ブウォシチェイェフキ日誌(2月6日)
◯フート軍曹
訓練一日目、装備を付けてシューティングレンジへ。シューティングレンジは様々な距離のレンジがあり、それぞれの名前がモガディッシュ(ソマリア)やカブール(アフガニスタン)といったホットな地名が多く、攻めたネーミングであった。レクチャールーム、トイレ、キッチンも完備されており至れり尽くせりである。
実銃に触れる前にレクチャールームで座学である。セーフティルールの説明の際、ルールの一つである『トリガーから指を離しておくこと』を説明し始めたインストラクターが「お前らブラックホーク・ダウンを見たことあるか?」と話を切り出し「フート軍曹はこれが安全装置だといっていただろう」と言いだし、フート軍曹と同じ人差し指を軽く曲げる仕草を取った。この世界でも(?)映画ネタは鉄板であると思ったし、創作物というのは色々なことを伝えられるので重要だと思った。だからこそ、そういう描写において手を抜いてしまうのはよくないとも思った。
◯ドライファイア
座学が終了すると、インストラクターが持ってきていたコンテナを開ける。中にはグロック19が入っていた(数丁ほどグロック17もあった)。私が子供の頃はベレッタが持て囃されていたが、グリップが合わないのと天邪鬼な性格もあり、グロックが好きであった。子供の頃から好きだった拳銃を手に取れる日が来ようとは。
まずはドライファイアで銃の取り扱いの練習をする。弾を入れない状態でドロウ(拳銃入れから拳銃を抜く)やリロード(弾倉を込める)、コッキング(撃針を起こす)などの練習をすることだ。敵が左右に居た場合での、ドロウからのコッキングなども行った。「コンタクトレフト!」と叫んで左向け左を行いながらホルスターからドロウを行いコッキングをして敵に銃を向ける。トリガーを引き、周りを確認し、銃の状態を確認して、銃をホルスターに戻すなどの動作確認を行う。
レクチャールーム横の広い廊下で練習していたのだが、壁に掛けてある写真や楯が非常に気になって仕方がない。休憩時間に見ておこう。
◯楯とか
というわけで、休憩時間になったので楯を見に来た。軍隊では合同演習などで記念にチャレンジコインを渡したり、楯を渡したりという風習がある。つまり、この民間軍事会社がどのようなところと交友があるのかが分かるのである。まずはISAFの楯。どっかの駐屯地でも見た気がするが、日本の国旗も入ってる。ISAFって資金援助だけじゃなかったっけ?あまり考えないようにしよう。他にはウクライナ(字面が特殊部隊っぽいけど、読めない)、ドイツ(字面が特殊部隊っぽいけど、何処の部隊かは書いてない)、イタリア(カラビニエリ)、ポーランドなどのヨーロッパの国々の物が多かったが、変わったところではバングラデシュなどもあった。
◯実弾射撃
10年ぶりの実弾射撃である。前に撃ったときは、モンゴル軍が実施している射撃プログラムでAK47、ドラグノフ、スチェッキンを撃った。そのときは装填してもらって撃つだけであったが、今回はすべて自分で行う。スチェッキンを撃ったときは、ストック(銃床)を付けて撃っていたのでライフルと変わらない。今回、正真正銘のハンドガンを撃つことになる。エアガン感覚で撃ってしまってブローバックに驚いたが、力まない程度の力を入れて撃つ。普通に的に当たる。エアガンでもしっかりと構えを練習していれば実銃に変わったとしても当たるのだ。
射撃が始まったのが夕方からだったため、30発ぐらい撃ってその日の訓練は終了した。
◯他の訓練生
私が受講しているタクティカルピストルコースの他にも様々な訓練が行われている。民間軍事会社側が設けている訓練の他に、特定の国の軍や警察が依頼して別プログラムの訓練をしている事もある。今回はレバノンから20名ぐらいが来ていた。軍か警察かは分からない。
前述したが、朝・夕はカフェテリア方式になって取り放題になっている。訓練が終わり食堂に向かうとすでにレバノンの訓練生たちが陣取っており、さらに食事もほとんど残っていなかった。仕方なく残っていたパンの端切れや数枚のローストビーフを皿に取って一人で啄む(食べ過ぎて訓練に差し障りがでたら意味がない)。啄みながらレバノンの訓練生を見ていると、食堂でトランプを始めたり、iPhoneで音楽を聴きながらテーブルをドラム代わりにバンバン叩き始めたりフリーダムであった。まるで修学旅行生だなぁと思った。
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