第21話

「あの……

 泣いちゃっても笑わないでくださいね」


 橘さんが照れながら言った。


「それは、大丈夫です……」


 俺たちは、ジェットコースターに向かった。


「結構空いてますね」


 橘さんが、そう言って苦笑い。


「うん。

 この時間はショーをやっているからね。

 みんなそっちに向かっているんだよ」


「ショーってどんなのなんですか?」


「アソパソマソの着ぐるみを着た人が、演技したり踊ったり……」


「面白そう……」


「ジェットコースターやめて、ショー見に行きますか?」


 すると、橘さんは寂しそうに言った。


「ジェットコースターも乗りたいです……」


「んー。じゃさ。

 多分ショーはまたあるから後で寄る?」


「はい!」


 橘さんが笑った。

 それだけで俺は幸せな気分になれた。

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