第2話 フツメンヤリチンとの出会い

「お兄ちゃん。そんなにじっと見ないでよ。」


PC画面に映る美少女を俺は舐めるように見る。薄暗い部屋でブルーライトに照らされる俺はさぞかし不気味だろう。

「ああん、そんなとこ触らないでよ」

やっぱり女は二次元に限る。特にクリスマスイブはな。

今日はクリスマスイブ。時間は八時。今頃、盛りのついたカップルがラブホに来店している頃だろう。

 しかし、三次元は俺には関係ない。二次元さえあれば十分だ。俺は彼女たちと神聖なイブを過ごすのだ。

 クリスマスイベントを今日に合わせたのはこれから目の前のマリアたんと聖夜を祝うためだ。

 ふと、頭をよぎった。しまった、失敗した。俺としたことがチキンとケーキを買い忘れた。


慌ててスウェットにダウンを着込んで近くのコンビニに行く。コンビニで骨付きチキンとショートケーキを買って彼女(二次元)とお祝いだ。会計を済ませて家路を急ぐ。帰る途中にお城のようなお洒落なラブホがある。

きっとこの中ではカップルがパコって……。愛し合っているんだろうな、羨まし……。じゃなかったどうでもいい。中に二人組のカップルが入ろうとしていた。二人でここにするか決めかねているようだった。女子は金髪ギャルだが、スタイルが良くて、顔も健康的な日焼けの美人だ。しかし男はどこにでもいる普通の男。いわゆるフツメンだ。

いや、彼には見覚えがある。うちの学校の生徒だ。一つ上の上級生三年の先輩だ。なんでこんな不釣り合いなカップルがセックスするんだ?

 二人はラブホに消えていった。


家に帰る途中も二人の事が頭から離れなかった。あの先輩の顔と名前を知っていた。三年の小山先輩だ。進学校であるうちの高校で常にベスト五に入っていた。

 だから、勉強大好き、がり勉タイプと思っていた。しかし、あんなに可愛い彼女がいるなんて。

 衝撃的だった。美人とフツメンはよくあるが、あの先輩に関しては学年常位ランカーというイメージしかない。

 きっとあの後、大きなベットでセクロスするんだろうな。その光景が頭から離れなかった。

さっきの幸せそうな二人は童貞には刺激が強すぎた。


家に帰って、PCの前にチキンとケーキをセットしてマリアたんを前にしてもテンションは一向に上がらなかった。

「(いまごろ、キスしているんだろうか)」

「(きっとセクロスしてるんだろうな。)」

羨ましい。

 PCモニターのマリアたんは可愛かったが恥ずかしがり屋の彼女はモニターからは出てきてくれない。

 その時本当の自分の気持ちに気が付いた。


「彼女が欲しい。セクロス……。愛し合いたい。」


鏡で自分の顔を見る、イケメンではないな。でも、キモオタでもない。フツメンだ。背も低くはない一七五、体系は細め。可愛いかは別として彼女を作れないのはどうしてだろうか。鏡に問いかけても鏡は答えてくれない。そこには、凡庸な自分の顔が映るだけだった。


ギャルゲーでは、もはや我慢できなくなっていた。どうしたら、彼女が出来るんだろう。彼女いない歴一六年の童貞がベットに仰向けになりながら考えた。


天井にはJKハーレムというギャルゲーのポスターが貼ってあった。


そのポスターを見て、今までにない虚しさを覚えた。


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