ブウォシチェイェフキ日誌(2月12日)

◯帰国の途につく

 朝食を取り終えて、0930の出発の時間まで帰りの荷造りをする。ルームメイトのセルビア人は朝に弱く前々から時間ギリギリであったが、今日はとうとう0930の集合時間に間に合わなかった。送迎用のワゴンが正門から宿舎に行ってセルビア人を収容してから空港へ向かった。

 若いインストラクターも同行するが彼は電車で帰るとのことで、空港で別れを告げた。訓練生たちは自分たちが搭乗する航空機が来るまでカフェで待つことにした。ルームメイトのイギリス人、セルビア人のほかにフィンランド人、ポルトガル人と私の5人で待つことに。ポルトガル人はルクセンブルクに帰化しているらしく、ルクセンブルクは子供の医療費とか教育費掛からないなどのメリットを教えてもらい、続けて「お前は次のコースを受けるのか?」と聞かれた。「受けたいとは思っているけど…日本の古い価値観でね、働くことは正義で休暇は悪なんだ。だから休暇を取ることが難しい」と答える。するとルームメイトのイギリス人が「働くことが誇りなんだよな」とオブラートに包むようなフォローしてくれた。このイギリス人は本当に博識だ。フィンランド人と言語の話をしていた時、「フィンランド語はめんどくさい。ヘリコプターはヘリコプテルとかわざわざ言い換えるのが多い」とフィンランド人が嘆いていると「そういえば、日本語ってそのままだよな。コカ・コーラとかそのまま通じるし、ヘリコプターもヘリコプター?」とイギリス人に話を振られたので「そう。ヘリコプターはヘリコプター。海外から入ってきた新しいガジェットとかはそのままだよ」と回答した。

 フィンランドでは高齢の大統領に子供が出来たことが物議を醸しているらしい。それで、フィンランドの結婚出産事情の話になった。フィンランド人に妹がいるらしく妹は20歳で結婚し、23歳ぐらいで出産したらしく、このぐらいの年齢がフィンランドでは普通らしい。日本じゃその年齢で結婚出産したらお金なくて貧困生活だろうなと思った。


◯吉田沙保里

 そうこうしているうちに、イギリス人、フィンランド人、ポルトガル人は航空機の搭乗時間になった。私とセルビア人は同じ便だったらしく、せっかくなので昼食を取ることにした。空港内のイタリアンレストランへ向かう。セルビア人はピザが好きらしく、ここでもピザを頼んでいた。前に夕食後に郊外に出てピザを食べに行かないかと誘われたこともあった。「日本にもピザはあるかい?」と聞かれたので「あるよ。パンケーキみたいに分厚い奴もあるよ」と答えると、ああ見たことあるわとセルビア人は返した。

 セルビア人から色々質問されたが、その中で「そういえば、名前が出てこない…レスリングの…」というものがあった。セルビアだったらレスリングは有名だろうなと思いながら「吉田沙保里?」と答えると「そうだ、彼女は偉大だ。オリンピックも4回出ている。彼女は日本でも有名か?」とさらに質問された。「有名だよ。最強の女性として有名だ。それから叙勲も受けている」と返した。

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