第6話 新キャラ登場だにゃ!

 前回のお話:記憶にございません。(更新が一か月以上前)


 それはそうと山の麓の森までやって来たんだぜ!今回から聖騎士さまが仲間になったぜ(?)!


 聖騎士さまがどれぐらい強いかって言うと、出会ったら全力で逃げるレベルだぜ!(リンネちゃん曰く)


 そんな頼もしい味方ができたんだけども……。


「……確か、この辺りのはずだ「にゃん」。」


 なんかかわいいキャラ付いちゃってるんですよね~(白い目)。


「……何だ?言いたいことがあるなら言えばいい。」


「えっ!?いやいやいやそんなぁ!語尾に「にゃん」とか付けちゃって萌え萌えだにゃん♪なんて思ってないっスよマジで!」


「…………(ビュオオオオオッ!!)。」


 ズガガガガガガガガガガガガガッッ!!


「あひゃぁぁひぃぃぃぃぃぃィぃん↑↑↑!!」


 やっべぇ!!ちょっと本音を言っただけでエ○リウム光線みたいな一撃が、目の前で地面を抉りながら通過していったよ!!あの人大剣しか持ってないはずなのに!!


 あー、よかった。主人公補正持ってなかったら、今頃パンツ正面がビショビショだったじぇ……。(なお尻餅はついた模様)


「くだらないことを言っている暇があるなら貴様も探せ「にゃん」!さっさとこのふざけた呪いを解けさせる「にゃん」!」


 屈強な聖騎士さまは、どうやら戦闘以外の攻撃には耐性が無いようだ。特に精神攻撃にはとことん弱いらしい。どれだけ呟いても「にゃん」に慣れるのは難しそうだ。


「それで、その魔術師ってどんな奴なんです?」


「ん?あぁ、そういえば奴は随分奇抜な格好をしていた「にゃん」。歳は私と変わらないぐらいだったが、なんというかこう……物々しいというか……。」


「んー……全然わっかんないっスね。」


 聖騎士さまにとっては通りすがりのモブキャラだったらしく、手掛かりはゼロ。


 話の流れ的にはこのまま見つからないで終了ってのも全然あり得るんだけど……。


「奇抜な格好……例えばどんな感じですか?」


「例えば?あれを何かに例えろと言うか「にゃん」?」


 え?そんな無理言うなよ……みたいな表情します?そんなに奇天烈な格好してんの?


「そうだな……一つ言えるのは、こう……ひらひらしていた「にゃん」。」


「ひらひらしていた?」


「それで全身が真っ黒だった「にゃん」。」


「ほうほう。」


「それで……そうだ、見慣れない着物だったな。厚みのある洋服だが、珍しい生地を使っているみたいだ「にゃん」。」


「なるほど。聖騎士さまの「にゃん」のせいで全然頭に入ってこないっすね。」


 ヒュオッ……ズアアアアアアアアアアッッ!!


「いひいひいひひああああはああああん↑↑!!」


 目の前を!凄い風圧と一緒に音が!通り過ぎた後に地面がズガガガガって!!


「貴様は……人が真剣に話している時に……ッ!!」


「いやだって!!見た目クールな格好いい系の人が語尾に「にゃん」って!無理やりメイド喫茶やらされてる感ハンパないし!!」


 これを笑っちゃダメとか言われたら何回ケツシバかれるかわかんないっすよ!?


【ぶにゃああああああああああっっ!!】


「ひいっ!!聖騎士さまぶたないで!!」


「私じゃない「にゃん」!!なんの悲鳴だ「にゃん」!?」


「さっき聖騎士さまが斬撃ぶっ放した方向からですよ!ほら二次被害出しちゃってる!!」


「いや待て!私のせいじゃない「にゃん」!お前がおちょくるから「にゃん」!!」


 明らかにやらかしちゃった感じを二人でなすり付け合う。いやだって俺悪くねぇし!!


