再会
ここは、リオミスの城下町で、いつもよりもたくさんの人でにぎわっていた。
「テメエみてえなガキがくんじゃねえ‼ついでに猫も禁止だ‼」
城下町の裏手にある酒場から男の怒鳴り声が聞こえる。男は、机を蹴り飛ばし、続けていい放った。
「此処は酒を飲むとこなんだよ‼酒も飲めねえ奴が来ていいわけねえだろうが‼」
そう言うと、机の前でその話をじっくりと聞いていた少年の前に出た。そしてこめかみめがけ、その狂暴な拳を振るった。だが、当たったのは少年のこめかみではなく、自分の顔面だった。
「グハッ‼」
男は飲みかけの酒を口から吐き出しながら驚く。その様子を見ていた他の客も驚いた。そして少年は口を開く。
「バカだなあ」
その少年の一言と同時に、客が大声で笑い出す。男にとってこれは屈辱以外の何でもない。男は頭に血が上ったのか、もう一度少年に殴りかかった。
「はあ。学習能力を少しは身につけた方がいいよ」
そう少年が言ったのち、風が店の中を舞い、男が派手に転倒した。
「あのさあ、俺は情報を手に入れるために此処に来た。この国での酒場は旅人の情報源でもあるんだろ?」
少年がそう言うと、男は逃げ帰って行った。その姿は馬鹿みたいに滑稽だった。
「ねえエリック、結局情報は手に入れたの?」
「ああ」
「エリック、店主を脅したりしてませんか?」
「はあ。ガーネットには、俺がそんなやつに見えるか?」
エリックは呆れ顔で言った。
「い、いえ、そういうことではなくて......。その~、エリックがあの男の人と喧嘩していたので」
「ってことはそういうことだろ。そして俺は喧嘩してたんじゃない。あいつがいきなり殴りかかって来ただけだ」
そういって、エリックはある方向を指差した。
「へえ。その方向にそのガルジュっていう人が住んでるのね」
「まあそうだな」
「そ、それでは行きましょう」
いつにも増してガーネットが張り切っている。多分俺たち以外の(ウィルは猫)人間がどんなやつなのか気になるんだろう。
そして......。
大きな扉が目の前にあった。エリックは何の躊躇もなくノックする。
「此処に誰かいないかー‼」
かなりの大声で言った。そうすると、扉が大きな音をたてて開いた。
「何のようだ」
赤い髪の男が言った。見た目からして、騎士のようだ。
「俺はファシシュという貧民街から来たエリックだ。ここに住んでるというガルジュという男にようがある」
「貴様たちは?」
「わ、私は同じくファシシュから来たガーネットと申します」
「私はウィル。左に同じく」
(おいウィル。それを言うなら[右に同じく]じゃないのか?)
「そうか。俺にようがあるのか。久しぶりだなエリック」
男はつけていた兜を外した。
「が、ガルジュ‼」
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