第30話 侵略作戦の真実
【水の惑星・アーウォース】
淡い水色の長髪の少女・アマミノと親し気に会話をする綸先輩。2人はどうやら知り合いだったようで、第三期生たちは度肝を抜かれた。
そして、驚いた表情をしたまま玲一がその2人に質問する。
「ふ、2人はお知り合いだったのですか?」
すると、綸先輩とアマミノがキョトンとした顔をしてこちらを眺める。
「あー、これはミカから何も聞いてなかったパターンだな」
綸先輩は、一気に力が抜け、水中でだらりと垂れる。そして、顔をあげるとそのままアマミノにキスをした。
「ちょっ! 何するの!!?」
アマミノは慌てて綸先輩の肩を掴んで剥がす。再度、顔を赤らめて口元を手の甲で隠す。
剥がされた綸先輩はというと、なぜ?って顔をして首をかしげる。
「だってこういう関係じゃん」
「そそそ、そうだけど!! ここでするのはおかしいでしょう!!」
その行動を見ていた第三期生たちは、綸先輩とアマミノの関係を察し、こそこそと仲間内だけで話し出す。
「ねぇねぇ、あの2人ってやっぱり……百合なのよね?」
「だと思うわ……もう言葉も出ないわ」
「ま、まあそういうのもあるんじゃないか、うん」
「僕たちはどうすればいいのでしょう?」
「このままジッとしておこう……。 それが一番だ」
その会話は通信機をプライベートにしていなかったので、綸先輩にもばっちり聞こえていた。
「おいおい、別に変な事じゃないだろ~。 そういう人もいる! そういうことだ」
「「「「「は、はい……。」」」」」
この時代においても、百合などの同性愛については偏見を持つ人もいるが、昔に比べると周りに多く認知され始めた。その為、彼らの中では行く末を温かく見守るという暗黙のルールが存在している。
一通り皆が納得するのを確認すると、アマミノが喋り始める。
「戦闘用の機体なんか着てどうしたの? 今日何かあったっけ?」
「姫さんから聞いてないのか!!? 侵略しに来る日だぞ!!」
綸先輩の言葉を聞き、アマミノ率いる水龍人達は青ざめた。すると、アマミノの後ろにいた綸先輩と同じぐらいの伸長の可愛らしい青髪の少女が、慌てふためく。
「えっ?!えっ?!ええぇぇぇぇえええええええっ!!! 侵略ってどういうことなのアマミィー!!」
アマミノは周りをウロチョロ駆け回るその少女に対し、きつく怒鳴りつける。
「落ち着きなさい
すると、アマミノはその幼い少女にきつく当たっている自分に気づき、申し訳なさそうに肩を掴む。
「話はあとでしてあげるからね。 ジッとしてて」
モアナマは涙目になりながら小さく頷いた。アマミノはモアナマの肩を話すと、自分の後ろにいた者たちに指示をだす。
「早急に姫に伝えよ。“侵略者がやってきた”っと!!」
「「はっ!!」」
彼女らは敬礼をし、アマミノだけを残して海の奥へと去っていった。そして、場が静まったところで槐が前に出る。
「綸先輩、どういうことか話してくれますか?」
「分かったよ」
綸先輩からの説明はこうだ。
まず、今回の侵略作戦については地球とアーウォースとの
何がともあれ、そういうことは先に知らせてほしかったが、今回この水龍人の風呂場に来るにあたり、アマミノがいることは綸先輩にとっては想定外のことだったという。
「まあ、こんなところだ。 ミカは元々槐、お前の侵略方法で侵略する計画だったってことだ」
それを聞き終えると、梨花が今までにないぐらい凹んで綸先輩に聞きただす。
「それじゃ、今回は戦うことはないのね……」
綸先輩はケロっとした顔でまた首をかしげる。
「何言ってるんだ。 星の中心へ行くんだぞ? そんなところが安全に思えるか? この先、戦闘しかないに決まっておろう」
すると梨花はここ一番の笑顔を見せ、その危なっかしい機体の手を振り回しながら暴れる。
「やっっっったぁぁぁあああああ!! 私はまた戦えるのねぇぇえええ!!」
「この戦闘狂め……」
梨花のその姿を見た綸先輩はかなり引いていた。あの梨花の変貌ぶりをみると誰でも最初は驚くだろう。
そして、暴れる梨花を美大が落ち着かせると、今まで隅でこちらをずっと見ていたアマミノが駆け寄ってくる。
「皆さん。 星の中心へ行く前にアーウォース唯一の国。
「あ、アトランティスだって?!」
玲一が驚いた様子で観測者の能力を使い、周りを捜索し始める。ものの数秒で発見したようで、1人で奇声を上げている。
「今期にまともな奴はおらんのか!」
思わず綸先輩がツッコミを入れた。梨花の後の玲一の暴走。続けてみたらそう思うのも無理はないだろう。
一同は、未だ興奮して一人でモニターをいじくりまわしている玲一を放っておくことにした。そして、この中ではまだまともな方の槐が、申し訳なさそうにしながらアマミノにお願いする。
「あ、案内してもらっていいですか」
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