pくれたので、2000Pが今現在所持しているステータスポイントだ。PGにおいて、RCの次に重要なのがこのポイントで、スキルやマジックアイテムの強化にも使える。さて、俺のステータスはと、
HP50
MP0
攻30
防23
魔攻0
魔防0
素早さ15
器用さ30
賢さ110
ラック100
スキル
親愛度上昇速度アップ
火魔法Lv1(マッチ)
水魔法Lv1(ウォーター)
全世界全言語・文字翻訳
マジックボックス100種99個
ここで火魔法と水魔法のレベルを上げるのもいいが、PGをそれなりにプレイしたことのあるものは、まず器用さと素早さを上げる。二つとも500以上に挙げると、(マーキング)(超反応)という2つのスキルを自動で取得する。マーキングは狙いをつけた相手に攻撃するとき命中率とクリティカル率が大アップする。しかも自分より素早さと器用さの低い相手は、実態がある相手ならば必ず命中する。次に超反応だが、このスキルは、自分より素早さと器用さの低い相手の攻撃を自動で避けることが出来る。確かこっちの世界のトップクラスの人間が、
HP900~2000
MP50~1500
攻80~430
防50~380
魔攻20~1800
魔防30~1300
素早さ30~400
器用さ30~450
賢さ15~150
ラック7~50
というステータスらしい、幅が大きいのはそれぞれのスタイルによるものだろう。つまり実質この世界の人間では俺に傷付けるというのは難しいし、一方的に攻撃できるということだ。これぞチート!さっさとこの依頼を終わらせて部屋でマリアたんを愛でまくるぜ!
ティロティロリン
またメールだ。なになに…
(先ほど要望された。
1・念じるだけで操作できる機能
2・カメラに写したものを具現化できる機能
3・登録した人間に、念話のような形で連絡を取れる機能
の条件ですが、1つ目は何も問題はありません。2つ目は生物は無理です。物でなければいけません。そして、大きさにより魔力を消費してしまいます。3つ目は相手の同意があるという契約に則れば問題ありません。また、相手側の了承を得たときは、相手を中心として20メートルの間にいる者にも伝えることが出来ます。了承は事前に得ておけばスマフォに個人通話かスピーカーか選べます。ただ距離により、やはり魔力の消費が大きくなりますので、注意してください。
PS 体が小さくなってしまったので、もしすぐ地球に帰ってしまったら、その体のまま行ってしまうので、何年か経ってから帰ることをお勧めします。お詫びにさらに500P追加しておきました。申し訳ありませんでした。)
「……………っ、マジふざけんなよクソ女神がぁああああ!」
猫耳から衝撃の事実を伝えられたため、すぐには帰れないと意気消沈する俺、少なくとも元の外見になるまで待つとしたら、6,7年は掛かってしまう。幸い戻っても転移した時点まで遡れるらしいので向こうに戻るには、
少なくとも高校時代の身長まで戻る必要がありそうだ。ちなみに18歳の時の俺の外見は、176cmの短髪の黒髪で、中肉中背というやつだ。顔は…十人並みだな…多分…とにかく!こちらで数年過ごすことは確実であろう。ならば生活の質も高めなくてはならない、丁度キャンピングカーのレベルを上げるのに500P必要になるから、詫びのPを使おう、レベル2になると待機パートナーが20体まで召喚できる。つまり今の倍である。さらに設定によると車自体の設備も向上するらしい、Lv3になれば、今だと簡易拠点という扱いだが、移動拠点となり、ホームに設定できる。メリットは50体まで召喚でき、設備も上がるらしいが、最も大きいのが訓練所が出来る。この訓練所は、パーティー以外のパートナーにも、時間経過で経験値が入るという、時間の少ない社会人向けの救済措置である。Lv2から上げるのには確か1000Pと自分のレベルを30にする必要があるが、さすがにそろそろ自分のステータスに割り振らないといけないだろう。器用さと素早さは決定として、今使えるPはと…1045Pだな…これを他の数値やスキルに割り振ると
相沢 冬也 Lv1
HP50→100
MP0→300
攻30→50
防23→100
魔攻0→150
魔防0→150
