専用機体編

第24話 心身同期型戦闘機:専用機体~その1~

【地球:中央都市軍基地:開発部門】

《研究所》


 ミカからの侵略宣言から第3期生は、作戦開始までの間各々自由に過ごしていた。ある者は能力の訓練をし、またある者は知識をつけたりと、侵略作戦遂行のために自主的に基地内で行動していた。

 そんなある日、ミカから召集を受けた第3期生は今まで入ったことのない、基地の地下にある開発部門の研究所へとやってきた。


「こんなところまで来て何をするんだろ??」

「開発部門だろ?? 心身同期型戦闘機オルター・チューンの調整とかじゃないのか」


 槐と怜雄が今回の招集について話し合う。なぜなら、今回の招集に関しては何も聞かされていないからだ。ミカのことだから絶対何かある……。そう確信している第3期生5人は少し不安に思う。


「どうせロクでもないことでしょう。 あの人好きそうだし」

「ママはそんな人じゃないよ~」


 梨花がミカのことをからかったことに対し、美大が反論する。それに続き、玲一も反応する。


「ミカさんって正直、何考えてるか分からないですからね。 そもそも神域者の考えなんて理解できませんから……」


 すると、後ろからミカがゆっくりと研究所に入ってきて、玲一の後ろに立つ。それを見た玲一以外の4人はミカをガン見する。玲一は4人の視線の先が自分に向いているものでないと気付くと、後ろを振り返る。


「うわあぁ!!」


 玲一は、その場に尻もちをついた。その衝撃で玲一がかけていた眼鏡が少しずれる。すると、ミカがスッと玲一に駆け寄り、玲一の眼鏡を直してあげる。そして、玲一から離れる際に一言玲一に告げる。


「地球人も神域者も考えていることは似ているわよ~。 フフフッ♪」


 コワい。その外見だけ笑っていて中身は笑っていない顔は、普段見慣れているであろう美大でも、顔を引きつって愛想笑いしているぐらいだ。

 今回は、ミカ一人だけできたようで、その後ろにはいつもいる先輩2人の姿はなかった。そして、ミカが5人の前に改めて立つと、招集した件について話し始める。


「え~、今回集まってもらったのは他でもありません。 あなたたち専用の心身同期型戦闘機が完成したため集まってもらいました!! はーい拍手~☆」

「わ~!! パチパチパチパチ~☆」


 その言葉に賛同したものは美大だけで、他の4人は突然のことに驚き、茫然としていた。

 専用機体……??あの訓練で使った機体で作戦に出向くわけではないのか。


「専用……機体って……。 うおおぉぉぉぉおお!! すげぇ!!」

「おいおいまじかよ!!」

「いつかはと思っていましたけど、もう作っていたのですね!!」


 つい興奮してしまい人が変わる槐と怜雄、そして玲一。その興奮は一気に5人全員を湧き立たせ、各々期待に胸を膨らませる。

 美大と梨花に関しては、何やら機体の可愛さや形について話し合っていた。


「どんな色かな?? アクセサリーとか付けてもいいのかな?!!」

「それはやめておきましょう……。 でもスリムな感じがいいわね」


 5人はミカの指示に従い、研究所の奥へと行き、ガラス張りの大きな部屋へとやってきた。そして、ガラスの奥を覗き込むとそこには横たわる5体の心身同期型戦闘機が目に入った。周りには研究員が機体の調整をしているようで、走り回っている人もいれば、機体をいじっている人もいた。

 するとミカが咳ばらいをし、ガラスの奥の心身同期型戦闘機に夢中になっている5人に対し注目を求めた。


「気になってしまうのは仕方ありませんが、今から説明しますので聞いてくださいね」


 5人がミカの方を見ると、ミカは満足したような顔をし、左に横たわる機体から順に説明を始めた。


「まず、左にある緑色の機体が美大。 あなたのよ。 あなたの能力を活かし、腰や腕に細工がしてあるから、後で資料に目を通しておいてねっ☆」


 美大の機体。それは、緑と白を基調としたした機体で、全体的にスリムな感じに仕上がっている。その期待には、ミカが言ったように腰や腕に、たくさんの四角い蓋のようなものがついており、何かが入っているようだった。

 そして、何より気になったのは機体にだった。目元がデバイスで隠れていて、誰かは判別しにくくなっているようだが、それにしてもよくわかる。

 これについて疑問に思った美大が、母に質問を投げかける。


「なんで機体に顔なんかついてるの?? 前のはなかったよね~」

「あれはね、少しでも侵略しやすくするためよ」


 槐は顔にそんな機能があるのか!!っと驚く。すると、ミカは説明を続ける。


「他の星に侵略の際に、あなたたちは色んな者たちと出会うわ。 すると必ずしも戦うわけではなく、平和的に解決することもあるの。 そのために、こちら側としては機械の塊のような顔で攻め入るのではなく、本来のあなたたちの顔を使って、少しでも会話を促したいのよ」

「確かにガッツリ機械の顔をしていると怖いですからね」


 ミカの言うことに今度は賛同する玲一。他の4人もミカの言うことに何の疑問も持たずに納得する。

 そして、ミカは納得した5人の様子を見て、次の心身同期型戦闘機の説明に入った。 

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