第4話
それから時間は過ぎ、クラック・バードの捕獲に成功したのは、夕方の事だった。
「ぜぇ…ぜぇ…や、やっと…ぜぇ…捕まえた…」
「クゲェェェェ!!」
全身ボロボロになりながらも捕獲したクラック・バードを小屋に放り込み、厳重に鍵を掛ける。次いでに小屋自体も封印の結界を貼り、絶対に破れないように細工を施したところで力尽いてその場に突っ伏して倒れた。
「う、う…。長かった。でも、明日で…明日で全てが終わる…」
もう疲れすぎて動けない。最近ちゃんと休めてなかったし、これだけ頑丈に閉じ込めれば明日くらいは大丈夫だろう。………多分。
「大丈夫、あれだけ封印したんだ、細工もきっちりしたし、きっと破れない、大丈夫、大丈夫だよ、きっと、多分、大丈夫。………だと良いな。うぅ…」
そんな突っ伏して倒れたままブツブツ呟いている彼の元に、ふと影が射した。
「………大丈夫かの?」
「え?」
気だるい頭を奮い起たせて持ち上げると、そこには一目で高級品だと解るローブを着た老人が立っていた。
「何やら酷く疲れておるようじゃが…立てるか?」
「………あ」
そう言って、ローブが汚れるのも構わず自分に向けてしゃがみ込み、優しく手を差し伸べてくれる老人。
そんな老人に対し、彼は疲れとは別に固まったまま動けなかった。何故なら、彼にはこの老人に見覚えがあったのだ。今は少し疲れているようにも見えるが、暖かい笑顔で自分達を導いてくれる正に父たる存在――
「しゅ、主神様ぁぁ!!?な、何でぇ!!?」
「うわっ!?」
つい、思い切り叫んだ彼は悪くないと思う。
この世界の創造主であり、父でもある主神である。御姿を拝謁できるのは特別な時だけで、それも厳重な警護の中、短い時間でしかそれも許されない。そんな御方が、まさかこんな時間に、しかも御一人で目の前に現れるなんて……。
本当、何で??
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