第4話 ユイイツ

「好き………とかいうやつなんだろうな」


なんて呟いてみたところで、白夜は彼女の素性など一切知らない。

村人から拝み倒されているかと思えば、一人でどこか遠くを見つめていたり。


更に彼女ははじめて会ったときからずっと16、17のまま変わらない。

彼女のまわりの村人や村の季節は刻々と移り、変わってゆくのに彼女だけがそのまんま。

どこか寂しげで何もかも諦めたような彼女の横顔もだ。


ともかく、彼女は多分白夜にとって初めての好きな人であり、それと同時に白夜にとって恐らく唯一の悩みの種であった。


何度でもいうが、ここは夢の中である。


夢の中の人を好きになるなど聞いたことがない。もちろん、LINEを交換したいとか付き合いたいとかもう論外だ。


「俺の彼女、画面の向こう側にいるんだ?」ならぬ、

「俺の彼女、夢の中にいるんだ?」

か。


何それ痛い、と白夜は半ば本気でぶるりとふるえて。はぁ、とため息をついた。


何度か本気で忘れてしまおうと考えて現実世界の女の子と誘われるままに付き合ってみたこともあるけれど、あれはダメだ。

余計にその女の子と浅葱を比べてしまう。


浅葱の出てくる夢を2,3ヶ月見ることなく、もうこれで彼女と会うこともないだろうとホッとしたような、寂しいような気持ちになったかと思えば、その日の夜の夢に出てきたり。


これはもう嫌がらせだろう。


更に困ったことに、夢の中で彼女と話すことが出来るのならまだ良かったのだけれど、残念ながら彼女も含め、この世界の人々は白夜の姿も見えていなければ、声すらも届いていないようなのだ。


言ったろう、この夢はバーチャルリアリティ、VRヘッドセットで動画を見ているようなものだ、と。


白夜にはソレが

見えていて、確かにソコに存在するのに、白夜がどれだけ手を伸ばしてもソレに白夜の手が届くことはない。

ただ、空を掠めるだけ。

その虚しさが、白夜を現実へと引き戻す。


そして、一番白夜をイラつかせているのは。


「好き………とかいうやつなんだろうな」


なんて呟いてみたところで、白夜は彼女の素性など一切知らない。

村人から拝み倒されているかと思えば、一人でどこか遠くを見つめていたり。


更に彼女ははじめて会ったときからずっと16、17のまま変わらない。

彼女のまわりの村人や村の季節は刻々と移り、変わってゆくのに彼女だけがそのまんま。

どこか寂しげで何もかも諦めたような彼女の横顔もだ。


ともかく、彼女は多分白夜にとって初めての好きな人であり、それと同時に白夜にとって恐らく唯一の悩みの種であった。


何度でもいうが、ここは夢の中である。


夢の中の人を好きになるなど聞いたことがない。もちろん、LINEを交換したいとか付き合いたいとかもう論外だ。


「俺の彼女、画面の向こう側にいるんだ?」ならぬ、

「俺の彼女、夢の中にいるんだ?」

か。


何それ痛い、と白夜は半ば本気でぶるりとふるえて。はぁ、とため息をついた。


何度か本気で忘れてしまおうと考えて現実世界の女の子と誘われるままに付き合ってみたこともあるけれど、あれはダメだ。

余計にその女の子と浅葱を比べてしまう。


浅葱の出てくる夢を2,3ヶ月見ることなく、もうこれで彼女と会うこともないだろうとホッとしたような、寂しいような気持ちになったかと思えば、その日の夜の夢に出てきたり。


これはもう嫌がらせだろう。


更に困ったことに、夢の中で彼女と話すことが出来るのならまだ良かったのだけれど、残念ながら彼女も含め、この世界の人々は白夜の姿も見えていなければ、声すらも届いていないようなのだ。