「そ……それによく考えろ!こんな場所に一般人などいるはずもない「にゃん」。私の探しているやつやもしれん「にゃん」。」


「えー……聖騎士さま、間違って一般人を切り刻んじゃう案件じゃないんですかー?」


「……なんでお前は不満そうなんだ「にゃん」。」


 とりあえずワンチャン犯罪者は免れられそうなので、悲鳴のする方向へ行ってみる。


 しばらくして、あのえげつない斬撃が何かに阻まれているのが見えた。


「あれは……私の一撃を受け止めている!?「にゃん」」


「……なんか段々ウザくなってきたから早くその語尾何とかして欲しい。」


 しまるにしまらないシリアスな場面だが、近づくにつれ状況がはっきりして来る。


 どうやら、受け止めているのは女の子のようだ。


「うおおおおおお死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!なんだこの一撃全然勢い死なないにゃ!!お昼寝してたらいきなりぶった切られそうになるとか勘弁にゃ!?」


 めっちゃ文句言いながら斬撃を白羽どりしてる彼女の、その恰好に衝撃を受けた。


 ネコミミ!ゴスロリ!ミニスカニーソ!怯えるほどに世界観とミスマッチ!!


「……聖騎士さん、探し物見つかりました?」


「あぁあいつだ「にゃん」!あいつが私に変な呪いをかけたんだ「にゃん」!」


 確かにこりゃ奇天烈な格好だわ。可愛いんだけど、なにがどうしてそうなった。


「あ!お前はさっきの聖騎士!これお前だにゃ!?見てないで助けるにゃ!」


「黙れ貴様!ふざけた呪いをかけおって「にゃん」!そのままミンチなるがいい「にゃん」!!」


「私が死んだらお前の呪いは一生治らないにゃん!」


「【壊斬撃】ィィィィィィィ!!」


 威勢のいい気合と共に振り下ろされた一撃が、ネコミミ少女を襲っていた斬撃を跡型も無く消し飛ばす。


 ついでに、ネコミミ少女も数メートルほどぶっ飛ばした。


「にゃあああああああああっっ!!」


 青空に響き渡る悲鳴と共に、真後ろに吹き飛んだネコミミ少女は巨岩に背中を打ち付け、ぐええっ!と断末魔を上げる。


 その頭の真横に、ぶん投げられた一太刀が岩をガスン!と貫通して、聖騎士さまに足蹴にされながら少女は重厚な鎧を見上げた。


「さぁ……さっさと呪いを解除して死ね「にゃん」……!!」


「まままままま待つにゃ!この角度からだとパンツ見えちゃうにゃ!女騎士の汗くさい無地パンツなんて誰も見たくないにゃ!」


「んなぁっ!?きっ……貴様ァッ!!」


 巨岩から剣を引き抜いた聖騎士さまが、ネコミミ頭目がけて大きく振りかぶった。


「ああああっステイ!ステイっ!呪い解除するから!わりと魔元帥でもどうにもならないぐらいのえげつない呪いだけど頑張って解除するから!!」


「なんでこんなくっだらねぇ呪いが意味不明に強えんだよ!?バカか!?」


「うるさーーーぃ!!バカって言った方がバカなんだにゃ!!」


「いいからさっさと呪いを解け「にゃん」!!!」



ーーーーーー2時間かかったーーーーーーー


「はぁ……はぁ……やっと解けたにゃ。我ながら馬鹿みたいに面倒な呪い作ったにゃ……。」


 ゴスロリ服が汗でびっしょびしょのピッチピチなんですけど。


「も……もう大丈夫か?本当に大丈夫か?」


「大丈夫にゃ。ちゃんと治ってるにゃ。」


 あんなにえげつない強さ持ってるのに語尾を気にしてそわそわしちゃう聖騎士ちゃんかわいい。


「……で、お前は何の呪いに掛かってるんだ?」


「あ、わかるかにゃ?これが呪いだって。」


 そりゃまあ絶対キャラ付けのためでしょうし、そういう設定でしょうからねぇ。


 じゃなきゃゴスロリでネコミミでにゃんにゃん♪なんてwwwwwラノベじゃないんだからwwwwww。


「それが呪いなら貴様、自分で解除すればいいではないか。」


「あ、それもそうか。」


 リンネちゃんから聞いた魔元帥とかいう聖騎士さまに並ぶやべーやつクラスでも解呪がしんどいやつを解呪できるなら、相当な手練れでは?


