李鐸、垓北山に兵站基地を築く。
羅梅鳳の答え。
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「
驢馬車の御者の
『この山、見てくれ、悪すぎ、、、、(-.-)、、。』
『見る価値なし、、、、、(-.-)、、、、。』
『書く価値もなしといきたいが、書かなきゃ、仕事、、、、(-.-)』
陳粋華の言いつけた日課も確実にこなし、驢馬車の管理維持並びに、臨時兵部右筆としての仕事をする上で大いに助かっている。
本当は、夏侯禄が助かっているのだが。
噂では、羅梅鳳のところにも陳白は時折出かけて武芸を習っているらしい。
そこまで、止める権利は母親の陳粋華にはない。
布を口の周りと首にもう一枚巻いて陳粋華が毛布をかぶったまま出てきた。
長壁以南の汎華世界では、最も北にあり、最後の山となる。山というには、低いし。木々もそんなに生えておらずいたるところに、雪が残り見るからに寒々しい。
陳粋華は、夏侯禄の隣の御者席に座った。
陳白は、驢馬の
夏侯禄が言った。
「あの
「輜重隊も全部、ここで切り離すんですたっけ、ぐす」
「はい、
「完璧ですね、さすが状元ですね、ぐすごほ」
「はぁ、もう木々がある場所も
それが、余計に禿げ頭に見えてくる。
「
「なんでしょう、ぐすごほごほ」
夏侯禄の陳粋華に対する呼びかけが変わった。
「昨日、
陳粋華は無言だ。喉が痛いせいもあるが、夕食後、昨晩も大いに揉めた。
これは、明確に夏侯禄の提案ならびに意見に陳粋華は否定という意味だ。
今日も、朝から、黒馬に乗った羅梅鳳が驢馬車の周りを何刻か置きにウロウロしている。
恐らく、夏侯禄が陳白を通じて、羅梅鳳に話をつけたのであろう。
夏侯禄のというか、北伐軍全体の命令は臨時兵部右筆ならびに驢馬車はこの
本体北伐軍の勝利、凱旋を待って合流し
もちろん、驢馬車には、今までの記録、とともに、夏侯禄、陳白、陳粋華が含まれる。
『断固拒否、、、、、、、、、、、、、、、、、、٩(๑`^´๑)۶』
食料庫ならびに補給基地はこの垓北山の中腹に穴を掘って作るという。しかも、この垓北山の頂上まですぐに登れるのだが、そこまで登っても、
ということは、陳粋華は山の洞窟で戦況を生米と一緒に待つということになる。
物見遊山といえば、物見遊山かもしれないが、戦を記録、見に来たのに、洞窟で待つとは、どういったことだ、これ。
私のこの秋から初冬にかけての一季節半ぐらい、返せっての、ぐらいの気持ちである。
一ヶ月以上も一緒に旅をしてくれば、夏侯禄も大体陳粋華の考えは振る舞いから理解しているらしい。
今日になると、昨日と打って変わってあんまりくどくどもう言わなくなった。
大体、師匠の劉伯文も、護衛と言って、こんな老人をつけるってこのあたりから土台おかしいのではないか、、、。
昨日も、色々寝しなに考えたのだが、それぐらい、戦場には行くなってことかもなとか、考えがちょっと変わってくるから士大婦って大勢派で保守的だ。
昨日一応、表明した陳粋華の案はこうだ。
もちろん、驢馬車が遅いのは、認める。驢馬車に重要な資料がもう既に大量保管されていることも確かだ。
だから、輜重隊ともに垓北山に残るのは、必至。
夏侯禄さんも正規の兵士ではないのは確かだ。陳白も三歳で戦えるわけがない。この二人が残るのも、必至。
つまり、陳粋華だけが生きる、竹簡、木簡となって戦場まで行ってすべてをこの脳髄、脳漿の中に記録して、そして、垓北山に返ってきて、
陳白や夏侯禄を出し抜くのは容易だ。とくに、今日になって陳粋華がいささか無礼だが無言を貫くと、夏侯禄はもうあきらめムードである。
老人というのは、世の中がいかに自分の思いどおりにならないか、死ぬほど味わっている。しかも、歳を取れば年々その度合はひどくなるものらしい。
『問題は、どうやって、実戦部隊についていくかなんだな、(-_-;)、、。』
色々策を巡らせていると垓北山麓の予定の宿営地についてしまった。結局、名案は浮かばなかった。
無理だわ、とも思った。
夏侯禄が、驢馬車を止めいつもの野営の準備を始める。陳白ももう手慣れたもので
「
とか、言って、薪を集めに行く。
夏侯禄が配給をもらいにいく。天京を出発して以来夕時に毎日繰り返されてきた光景だ。
