第22話

 ジェットコースターの順番は、思ったより早くやってきた。


「ドキドキしますね」


 橘さんの目がキラキラと輝いいている。

 バーを自分で降ろして、そして固定する。

 係員の人が、バーを調整する。

 そして、暫くするとジェットコースターが動く。


 カッカッカッカッカカカカカカ。


 この音を聞くとなぜだかドキドキする。

 ジェットコースターが、ゆっくりと登る。

 登って登って登って……

 そして、落ちる。


 この瞬間、息ができなくなる。

 ジェットコースターが終わったあと、橘さんの顔が青い。


「大丈夫ですか?」


 俺のその問に、橘さんがコクリと頷き答えてくれる。


「大丈夫です」


「少し休みましょうか?」


「はい。

 ありがとうございます」


 ふらふらしている橘さんの体を支えながらベンチに座らせた。


「何か飲み物を買ってくるね?」


「あ、ありがとうございます」


 俺は、橘さんがうなずくのを確認すると自販機の方に向かった。

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