羅梅鳳、陳粋華の出征を知る。
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禁軍の卒は、
天子、
文武百官がいつもは絶対にない天守台を背にしてたちならび、北伐軍を送り出す。
いちばん重要な儀礼は、
これは、禁軍を天金外に動かすときだけの特別事項である。
それこそ、丁度、十万人分。
そして、帰還しても城外で必ず、全卒を解散させ、卒符だけ青禁城に持ち帰る。
末席にいる陳粋華には全くみえないが、皇帝袁順から卒符を賜った、李鐸は卒符を上へ掲げ、仰ぎ見、いかなることがあろうと
今この瞬間からは、李鐸の命が皇帝の命となるのだ。
そして、齢六十二の李鐸の大声に合わせ続き、
「皇帝陛下、万歳、万歳、万々歳」
「皇帝陛下、万歳、万歳、万々歳」
「皇后陛下、万歳、万歳、万々歳」
「皇后陛下、万歳、万歳、万々歳」
とそれこそ地をゆるがすような、大音声で繰り返す。
そして、出征するものたちだけ、天京に残る、文武百官と皇帝に対し、
式典は、これだけ、十万の大群である。
出征する幹部たちは、若干の不安は持ちつつも総勢十万の大軍勢である。一塊になってさえ居れば、なんとかなる安心感は持って出世する。
陳粋華が、
「おい」
聞き慣れた声である。
陳粋華は振り返ったが、龍の兜が大きすぎて、また、誰かに
「どうか、兜の
陳粋華がそう言った。
陳粋華が兜をなんとか、取って見やると、仁王立ちした羅梅鳳がそこにはいた。
「ああ、これは、
「これは、なんかの冗談か」
羅梅鳳の表情はいつになく険しい。
「この兜のことですか?」
「違う。冗談は無しだ」
「臣、陳粋華、武官の皆々様とともに謀反人、
「おまえ、文官だろう」
「辞令をお見せしましょうか」
羅梅鳳にやや驚きの表情があった。辞令が出ていると思わなかったらしい。
「本物の戦争に
「臣、陳粋華、承知しておりまする」
「今、お前の片足を折って不具にして行軍出来ないようにもしてやれるぞ」
「そのような話は、よく戦記物で読み訊きいたしまするな、羅氏殿」
羅梅鳳が、陳粋華の朝服の襟を掴み顔を近づけた。
「恐らく、陛下の大切な
「お前、とんでもない阿呆だな。この俺と同じくらいの」
「臣、陳粋華は、文官なりや」
しばらく間があり、出征する多くの同輩が奇異な目をこの二人の
「好きにしろ、この阿呆。どんな
と羅梅鳳が言い、思いっきり朝服の襟を放した。
しかし、なんという、
どんな力の入れ方を指していたのかすら、わからないが、陳粋華は襟を放されただけなのに尻もちをついてしまった。
羅梅鳳はテクテク、
『へん、やっぱり変なやつだ。ああいうのを変わり者っていうんだな。やっぱり
司史所には、いつもと同じ。師匠が小屋か、あばら家の奥で、雑布を
表情も変わらずいつものいっしょ。真っ白の毛と真っ白の喪服かというぐらいの朝服。
「式は、終わったか、我が愛弟子よ」
「はい、師匠」
「
「はぁ」
「しかし、
「はぁ、しかし、これにて、師匠様と
「そう、成らぬが為の
「はぁ」
劉甫は、そういうと、またもや、桐の竜頭の兜よりは、一回り大型の
「また、兜ですか?」
「
「
「そうとも、言える」
と劉甫。
桐の大型の筐体の蓋を開けると、中には、黄ばんだ相当古い爬虫類の骨が入っていた。
「竜骨ですか?」
と陳粋華。
「然り」
箱をゆっくり興味深げに覗き込む陳粋華。
「相当大きな龍の骨盤あたりかと、見受けいましまするが」
「触るのじゃ、愛弟子よ、この骨が
「最初の人にして
陳粋華がつづけた。
「怖いか?とにかく、触れ」
「いえ、怖くありません。
「左様、早う、触れ」
陳粋華はそっと竜骨を触った。すると、劉甫は、自分で竜骨を触らないようにして、桐の箱の蓋を締めた。
「別れはいわぬ、見たもの聞いたもの、すべてを
「はい、弟子、陳粋華、
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陳粋華の男性レポ。
イケメン度 在 不在(男として、ありかなしか)
拝天房で横に並んでいた武官 六十七 在
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