陳粋華、新たな師匠を得る。
子曰く、
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「
早朝、
黒馬を宿営地の
「うわっ!出た!」
そこに、
「なにやっての、おまえ?」
と羅梅鳳。
「頼みがあって参りました。
「知ってるよ、御同輩さお嫁さんに行く前にコブ付きになっちゃんたんだろ。
「
「そんな責任感じないほうが良いんじゃないの?それってめっちゃ
「まちがっています。"
「それにさあのガキ、実は間者かもしれないぜ」
陳粋華の表情が突然変わった。
「無礼な、それは、
「母つったって、まだ会って一週間じゃん。あのガキのなにがわかんるんだよ」
「せめて
「おれ、子供嫌いなんだよね、わがままだし、泣くし、すぐ黙るし、好かれようとも思ってないから。それより用向きはなんだよ、おれさ、一晩中斥候でさぁ、眠いんだけど、それにめっちゃ寒かったし、もう夜は綿入れいるわ。また北だったんだよ。あの仮設橋で切っ先向けた
「天網恢恢疎にして漏らさず、ですね」
「それも基本馬鹿にしてるだろう、そういった慣用句はいいから、で、御用は?」
羅梅鳳はもう帷幕内の簡易炉に掛けたやかんのほうじ茶を飲みだした。
すると、陳粋華が
「どうか、この陳粋華に武芸を教えて頂けまいか!」
「はぁああ??」
流石にその日は、羅梅鳳が疲れ切っているということで後日になったが、数日後卒
達の訓練場に、二人の姿があった。
陳粋華は大真面目。
羅梅鳳は寒そうで面倒くさそうである。手すら裾から出していない。
その羅梅鳳が言った。
「最初に言っとくけど、武芸ってさぁ、
「それは、ちょっと無理だわ。だって、第一印象とずーっと
「それって、物を
「他の人には出来ても、あんたは、無理だわ」
「じゃあ、頼むなっつーの」
羅梅鳳と陳粋華が向かい合っている。その間には、
短剣、長剣、
「試しに、どれか、持ってみ」
と羅梅鳳。
いきなり、青龍偃月刀に手を伸ばす陳粋華。ぱっと足を出し封じる羅梅鳳。
「それはやめとけ、絶対無理だから」
「
陳粋華は腰を据えて二本の
「師匠、もう一度機会を今度は、、」
「あのさ、、、なんで短剣を、、」
投げやりな羅梅鳳の前で、しばらく時間はかかったが、なんと陳粋華、戈を持ち上げた。
しかし、二本の腕で持っているにも関わらず、手のひらに棒を立てる曲芸のようにあっちにふらふらこっちにふらふら。
鍛錬や見物していた卒が、おお、おおお、わーとか、言って逃げ出す始末である。
「御同輩、そんな旗みたいに持つんじゃなくて、肩に担ぐんだよ。肩、肩、肩」
すると、陳粋華のもつ戈は羅梅鳳のほうに急激に傾きだした。陳粋華が戈を操っているというより、戈が陳粋華を操っている。
羅梅鳳が咄嗟に両足で後ろに飛んで避けたが、羅梅鳳の顔面すれすれ通って胡靴のつま先ぎりぎりにL字型の戈の刃が落下した。
「師匠がもうちょっと巨乳ちゃんだったら、危なかったね」
と涼し気な顔で陳粋華。
一転、無表情から鬼のような形相になった羅梅鳳。
「わざとでした、って言わない限り、もう教えないぞ」
「戈が言うこときかないから。もうちょっとあの仮設橋の
「もう攻めは辞めよう、実は武芸って守りから入るんだよ」
「なんで、それ先に言わないの」
「わざとでした」
「あー今、バクった」
羅梅鳳を指さして笑う、陳粋華。
「俺が木剣で攻めかかろうか?。まだ武器選んでるのかおまえは?」
羅梅鳳の言葉に耳も傾けず、並べられた武具に興味津々の陳粋華。
「もう、短剣にしとけ。俺が木剣持つのって十歳以来だよ」
羅梅鳳の言葉に目を細める陳粋華。
『やっぱり、こいつは、天然の"人斬り"だ、、、、(-_-;)』
羅梅鳳は刃引きの練習用の鉄剣に比べるとやや軽い木剣の長剣をぐるんぐるん片手で回している。
「おまえは短剣だって、師匠が言ってるだろ」
