ブウォシチェイェフキ日誌(2月7日)
〇お前はジャパニーズアーミーか?
タクティカルピストルコース二日目、昨日の復習も踏まえて同じ射撃内容を実施。復習が終わると休憩になった。同じく休憩時間になっていたレバノン人から「お前はジャパニーズアーミーか?」と聞かれる。「いや、民間人だよ」と答える。ジャパニーズアーミーと聞かれるような恰好をしていたので仕方がない。斧を咥えた犬のマークでおなじみの某所のキャップ、アイ・プロテクションはスミス・オプティクスのイージス、グローブはオークリーのファイアーレジスタント、服は官品同等品の迷彩服2型という出で立ちであったからだ。
化成繊維だと薬莢が当たった時に溶ける可能性があり、難燃素材を意識したので自然とこのようなチョイスになった。白状してしまうと、汚れてもいい頑丈な服はこういうのしか持ってなかったからだ。
〇日本で買えるのか?
前述したが、訓練を行っているシューティングレンジにはキッチンが完備されている。愛飲してるブラックライフルコーヒーカンパニー(以下BRCC)のフリーダムフューエルブレンドと当時リリースされたばかりのBRCCロゴ入りトラベルプレスでコーヒーを淹れてチビチビと飲んでいると、若いインストラクターが「おお、ブラックライフルコーヒー。それ、日本で買えるのか?」と、語尾に(迫真)が付きそうな勢いで聞いてきた。「ああ、買えるよ」と伝えると「マジか、ヨーロッパではイギリスに行かないと買えない。家にいくつかストックしている」とブラックライフルコーヒーのヨーロッパでの流通事情を聴くことができた。
〇空港は?
ニュージーランド人から「空港どこから来た?」と聞かれたので、「フランクフルト経由でここに来た」と伝えると「ニュージーランドから羽田、羽田から成田へバスで移動してそこからフランクフルト――」とすごい早口で捲くし立てられた。どうやら、羽田と成田の移動が面倒だと伝えたかったのだろう。英語の聞き取りが出来なくて本当にすみません。
〇おお、トヨタ
エアガンのみであったが、国内でちゃんとしたタクティカルトレーニングで訓練をしてきたお陰で、弾は明後日のところへ行くことはなくターゲットに吸い込まれていく。射撃が終わってターゲットの状況を見に行くとしっかりと的内に収まっている。インストラクターがチェックし「おお、トヨタ」と一言。なるほど、クオリティを表す言葉かと腑に落ちる。しかし、日本の製造業に身を置いている人間としては「――その品質は、きっとサビ残で出来ていた」などと思考を巡らし――途中でやめた。
〇外した数だけ
プレシジョンシューティングということで、大体20メートルぐらいのところから、マンターゲットのヘッドショットをする。頭の大きさは大体直径15センチメートルぐらいで5発撃ち込む。私は一発外してしまった。マンターゲットの頭頂部すれすれで一発外した。今までは難なく当てていたのにプレッシャーが掛かっていたのかもしれない。訓練生全員で27発外していた。カウントが終わるとインストラクターが「諸君、腕立て伏せの姿勢を取れ」と叫ぶ。外した分だけ腕立て伏せを行う。キャリステニクス(自重トレーニング)を積み重ねていたので、ゆっくりやる分には問題はなかったが、早くやるのが厳しかった。
〇マルファンクション
そつなく訓練をこなしていたら、使っていたグロック19が不発。おろおろしてインストラクターの方を向いて助けを求める視線を送る。近寄ってきたインストラクターは「タップ、ラック、バンだ。やれ」という。タップ(弾倉の底をたたく)、ラック(スライドを引いて不発の弾を排莢)、バン(撃つ)をする。タップ、ラックまで進んで撃とうとするが、脳裏によぎるのはダブルフィード(二重装填)で吹っ飛んだ手の写真。大丈夫大丈夫大丈夫と心の中で唱えながらトリガーを絞る。問題なく弾は出た。しかし、どこかで恐怖心が芽生えてしまい、トリガーコントロールが悪くなってガク引きとなり、しばらくは弾着が下気味になってしまった。
〇グロックは…
訓練が終わり、武器庫に保管する前に分解してクリーニングを実施する。すると、インストラクターがグロックの簡単な歴史と、ハンマーレスのストライカー方式がいかに安全かを説いた。「グロックは世界一安全な銃だ」と力説していた。不発起こしたけど、少しは信じてみようかと思う。
◯言ってること分かってる?
ルームメイトのセルビア人から、「英語分かってるの?それともみんなの動きを真似てるの?」と聞かれ、「半分」と回答。実際インストラクターは簡潔に短い英語で喋るので全く問題なかった。セルビア人からはあとで日本語教えてくれと言われる。イギリス人のほうは博識で色々なことを知っており、剣道もやったことあると言っていた。「知ってる日本語は…『お名前は?』」と言っていたので、「おお!コレクト。ホァッチュアネームイズ『お名前は?』」と返した。中国語は発音が多くてつらい、逆に日本語は少ないよね、など話した。
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