 一般的な魔法使いさん見てないから知らないけど。


「いや、それが出来れば苦労しないにゃ。」


「できないんだ……。」


「できないんだにゃ……。」


 あ、ネコミミがしゅん、ってなった。ちょっとかわいい。


「で、呪いの内容は?……まさか私にふっかけたものと同じではあるまい。」


 聖騎士さまが尋ねると、ネコミミ彼女の瞳が遠くを見つめて虚ろになった。


「え……そんなやべーやつ?」


「やべーやつ、だにゃ……ちなみにこの呪いは私が6歳の頃からかけられてるって前提で聞いて欲しいにゃ。」


「6歳……から?」


「ずっとその恰好なのか……。」


 凄いぞ。無敵の聖騎士さまの顔色がどんどん薄白くなっていく。


「で、呪いとは?」


「「30歳を過ぎるまでネコミミゴスロリミニスカニーソで語尾に「にゃ」をつけて過ごさないと一生独身喪女になる」呪いにゃ……。」


「うわ…………。」


 重てぇ…………。


「お前まさか……その語尾を自発的に……。」


「そうにゃ。お前みたいに強制的に言わせるやつじゃにゃいから、油断すると一生独り身のまま人生終了にゃ。」


 何かを察したらしい聖騎士さまが、過酷すぎる呪いの内容にタジタジである。


「それだけじゃないにゃ。30歳なんて行き遅れにゃ。結婚適齢期を過ぎたババアなんぞ誰もめとってくれないにゃ。ただでさえきついのにそこにネコミミゴスロリミニスカニーソおばさんだにゃ。どこの変態に嫁げばいいにゃ?終わりだにゃ。何もかもが終わりだにゃ。」


「ちなみに今は?」


「26だにゃ。」


「それは……今でもかなりギリギリだな……。」


 ※あくまで聖騎士さまの個人的な意見です。


「知ってるにゃ。ここからあと4年にゃ。どうだにゃ?絶望したかにゃ?世界は広いにゃ。力だけではどうにもならないことがたくさんあるにゃ。」


 耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、たどり着いた30歳喪女。ついたあだ名はネコミミゴスロリミニスカニーソおばさん。


い や 、 死 に ま す ぅ !!


「だから復讐だにゃ。残りはこのクソみたいな呪いをかけたクソ姉貴をぶち殺すための時間だにゃ。魔元帥なんて目じゃないにゃ。必ず、必ず奪ってやるにゃ。あいつの幸せを……ネコミミゴスロリミニスカニーソおばさんの変態お姉さんというレッテルを貼り付けて、地獄を見せてやるにゃあ……。」


 真っ黒で、どす黒い、ただ誰もが仕方ないと同情するその憎しみを、俺と聖騎士さまは黙って見守る事しかできなかった。


「……で、実の姉に復讐したい貴様は、なぜこんな所に。」


「道に迷ったにゃ。」


「思ったよりもくっだらねぇ!!」


「……私に呪いをかけた理由は?」


「ぶっちゃけ腹いせにゃ。」


 こいつ本当にいい性格してんな!!


「殺す……。」


「待って!剣を構えないで聖騎士さま!!」


 もうエメ○ウム光線は嫌なのおおおおおおおおお!


「はっはっは!そんなナマクラで私は斬れないにゃ!!やれるもんならやってみろにゃ!!」


「あんたさっき死ぬ死ぬとか言ってませんでした!?」


 お願いだから刺激しないでぇん!?


「死ね!【壊斬撃】!!」


「ああああああ本当に撃ってくるバカがいるかにゃああああああああ!!」


「バカはお前だにゃあああああああああん!!」


 聖騎士さまの殺意の籠った一撃に、何故か俺も一緒に追われたのでした。


 はい、この回終わり。

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ピコピコハンマーで異世界ヒロインは救えますか!? 喘息患者 @zensoku01

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