第3話

「いいんですか?」


 俺は、少し怯えながら尋ねた。

 いや、かなり怯えている。

 するとこの人はあっさりと返答した。


「はい。

 どうせ駅までは同じですから……」


 ニッコリと笑うこの女性に俺はときめきを感じた。

 でも、問題がひとつあった。

 俺は、この人のことなど全く知らなかった。

 どうして、俺が帰る方向を知っているのかわからない。

 これが、噂に聞くデート商法か?

 そう思いながらももうひとりの俺が歌い出す。


 さよなら♪さくらんぼー♪


 俺は、99%の下心と1%の不安を胸にコクリとうなずいた。

 相合傘……

 この不純な気持ちが、解らない男などいるのだろうか?

 答えは否!

 俺にもモテ期が到来か!

 そう思いその子の傘を持った。

 だってそうだろう?

 こういう場合男が傘をさすんだろう?

 マンガで勉強しているから問題ない!

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