「盾、盾、盾。だって、
「それも、鉄で重いから、、、、」
盾は鬼や虎の顔が掘られた表が上になって置かれていた。腕に装着するにはひっくり返すしかない。
またもや、腰を据えて二本の
陳粋華は盾をペタンペタンしながら、宿営地の鍛錬場の端のほうに行ってしまった。
「これ、なんの競技なんなんだよ」
と羅梅鳳。
「盾も無理だわ」
「取ってこいよ」
「疲れた、すぐは無理だわ」
大きなため息を羅梅鳳がつく。
陳粋華が今までみたことのない、悲しく落ち込んだ表情を羅梅鳳は、しばらくしていたが他の卒や武官の邪魔になるからと盾を取りに行った。羅梅鳳は軽々と片手でもってかえってくる。
当たり前である。これで、敵の戟や矛を受けるのだ。持てなくてどうなる。
気がつくと、だいぶ日が傾いている。
羅梅鳳が急に全然喋らなくなった。
だいぶ真剣に思案している風である。
しばらくして、言った。
「一番、いい方法教えてやろうか」
「うん」
「明日朝一でさ、
「ええっーここまで、来たのに」
「逆にここまで、来たから無事に帰るの。もう引き返せる限界の地点だぞ。もうさぁ、
「うん、禁軍の制服着てない卒が特にね」
「あれさ、北陽王の謀反に加担しない
「
「まぁ、それもあるけど、斥候に出しても返ってこない隊が多くてさ、胡族に襲われてもいるんだよ。十人ぐらいだと、返ってこないときが多いんだわ」
「じゃあ驢馬車一台じゃあ、あぶないじゃん」
「だから、ぎりぎりなの。でも一応正式な臨時兵部右筆なんだから、
「頼みにくいんだよね、、、
「
ふたりとも、無言、太陽がもう少しで夕日になる。日が沈む西域も胡族の支配地域だ。草原が続き、岩場になり、海のような砂地になって
貿易で
というより、長壁以南にしか
「誤魔化して終わろうかと思ってたけど、ちょっと真剣にこの短剣でいいから、持ってみ」
羅梅鳳が言った。羅梅鳳は短剣をくるっと手のひらだけで回すと、鞘から抜いた。
で
両手で持つとなんとか持てた。
「俺めがけて、ちょっと降ってみ」
両手だとなんとか、振れたが、振った後、すぐには短剣を返して元の位置に戻せない。
「片手で持ってみ、短剣とはいえ剣の届く距離がめっちゃ伸びるから」
無理だった。だらーんと切っ先が落ちてしまう。仮設橋で校佐に長剣の切っ先を片手で向けていた羅梅鳳とは大違いだ。
同じ女性とは思えない。
しかし前と違い、陳粋華も無理だわとは言わなかった。羅梅鳳が見兼ねて言った。
「もういい」
と羅梅鳳、木剣で片手で保持している陳粋華の剣先をちょんと触り、切っ先を地面にまで落とした。巨大な石が落ちてきたのかというぐらいの力だった。
師匠として羅梅鳳が困った顔をしてるかと思ったら、意外と少し笑顔だった。
「攻撃は忘れよう。どうせ男連中は女だとわかるとナメて力で組み倒してくるから、あの村のときみたいに陛下から頂戴した
「あの
「そのとおり」
手の長さの二倍分ぐらいの距離で羅梅鳳が陳粋華に正対して立った。
「躰の幅ってけっこうあるだろう。これが全部的になっちゃうわけ。だけどさ」
羅梅鳳が片足を半歩後ろに引いた。躰そのものが半回転し半身になった。
「的は、半分ってからくり」
陳粋華もやってみた。羅梅鳳ほど早くには半身にはなれなかったけど出来た。
出来たということ自体がうれしかった。
「反対の足でもやってみ」
これまた、出来た。さっきよりちょっと遅いけど。
「それを暇な時、ずーっとやっときな、、三日でどれくらい早くなるかしらないけど」
そういうと、羅梅鳳は散らばった武具を肩に
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陳粋華の男性レポ。
イケメン度 在 不在
名前を知らない卒 九十二 在
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