貴重だが、まだ水が手に入るので、煎り米や干肉、
手間を省く
陳粋華の驢馬車の一行は宿営地の真ん中にどーんと入っていれば、いいが、卒は、毎回宿営地に到達するや、当番制だが木組みの柵用の土台を掘り設営。見張りを四方には櫓を立てなければ、いけない。そして散々歩いてきた上に皆が眠る夜の間は一刻(二時間)交代で立哨だ。
身分制度を是とする
あっという間に夕食が出来上がり、もう陳白などは目の色を変えてはふはふ言って食べだしている。
陳粋華の前にも、夏侯禄によってお椀が置かれた。
「悩んでおられるのは、わかっておりまする、しかし命あっての大業ですぞ」
まさにそのとおりだ。
子曰く、汝、何だったけ、過ちを直さ、、
下手な策が思い浮かばない以上。中央突破で押し通るしかない。
「
大業を繰り返すしかない、自分の弁舌と三寸の舌が恨めしかった。
白は、継母の真剣な勢いにおされてか、おでこには太い胡族の入れ墨が入っているにも拘らず、汎人のように左手で拳を造り右手でそれを包み儀礼を示している。
夏侯禄が一切、反論しないのが気になる。毎食チビチビ茶筒から出して飲んでいる茶の用意をしている。
伯文の名前を出したのが効いたのか?。
「これから、
陳粋華はお椀を置くや、勢いよく立ち上がった。
お椀の雑炊は半分しか減っていなかった。
粗末な炉の火元から数歩離れると、えげつなく寒かった。これが
予想外に
軍師、
軍師の天幕の中には、きちっと枠組みで創られた百分の一程度の縮尺の箱庭のような立体地形模型があった。なんとそこには垓北山のみならず、もう
陳粋華が覗き込みかけると、
隠したいなら隠すがいい。この陳粋華はこの戦のすべてをこの
輜重隊隊長、
陳粋華は大股で総大将、李鐸のところを目指した。
警備がすごい。
宿営地の中なのに、立てた丸木でもう一重に塀を建て三本木で門を建て、白を拾った村の家々より立派かもしれない。衛兵がずらっと天幕まで片側に十人づつ立っている。
当然門できっちり留められた。
名は言わず、役職だけ言った。こういうのが、官僚機構では効くのだ。軍隊も官僚機構の際たるものである。
「臨時兵部右筆として、軍師殿のところへ参るとここだと言われたので、
一発だった。親衛隊のエスコート付きで総大将の天幕に入れた。
『めっさ、広ぉーい、、、、:D』
驢馬車で足を伸ばして寝られないため、胡靴を履いたまま御者席から足を出して寝ている陳粋華とはえらい違いである。
陳粋華も士大婦である。
さっきまでは、戦場に赴く勢い余って傲岸不遜な態度だったが、ぱっと、両膝をつき、屈座になり言った。
「帝の朝臣にして臨時兵部右筆、陳粋華が、賊討伐の北伐軍、総大将、李鐸、上司軍殿に拝謁いたし申し上げたてまつりまする、ぐずごほ」
と大音声で言うや、一回組んだ両手を前に出し、
李鐸は座ったままだったが、言った。
「どうぞ楽に、我らともに天子様の朝臣、そのような儀礼不要です」
陳粋華が表を上げてみると、そこには、下座だが、卓を囲んで軍師尉遅維もいた。ここにいたのである。
天幕内は広い割には、質素である。
『なんだ、総大将とか言っても、普通のおじさんじゃん』
これまた、李鐸付きの若い弟子、
『こんな座につけないじゃん、、、、(・_・;)』
尉遅維より上座になってしまう。
卓を見ると二人で囲碁をパチンパチン打っている。
『どれどれ、、、・ω・』
陳粋華、立ったまま囲碁を眺める。尉遅維は、パシンパシン、足早に辺に布石してもうかなり地を稼いでる。
で、李鐸はと、、。死にそうな上辺の四子を必死で助けている。この四子は捨てたほうが良い。で、早く尉遅維の地の盛り上がりを消さないと、、、。尉遅維はニコニコ顔である。李鐸、渋い顔をして盤上の四子に顔を近づけ考慮中。手番は李鐸のようである。
陳粋華は、だーっとかなりの早口で自分が最前線まで従軍したい旨を二人のこの北伐軍のトップ2に伝えた。
李鐸は次の一手を思案中だったとみえ碁石をもったまま、驚いた顔で陳粋華を、見たが、形勢有利な尉遅維は即決で
「宜しんじゃないでしょうか?」
と言った。
宜しいってどっちが宜しいのか、やめたほうがよろしいのか、付いていってもよろしいのか。
