第17話 愛情宿る胴体。

 私は学校が終わった後、耕哉君と水鶏奈くいなちゃんの胴体と共にこれから図書館を含めた複合施設まで向かい、私が出来る事を考えていた。


「ねぇ、耕哉君。」


優真ゆま。お前も水鶏奈くいなの身体を守りたいんだろ。だから俺と水鶏奈くいなに同行するんだろ。」


「うん。でも、その守るは水鶏奈くいなが死ぬ事より奴隷を脱却させる為の方法だと私もようやく理解したの。」


「あぁ、その通りだ。欧米の一部支配者層にその情報が洩れればお金の為に悪用する人は非常に多いから気を付けねば。だから俺の兄貴はロシアでそういう研究しているし、欧米の実態を暴いて勉強している事は非常に大事な事だと俺は思っているかな。」


 本当、耕哉君は直ぐに私と話しながらも水鶏奈くいなちゃんの事ばかり見ている。

 でも、そういう耕哉君も私は好きだし、水鶏奈くいなちゃんも好きだから守ってやりたいんだな。


 だから耕哉君に…、


「ふふっ。相変わらず、耕哉君は面白いね。でも、水鶏奈くいなちゃんの身体を触ると非常に愛情や友情が宿っていて非常に安定した感情があるからこそ、私は嬉しかったよ。」


「あぁ、その通りだ。優真ゆま。俺も彼女くいなの身体に愛情や友情が宿っている上、お前ならあいつくいなの事を安心して話せるからな。俺はあいつを安心して過ごせる環境を整え、話せる環境も作りたい。だから俺は水鶏奈くいなを守るし、奴隷だけには絶対、したくないと誓ったんだ。」


「耕哉君。そうやって思っていると、実は水鶏奈くいなちゃんが本当は好きなんでしょ。」


「うぅ…。ばれたか。でも、優真ゆまは凄いな。」


「へへへっ。私からすれば水鶏奈くいなちゃんも耕哉君の思う事は分かるもん。」


 あの2人を見ると、耕哉君が水鶏奈くいなちゃんの事を非常に好きだと感じるのは、彼の顔を見れば一目瞭然だ。

 だから、耕哉君の顔を見れば彼が如何に雰囲気や波動などが分かり、彼の人の良さが通じてくる。

 彼や彼の兄が救った人間が沢山いるのは、耕哉君の顔を見れば当然だよ。

 だから私は、耕哉君と共に彼女を救い出したいと思った。

*************

 俺も水鶏奈くいな優真ゆまが非常に大事な存在だと思っている。

 勿論、情報戦があるからこそ情報を非常に大事にしながら、水鶏奈くいなを守りたい。

 世の中で非常に大事なの物は金でなく情報だから…、

 時間と情報を軽んずる人は目先の金に囚われる他、質素倹約等をやたら美談にしたがる。

 しかし、質素倹約を美徳にすると従業員の給料が下がるから、逆にブラック企業と非常に親和性が高い事から、非常に警戒しようと感じた。


「で、優真。水鶏奈くいなの身体で膝枕してる時、俺はあいつの事が非常に恋しくなるんだ。」


「そうなの?でも、耕哉君が水鶏奈くいなちゃんの身体を大事したい思いがあるからこそ、水鶏奈くいなちゃんの身体は頭部がなくても愛情が宿り、喜んでいると私は感じるよ。」


「あぁ、そうだな。俺はあいつの頭を救えなかった。だからこそ、身体は大事にしたいんだ。」


 俺は彼女の声が凄く嬉しいと感じ、優真の喜びは水鶏奈くいなにとっても非常に大事な事だと思うと俺は非常に泣きたくなる程、悔しく反面、彼女が無事だけで嬉しかった。

 彼女の身体が生きたい気持ちがあるからこそ、本当に生きたい気持ちが伝わり、生命がしっかりと宿るのは至極当然だと感じた。

 彼女が生きたい気持ちがあるからこそ、これ当然なのだと思うと俺は凄く嬉しかった。

 しかし、首がない分、彼女は直接は喋れないので俺は寂しくもあった。


 すると…、優真ゆまが…、


「ねぇ。耕哉君。私にも水鶏奈くいなちゃんの声が聞こえたよ。」


「あぁ、そうだな。どうやら彼女の身体を大事にすると声が聞こえるし、大事に出来る環境があると思うな。」


「そうか。でもそれは本当に良い事だな。」


「ふふっ。本当に私と耕哉君は水鶏奈くいなちゃんの声が聞こえて良いね。そして、頭が失われても水鶏奈くいなちゃんの身体は相変わらず柔らかいし、ふかふかして凄く嫌される。」


 俺は彼女が凄く嬉しい顔で安心出来るなら、彼女も胴体少女になったとしても良い生き方が出来ると感じた。

 それ以上に優真ゆまの生命力の強さは俺以上の強さを持っているから、俺は彼女の生命力の強さはあながち、間違いじゃないと感じた。


「優真。お前は本当に女の子が好きなんだな。」


「うん、私は外見が筋肉質でも中身が女々しい男は嫌いなんだよ。」


「どういう事だ。優真ゆま。」


「私はね。マッチョな人間は身体を鍛えても精神が強くない人が意外と多い事を知っている。何故なら、男らしさに異様に拘るあまり、メンタル面で非常に脆い男が多いから。」


「へぇ~。そうなんだ。」


「でも、耕哉君は違う。外見とは裏腹に凄く情報を大事にして、弱みと強みを上手く利用している。そして、人間を強くさせるのは情報戦だと理解しているのがメンタル面で強い男だと思うよ。」


「あぁ、そうだよ。俺も兄貴も正々堂々と戦うのは嫌いなんだ。けど、情報を上手く利用すれば相手の弱点を追い込める方法はいくらでもあると俺は思うよ。人間は強かであれと。」


「うん、ありがとう。耕哉君。でも、水鶏奈くいなちゃんにも感謝したいな。てへっ。」


 彼女が如何に水鶏奈くいなの身体を大事にしたいのか良く解る。

 何故なら、優真ゆまは女性同士の愛情は凄く優しくて守りたいものがある事だとよく理解していると感じた。


 俺は、友情や愛情は、外見や時間にだらしない人には非常に通用しないツールだと思うと非常に納得できる内容で少し安心した。

 だからこそ、俺は彼女を守る為に様々な考えが必要だと感じた。

 同時に波動が高い人じゃないと首のない水鶏奈くいなの声を聞こえる事が出来ないとも感じた。

 波動が高いからこそ、俺と優真ゆまには首がなくて喋れない水鶏奈くいなの声が聞こえたと感じた。

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