第16話 幸せな胴体。

 私はこれから耕哉こうや君と水鶏奈くいなちゃんの胴体と共に学校の屋上で休んだ。


耕哉こうや君。私はここにいて大丈夫なの?」


「あぁ、大丈夫だとも。寧ろ俺達が居るからこそ、この場が大丈夫だと感じている。」


 耕哉こうや君がこんなにシリアスできつい目付きをしているのは何かあるんだな。

 確かに、彼は水鶏奈くいなちゃんを守ろうとしたい思いを感じると私にはとても驚くばかりで嬉しいな。


 否、私もこればかりは他人毎じゃないから…。


 私だって、万が一事故が起きれば胴体少女になる可能性があるから、水鶏奈くいなちゃんを事を笑ってはいられないと感じた。

 同時に水鶏奈くいなちゃんを魔の手から守る事が私にも大事だと感じた。


耕哉こうや君。」


優真ゆま。お前は凄く水鶏奈くいなを守ろうとする目をしている。凄く良い目だ。」


「うん、私も水鶏奈くいなちゃんの胴体を守りたい気持ちが出てきたの。人間は愛情によって成長する事をどこかの時事ブログを読んで分かっているから余計にそう感じちゃうな。」


「そうか。でも、その時事ブログを読んでアンタは凄く成長する事は非常に大きい事だと俺は思うぞ。」


「うん。それで凄く成長しているからこそ、私も大丈夫だから耕哉こうや君も無理しないでね。」


「そうだな。優真ゆま。ありがとう。」


 私は、耕哉こうや君が水鶏奈くいなちゃんの身体を守ろうとする意気込みや不幸にさせたくない思いを読み取った所為か、身体の波動が次第に高くなっている事を少しずつ感じた。


「で、水鶏奈くいなちゃん。」


「ゆっ…、優真ゆま…。」


 水鶏奈くいなちゃんが無事でいて欲しい気持ちから少し水鶏奈くいなちゃんの身体を触りながら、感触を確かめた。


 すると…、


優真ゆま水鶏奈くいなが嫌がっているからそんな事はやめるんだ。」


「えぇ~。そんな事ってどういう事なの~。」


 私は水鶏奈くいなちゃんの身体の感触を確かめながらも耕哉こうや君の反論に批判した。


 しかし、その耕哉こうや君も水鶏奈くいなちゃんの手話を見て豹変する。


 一気に真剣な顔つきに変化して…、


「ほほう。なる程。水鶏奈くいな優真ゆまに身体を撫でられて凄く嬉しいんだといっている。」


水鶏奈くいなちゃん。あんたの身体は凄く暖かいよ。」


 水鶏奈くいなちゃんは確かに喋る事が出来ないのは知っている。

 けど、彼女の身体は暖かいし、凄く嬉しい声がして安心する…。


 私は耕哉こうや君が水鶏奈くいなちゃんの身体を触っている様子を見て落ち着きと安らぎを取り戻し、彼女が非常に喜んでいる感触を得ている。


 彼女の臓器の音や鼓動、そして肌の呼吸を耕哉君以上に感じる私はそれだけで凄く安定してくる。

 まるで彼女の胴体が死を失ったのと同じような感触を考えると非常に良いと感じた。


水鶏奈くいな。お前が優真ゆまを気に入っているのは本当だったみたいだな。」


 おぉ、手話で反応している。


 耕哉こうや君と水鶏奈くいなちゃんが話し合っているけど水鶏奈くいなちゃんが喋れないからこそ、逆に彼女の身体はある程度、波動で確める事で理解できる。


 確かに女の子は胴体少女になると頭がなくても非常に生きている事に非常に有意義さと安定感を感じた。


 だから私が…、出来る事を…、耕哉君に…、


「もう、耕哉こうや君も私と同じく素直に水鶏奈くいなちゃんが好きだといっちゃえば良いかと思うよ。」


「うるせ~。優真ゆまは本当にちょっかいが好きなのに凄く俺や水鶏奈くいなを気に入っているな。」


「そうだね。私も水鶏奈くいなちゃんや耕哉こうや君の事は恋人じゃないけど、家族みたいで好きだよ。」


優真ゆま…。」


 私は両親や妹がいるけど、妹の方が何か優秀で私は理数系や電子構文作成は得意だけど、妹の方が体力や医学の面で優れているせいで母親や妹に比較されて凄く居心地悪かった。


 居心地は悪く家には居たくないけど、そういった風俗嬢で働きたいとは思っていない。

 寧ろ、耕哉こうや君と会ってからプログラムの授業で互いに上手くなっているから耕哉こうや君の家に時々、お邪魔して彼の母さんに授業を教わっている。


 だから耕哉こうや君は命の恩人であり、私にとっては非常に大事な人なんだと感じた。

 同時に水鶏奈くいなちゃんも非常に優れた女の子で彼女の顔は優れていて優しかった。

 それで、彼女は芯が強いせいか、何がいけないかなどを学んでいた。

 だから、私は水鶏奈くいなちゃんの家にもおじゃまして彼女の弟君と遊んで非常に嬉しかった。


 けど、水鶏奈くいなちゃんの頭部を失ってから彼女は、始めは逆に可哀そうだったが、逆に私も又、耕哉君と同じく水鶏奈くいなちゃんを守りたいと感じた。


 自分の家族の代わりに接してくれた水鶏奈くいなちゃんと耕哉こうや君に…、


 そう感じると、水鶏奈くいなちゃんの身体を触って凄く愛情と友情を感じ取る事が出来た。


 それは水鶏奈くいなちゃんにとっても非常に愛情が溜まり、彼女が首を失ってもずっと過ごせる状況だと感じ、私はそれを知って、非常に喜んだ。


 だからこそ…、


 その、だからこそ…、


 私は耕哉こうや君や水鶏奈くいなちゃんを守ろうと思いたいし、2人の愛情を私にも分配して欲しいと感じた。


耕哉こうや君。水鶏奈くいなちゃん。」


優真ゆま。」


「アンタ達のお陰で私は助かったからありがとう。」


 私は彼らに感謝し、今の幸せは彼らがいたからこそ、水鶏奈くいなちゃんの胴体に恩返ししようと感じた。


 私が出来る事は私がやって水鶏奈くいなちゃんを救わなくては…、

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