言ったろう、この夢はバーチャルリアリティ、VRヘッドセットで動画を見ているようなものだ、と。


白夜にはソレが

見えていて、確かにソコに存在するのに、白夜がどれだけ手を伸ばしてもソレに白夜の手が届くことはない。

ただ、空を掠めるだけ。

その虚しさが、白夜を現実へと引き戻す。


そして、一番白夜をイラつかせているのは。

「好き………とかいうやつなんだろうな」


なんて呟いてみたところで、白夜は彼女の素性など一切知らない。

村人から拝み倒されているかと思えば、一人でどこか遠くを見つめていたり。


更に彼女ははじめて会ったときからずっと16、17のまま変わらない。

彼女のまわりの村人や村の季節は刻々と移り、変わってゆくのに彼女だけがそのまんま。

どこか寂しげで何もかも諦めたような彼女の横顔もだ。


ともかく、彼女は多分白夜にとって初めての好きな人であり、それと同時に白夜にとって恐らく唯一の悩みの種であった。


何度でもいうが、ここは夢の中である。


夢の中の人を好きになるなど聞いたことがない。もちろん、LINEを交換したいとか付き合いたいとかもう論外だ。


「俺の彼女、画面の向こう側にいるんだ?」ならぬ、

「俺の彼女、夢の中にいるんだ?」

か。


何それ痛い、と白夜は半ば本気でぶるりとふるえて。はぁ、とため息をついた。


何度か本気で忘れてしまおうと考えて現実世界の女の子と誘われるままに付き合ってみたこともあるけれど、あれはダメだ。

余計にその女の子と浅葱を比べてしまう。


浅葱の出てくる夢を2,3ヶ月見ることなく、もうこれで彼女と会うこともないだろうとホッとしたような、寂しいような気持ちになったかと思えば、その日の夜の夢に出てきたり。


これはもう嫌がらせだろう。


更に困ったことに、夢の中で彼女と話すことが出来るのならまだ良かったのだけれど、残念ながら彼女も含め、この世界の人々は白夜の姿も見えていなければ、声すらも届いていないようなのだ。


言ったろう、この夢はバーチャルリアリティ、VRヘッドセットで動画を見ているようなものだ、と。


白夜にはソレが

見えていて、確かにソコに存在するのに、白夜がどれだけ手を伸ばしてもソレに白夜の手が届くことはない。

ただ、空を掠めるだけ。

その虚しさが、白夜を現実へと引き戻す。


そして、そんな中でも一番白夜をイラつかせているのは。


この世界に

自分と同じ背丈で、

自分と同じ瞳の色で、

自分と同じ銀の髪で、

自分と同じ顔で、

自分と同じ名前で呼ばれている存在があって

それだけでもなんか腹立つのに白夜にとって致命的に死ねええええ!!!!!!!!のが、


ソイツも浅葱のことが好きで

恐らく恐らく(断じて認めたわけではない)


浅葱もソイツのことが好きなことだ。


何度でもいうが〈恐らく〉である。

〈恐らく〉というのが重要なのだ、と白夜は思う。そう、教科書の太字のなかでもワークやテストに必ず出るような、江戸幕府とか鎌倉幕府とかと同レベ以上に。


基本、浅葱は何を考えているのか分からないから。


そんなヤツを登場させるぐらいなら俺にその役(浅葱の恋人役)をやらせろよ!!!!!!!!

と叫んでみたり、

【俺もどき】(同じ名前だからなんと読んでいいのか分からない)を大声で罵ったりしたりしているのだが、今の所効果ナシだ。


相変わらず夢の中でこの世界に来ると

浅葱と【俺もどき】が必ず一緒にでてくる。


………当たり前だ。

彼には白夜の叫びも罵りもきこえていないのだから。


更に、いつも無表情で何を考えているのか分からない浅葱が【俺もどき】と話していると時々フワリと花が咲いたように本当に可愛らしく笑うから、どうしていいか分からない。


その浅葱を見て顔を真っ赤に染める、

【俺もどき】には本当に死ねええええ!!!!!!!!!!!!

なのだが。


なんて始末の悪い夢。


俺の届かない向こう側で浅葱と【俺もどき】が話している。

あぁ、いま浅葱が笑った。


クソッ、やってられるかこのやろー、と

白夜は自暴自棄になって叫んでみて。


それでも。

夢でこの世界に来るのは2週間ぶりなのだ。

忘れることができないのなら、いっそのこと開き直ってもっと彼女を見ていたい。


………俺ってキモいかな?


白夜は自分の思考に、ん?となって心の中で自分に問いかけてみる。


……………。

いや、しょうがねぇな。


だって、俺にできるのは見ていることだけなんだから。

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