李鐸はまだ碁石を持って、目を見開いて間近の陳粋華と碁盤を見比べている。そこへまだ幼子のような
「右筆殿、どうぞ」
「これは、頂きまする」
と言い、茶碗をもらうにかこつけて、半身になったとき陳粋華は李鐸の碁石を持った手を支えにして明確な意図を持ってちょっと下へ押した。
李鐸の碁石を持った手は押されて、上辺の四子からさらに辺の下にへケイマにスベった。
「うん!?」
李鐸はよくわかっていないようだったが、石から手を放してしまった。これで、一着である。
「お二人のお邪魔をしては、この陳粋華心苦しゅうございまする、夜も更けてまいりました、これにて、失礼させていただきます」
あのケイマのスベりで目形になり李鐸の四子は
陳粋華がくくっくと笑いながら、天幕の門構えを出るとそこに小さな黒い影があった。
いつもの剣帯はなかったが誰かすぐにわかった。
羅梅鳳である。
『そうか、夏侯さん
「夏侯禄のじいさん、泣いてたぞ、伯文さんに会わせる顔がないって」
「今、総大将、軍師から随行の許可をいただきました」
「上司軍や軍師からしたら、右筆が一人死のうが痛くも痒くもないだろう。都合の悪い出来事もみけせるかもしれないしな」
「これは、陳粋華一生の覇業、大業です」
「御同輩、お前だって戦記物、読んだことあるだろう?」
「あります」
「戦記ものなんて、どれも”聞き書き”か、本人が書いてたら読みにくい下手な文章に誇張した嘘八百ばかりだ。一人を倒せば十人が襲ってきた。十人に襲われれば、百人来た。千人見たら、一万騎だ。
「それを私が変えてみせます」
「死んだら、変えられねえじゃんか」
羅梅鳳が一歩、二歩詰め寄ってきた。陳粋華も一歩、二歩と進む。
「死にません。白の為にも死ねません」
勢いで言っただけだ。そんな自信ない。
「簡単に考えているようだけど、死より辛い生を賜ることもあるぜ。死すら選べない不具になったらどうする、天命だと受け入れられるのか」
今宵の羅梅鳳の言葉は刃のようだ。
「胡族は、人喰いだぞ、それも生きたまま喰らう」
「
もう二人とも掴みあえる距離まで来た。
「お前みたいなのが、一番腹が立つ。土壇場で
「その言葉だけは、
二人は掴み合いになった。
羅梅鳳は徒手空拳での戦いにも慣れている。足を掛けて倒そうと思ったが、陳粋華が髪を掴んでくるとは思わなかった。
本当に
羅梅鳳は陳粋華の襟を持っていたが、陳粋華は村でいじめられたときにしていたように相手の髪の毛を掴んだ。
羅梅鳳が今度は左足を掛けて地面に倒した。なんとか倒したって感じだ。
馬乗りになって、なにも出来ない状態にしてやるつもりだ。馬乗りの下側の人間は地面が後ろになり手を振りかぶって攻撃ができないために防戦一方になるのだ。ちょっと喧嘩なれしたものなら誰でも知っている。
汎華の女性にとっては死ぬほど恥ずかしい裸にひんむいてやってもいい。
「ぎゃあああああああああ」
陳粋華も必死だ。獣のように吠え、暴れている。
このちんちくりんのひょろひょろ青瓢箪こんなに膂力が強かったっけ?っと羅梅鳳が思っていた頃。
「どええっ」
陳粋華が岩を持って馬乗りになりかかっている、羅梅鳳の側頭部に打ち付けた。
どがっ。
ものすごい音がして、羅梅鳳も脳震盪で頭がクラクラしたが、必死に意識を保とうとこらえていたら。
もう一発逆に来た。
どがっ。
羅梅鳳は思った。嘘だろう、おれが、こんなちんちくりんの小刀も持てなかった
女に負けるなんて、、。
脳震盪だろう頭がクラクラする。頭皮が切れているのも感じる、温かいものが頭を伝いすぐに冷たく感じる。それに血の匂い。喧嘩はいつもこの血の匂いだ。
もう一発頭頂部に来た。
どがっ。
羅梅鳳は思った。こいつ頭いいじゃん、三方向に分けて攻撃するなんて。そして、やっとわかった。おれ、こいつを怪我させないように手を抜いていたし、こいつはこいつなりに必死だったんだわ。
馬乗りになったまま、真後ろに板切れのように倒れる羅梅鳳を夏侯禄が支えた。
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陳粋華の男性レポ。
イケメン度 在 不在
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