第3話 サブタイ考えるの疲れた
やぁみんな!ぼくはリーフ!この物語の主人公だよ!
長い事更新してなかったせいで、僕がどんなやつなのかも忘れちゃってると思うけど、今日も元気に主人公するよ!
でね!今僕はどうしてるかと言うとね!
ガ チ ム チ の お っ さ ん に 床 舐 め さ せ ら れ て ま す 。
「ヘェイボーイ、オアソビハオシマイデスカ?」
はい、おしまいです。床って言うか、農地にプリケツで埋められてたらもうダメです。口の中がじゃりじゃりして気持ち悪いんで、そろそろ開放してもらえないでしょうかお兄様。
「サァ、ムカエニイクヨ。ガロンチャ~ン(はぁと)。」
ガチムチ♂兄貴の甘い声が離れていく。パツパツに張ったトランクスに黒光りしたムキムキマッチョな兄貴♂が女の子走りで妹に迫る様はあまりにもキモい。
(はぁ……だっせぇな俺。)
主人公とか息巻いておきながら初期モブにワンパンとか……ダサすぎて起き上がることもできねぇ。
っていうか関節極められたせいで起き上がれないんですけどね。大事な左腕の間隔がないんですけど。
(ちくしょう……これがあれば無敵じゃなかったのかよ……。)
右手に握り締めた、俺に秘められた大きな力。そいつは虚しくも、ツッコミ満載な打撃音を響かせて地に伏した。
そいつの名はピコピコハンマー。俺の先制打にして唯一となった一撃を与えたもうた、転生者によくあるチートなはずの特典武器。
正直役に立ちそうになかったので今まで使わなかったが、こういう時に使うもんだろ!!と勢いつけてぶっ放したが、やっぱり使えなかった。ガチでただのピコハンだコレ。なんにも凄い能力とかついてない。
「ダメだ……異世界転生なんてクソくらえだ……。」
やさぐれパンダなズタボロの俺に、ゲームオーバーなBGMが響く。
と、その時だった。
「きゃああああああああああああああっ!!!」
悲鳴。言わずもがな悲鳴が聞こえた。間違いなくガロン姫のものだ。(確信)
ちくしょう……あのガチムチ♂もう手を出したのか……。そうしていやらしい妄想を頭の中で展開し始めた直後に、
「オォォォウ↑マァァイ↓ガァァァッッ↑!!」
なぜかガチムチ♂兄貴までもが悲鳴を上げる。
異変に反応して振り返れば、ガロン姫は再び眩い光に包まれ、そして光と共に元来た方角へと飛び去って行く。
そして、気を付けのままぶっ倒れたかのような美しい姿勢で、血だるまになってびくともしないガチムチ♂兄貴の姿があった。
「と……突然の死……。」
ガチムチ♂兄貴が、まるでサスペンス劇場並みの唐突な死を遂げた。展開が早すぎてもうついていけない。
関節を極められ、お姫様には飛び立たれ、負けた敵は何故か死ぬ。これ以上、何が起きたら話が進むのかわからない展開になった。
俺は……この先どうなってしまうんだ……。
「まったく、だらしないねぇ。」
その時、俺の耳にとてつもなく頼りになりそうな姉御っぽい感じの声が響いた。その声の主に首根っこを掴まれ、思いっきり引き上げられる。
「それでもこの村を救った若者かい?あたしがあと80年若けりゃ惚れこんでた坊主かい?ほら、立った立った。」
腰をバシバシと叩かれ、畑に足をぶっ刺され無理やり立たせられる。なんとも乱暴な励まし方だが、声がついて行きます姉御!!なのでオッケーです(歓喜)。
「……ってか、え?誰?」
速攻でガチムチ兄貴♂がフェードアウトしたかと思いきや、今度は真っ赤でサラサラなツインテールの姉御な美人が、これまた唐突に現れる。しかも彼女は、俺のことをよく知っているときた。どうなってんだこの世界は。
「誰って……ひどいねぇ。腰が悪いアタシの代わりに、何度も肥やしを担いでくれたってのに。あの優しさも、あの筋肉野郎に折られちまったかい?」
腰が悪い?いやいやそんな艶やかにくびれた腰が悪いわけないでしょうよ。と思いかけたところで、俺はある重要な事に気づく。
この場にいたはずの、もう一人が見当たらない。ここまでの登場人物で、一人行方がわからなくなっている。
「お?ようやく気付いたかい?リーフしゃん?」
俺はその言葉に、愕然として腹の底から叫んだ。
「リンネばあああああさああああああああああああああああああん!!?」
そんな俺を、この村の良き話し相手な美少女(104歳)は、にしし、と悪戯っぽく笑って見せたのだった。
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