素早さ15→500
器用さ30→500
賢さ110
ラック100
親愛度上昇速度アップ
火魔法Lv1→Lv3(マッチ:1 ファイアボール:5 流星弾:10)20P+40P
水魔法Lv1→Lv3(ウォーター:1 ウォーターボール:5 水鏡:10)20P+40P
全世界全言語・文字翻訳
マジックボックス100種99個
マーキングNew命中率大アップ・クリティカル率大アップ
超反応New回避率大アップ
魔纏術Lv1New魔力を体に纏わせ戦闘力を上げる。攻・防・魔防・素早さ20アップ
猫かぶりNew自分を弱く見せる。敵とのエンカウント率アップ 50P
威圧New自分を強く見せる。敵とのエンカウント率ダウン 50P
キャンピングカーLv1→Lv2(機能拡張、25体まで召喚可)500P
これでOK、残りは78Pだが、次回に貯めておこう。さて、火魔法と水魔法をLv3に上げたので、魔纏術を習得した。これは自身のステータスを上げることと、習得している魔法の属性に切り替えることが出来る。つまり今俺は、無・火・水の属性を持っているということだな。猫かぶりは自分を弱く見せ、敵をおびき寄せる。今は最低でもLv30にして拠点を手に入れるべきだ。威圧は日本と違うこの世界ではきっと役に立つ、何せ路地裏を除くと明らかに治安が悪そうだったからだ。今のステータスなら暇つぶしに回っても問題なさそうだが、パートナーが出てくるまではやめておこう。そうだ、あの駄女神に、(本当に謝罪する気があるならガチャを引かせろ!)って送っておこう。さて残りは借りた本を読むか。
………
………
………
100年ほど前、隣国に攻められたこの国は常に劣勢だった。しかし、カトアリアスが仲間とともに一騎当千の戦果を挙げ、2年で戦況を覆す。その結果、隣国が撤退し、その功績をもってトレーター家は男爵位になる。その時は、王都とこのミトリーの街を行き来する生活だったようだ。そしてその翌年から王都で、たびたび奇怪な事件が起こるようになる。普段はおとなしい人間が突然暴れだすという事件だ。さらに翌年には傷害事件まで発生し、のちにダンタリオン事件と呼ばれることになる。正確な年数が分からないのはのちに起こる混乱期の影響で正確な資料が紛失しているためだそうだ。そして、王都やその周辺の街でたびたび起こる住人の狂暴化が進み、とうとう殺人事件まで発生してしまう。そこで、当時16歳になり、男爵の襲名を待つために王都に滞在していた次期当主でカトアリアスに次ぐ武を誇っていたその弟のアンドレアスと、救国の英雄であるカトアリアス達に事件の究明の任が王命として出た。そして、王都に住むある狂人が召喚した『悪魔ダンタリオン』が原因であることを掴んだ彼らはすぐさま国王に報告し、ダンタリオンの討伐の任が下りることになる。
「人使いの荒い王だな…男爵にした途端に即命令か、貴族は大変だね。」
そして、無事ダンタリオンの討伐には成功したが、その戦いの中で、カトアリアスが命を落とし、黒髪の剣士が姿を消した。討伐には成功するものの愛する者を失い、失意の中にあるアンドレアスを白髪の格闘家が支え、20年経ち二人が結ばれることになる。
「この時代で40で子持ちか…というか妻の名前が出てこないな。なぜだ?まぁ、伝記を見る限りおしどり夫婦だったようだが…遅くから生まれた子も大分可愛がったみたいだな。詳しい資料がないのは、住人たちの発狂が相次ぎ、さながら世紀末の状態で国中が混乱していたためだろう。」
そしてアンドレアスとその妻は、息子のデューク・トレーターが18の時に亡くなったらしい、そこから今のトレーター家に連なるみたいだ。このころになると詳しい資料が出揃ってくる。一度国が傾きかけると立ち直るのにしばらくかかるみたいだな、特に現代と違い文明的に1800年代か?その為、こちらには情報の伝達手段が限られているみたいだからな。
「これで俺の仮説が出来たな、あとはこれをカトリーナに報告してその後どうするか…確かこの後王都に行って婚約者が出来るんだったか?まぁその辺も打合せするか。今夜はもう寝よう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます